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ガブリエル・シャネル展に行ったメモ

三菱一号館美術館の「ガブリエル・シャネル展」に行きました。

最後にじっくり美術展を楽しんだのは妊娠出産・コロナ禍以前と、本当に久しぶり(国立新美術館「カルティエ、時の結晶」以来?)で、展示の内容や美術館の雰囲気も良く、とても素晴らしい刺激・リフレッシュになりました。

自分自身のための記録用に、印象に残った部分のメモメモ。

【優しいスーツ】

 柔らかい素材、ノーカラーやスタンドカラー、動かしやすい袖付け、体型を邪魔しないジャケット、膝丈で自然に揺れるスカート。
 ショップで購入した「芸術新潮」には、スーツを着てかがんだり足を組んだりして作業しているシャネル自身の写真や、晩年のシャネルの衣類は2〜3着のスーツだけだった、という記載がありました。
 「最高に過ごしやすい作業着」でありながら、優美なジャケットのシルエットや絶妙なスカート丈が、着る人の年齢を問わない可愛らしさを生み出しています。
 そもそも、スーツよりも前、展示の最初の方に出てくるデイドレスも含め、まず「腰位置が低く、ゆるっとしている」ことがとても衝撃的でした。「服で体型を美しく作る」のではなく、「体型そのものを邪魔しない服で、しかもかわいい」。こういう思想を体現する服は、他にいったいどこにあるのだろう(欲しい)。それとも、いわゆる骨格診断のようなものは、シャネルの発想を援用したものなのかもしれないですね。
 贅沢な空想として、「展覧会で見た中で、どれか一着だけもらえるなら」と考えると、私は白のブレードがついた紺のスーツを選びます。(そして、自分自身に一番しっくり似合うと思う。それだけを毎日着てもよいくらい) 
 正直言って、就職活動中も、社会人になってからも、スーツというと「窮屈で疲れる服」「体型を強調する服」という印象だけでした。けれど、シャネルのスーツを日常的に着こなす女性は、スーツを自分の味方として、相棒として、深く愛せるのだろうなと羨ましくなりました。

【財産よりも、キラキラの心をまとって】 

 本物の宝石を使用しない、「コスチュームジュエリー」を発明したシャネル。自分が着けると宝石は偽物に見える、アクセサリーはせいぜい周囲を驚かせるために着けるもの、というような本人の言葉も展示内で引かれていました。
 シャネルのアクセサリーは女の子のおもちゃのように大きくて、カラフルに輝いている。 
 シンプルで、機能的で、苦しくないスーツやドレスに、派手なアクセサリーをいくつも重ねるスタイルは、「古代オリエントのエキセントリックで活動的な王女様が、動きやすいように服を適当に改造し、好きなキラキラの飾りを適当に全部着けてきた」ような風情。
 香水や靴、バッグも含めて、「シャネルおよびその愛好者」のイメージをトータルで魅せる素晴らしい展示・説明でした。

チェーンや内ポケットのあるショルダーバッグもシャネルが発明したとのことで、世界に与えた影響は無限…
わたしは(自分が着るというよりは、見るものとしては)1950年代のフェミニンなファッションが好きなのですが、今回の展示の方向性はそれと真逆であるにも関わらず本当に素晴らしく魅力的に見え、圧倒的なデザイナーだということに深く納得しました。

 カルティエ展に引き続き、ファッション関係の展示となりましたが、冬にはBunkamuraでのマリー・クワント展、東京都現代美術館のクリスチャン・ディオール展もあり、都合が付けばぜひとも見に行きたいです。
(時間がなく見に行けませんが、サントリー美術館の「歌枕 あなたの知らない心の風景」や、最近リニューアルしたアーティゾン美術館も本当は行きたいのです…)

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