変わらない想い

気づけば僕はもう14年ほど障がい者福祉の世界で仕事をしています。その前は別府市内の観光施設で飼育係の仕事をしていました。飼育係とはいえ、動物の世話ばかりではなく園内すべての管理をしていたので、庭木の剪定、大工仕事、左官仕事、簡単な水道工事、温泉菅の掃除もしていました。どれもプロの方から見たら全然な仕事で、観光客の方(プロ)が僕の仕事ぶりを見るに見かねて教えてもらったりしていました笑。肝心の飼育係としての仕事は主に掃除と餌やり。餌やりは当初、僕たちがあげるのを観光客の方に見ていただいていたのですが(多少の危険もあるので)僕たちだけではなくお客さん(主に子供)に体験させてみたらどうか?と言うことになり(もちろん安全に配慮して)5名限定の餌やり体験がスタートしました。すると5名の餌やりが終わった後に「僕もあげたかったな〜」「残念」と言う子供が多くて、でも人数を決めていたので「ごめんね〜」と言うしかなく。ある時、いつもの様に5名の餌やり体験が終わり、少し時間が過ぎた頃、お母さんが子供を連れて僕の所に走ってきて「餌やり体験ができると聞いたので急いで来たのですができますか?」と言われました。僕はいつもの様に「もう終了しました」と答えると、その子も母親も「せっかく来たのに」「ここに来た意味ない」と言って園内を見ようともせず帰ろうとしました。僕はその背中をそのまま見送れず子供の肩をポンと叩いて「そういえば今日はまだ5人集まってなかったから君が最後の1人だった」と言いました。するとその子も母親もとっても喜んでくれて。「ありがとう!」「きっとまた来ます!」と言って笑顔で帰って行きました。多分、その子の中ではしばらくこの事が思い出として残ってくれているのではないでしょうか。そしてその後本当に来てくれていたら嬉しいのですが。僕はあの日のその笑顔が忘れられなくて、たとえその時だけの出会いだったとしても、僕は僕の関わった人が喜んでくれることをしたいと強く思う様になりました。そして今もその想いは変わらずにあります。そのためには自分が何をすべきかを常に考えています。

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