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【ジャーナル】こうちアントレプレナーナイト 連続セミナー #3-地域課題が資源と教材になる「ねぇ、次何して学ぶ?」-

「こうちアントレプレナーナイト」は、高知県内で活躍する先輩起業家を招き、起業までの道のりや苦労話、起業するにあたっての心得など、実体験をもとに紹介してもらう、対話形式のセミナーです。
また、参加者が考えているアイデアがある場合は発表し、ゲストと参加者が一緒に、そのアイデアを磨き上げる参加型のプログラムとしても機能させていきます。

第3回目の講師は、吉冨慎作さん(NPO法人 土佐山アカデミー 事務局長)。
『地域課題が資源と教材になる「ねぇ、次何して学ぶ?」』と題して、これまでの振り返りから現在の取り組みや、土佐山アカデミーの活動についてお話しいただきました。

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<ゲスト講師>
吉冨慎作さん(特定非営利活動法人 土佐山アカデミー 事務局長)
山口県下関市出身。宇部高専時代ロボットコンテスト等で活躍するも、デザイナーに転向。その後外資系広告代理店へ移籍し企業ブランディング・Webキャンペーン・商品開発・TVCM・ポスター制作等に関わるなかで坂本龍馬のポータルサイト「龍馬街道」を立上げ、高知と深く関わっていく。
2013年2月、土佐山アカデミーの想いに共感し移住を決意。地域課題を資源と捉え教材に変えることで、ワークショップ・企業研修等、「地域を学びの場に変えていくアプローチ」を実践中。企業や地域のブランディングの案件多数。
内閣府「地域活性化伝道師」/ 高知高専非常勤講師/ 高知県観光特使

雇われも経営者も経験

「僕がやっていることは新しい視点を作ることです。」
自身の仕事について、こう紹介した吉冨さん。
初めて「こんな仕事をしてみたい」と思ったのは、中学生の頃に見たJR九州の広告でした。広告のコピーを読んだとき、なぜか急に涙が頬を伝いました。こういう仕事ってかっこいいな、と思ったそうです。

元々、スペースシャトルのロボットアームが作りたいという思いがあり、卒業後は高専へ進学しましたが、土曜日が休みだから、という不純な動機も含めての入学だったため、数学の授業についていけなかったそうです。
そんななか、当時バンドを組んでおり、ライブに出たかった吉冨さんは自分で企画をして、チケットやフライヤーのデザインをすることになりました。この経験が楽しくて、そのままデザイナーになったと話してくれました。

その後、グラフィックデザイナーとして勤めているにも関わらず、ウェブの仕事を任されます。このときクライアントからの要望に応えるためには、もっと上流から関わる必要がある、と感じ、広告代理店に転職。
そして土佐山アカデミーと出会い、高知に移住し現在に至ります。高知に来た理由は「全国で先行して高齢化が進んでいるところ」だから。
視点を変えると「世界・日本最先端の高知」。
高知の課題を解決することが15年後の日本の課題、そのあとの世界の課題も解決していくことに、おもしろさを感じました。

土佐山アカデミーのこだわり

『土佐山アカデミー』の大きな特徴は、地域課題を資源や教材に転換し、学びの場に変えていること。吉富さんは、遊びと学びの境界線を無くすことにこだわり、遊んでいるうちにいつの間にか学んでいる状態を創り出したい、と考えています。

例えば、小さい子と大きい子が遊ぶときに、皆が平等に楽しく遊べるようにルール変更をする。これは皆がハッピーになる仕組みを作っている、とも言えます。そのことを気づかせてあげて、示唆を与える、といったことをイベントに組み込んでいる、と話してくれました。
全部の情報を吉冨さんたちが伝えるのは不可能なので、その子自身が気づいて、学びプロセスを覚えてもらうためです。
また、同じようにこだわっていることは、視点の作り方。
沢山の視点があれば、ひとつのイベントからいくつも学べる上に、何倍も楽しめるからです。何かのプロである大人など、自分以外の誰かを巻き込むと、その能力が手に入ることを子どもたちに教えたい、と話します。

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バズる企画の作り方

2019年7月、土佐山アカデミーでは『世界最速!?鏡川源流そうめん流しチャレンジ』というイベントを実施しました。
シンガポールと同時中継して、海外にも発信。このイベントの背景には、地域に竹が生えすぎて困っている、急斜面すぎて生活しにくい、という根本的な問題をポジティブに資源へ転換する狙いがありました。
そのアイデアが、世界最速のそうめん流しでした。
イベントに参加すると、おいしさや楽しさ、自然の豊かさを感じられるのはもちろんですが、考え方を変えると物理学や流体力学になったり、地域の人とのコミュニケーションになったり、いくつも学ぶことができます。

馬鹿げたイベントはキャッチコピーみたいなもの。
バズるためにあって、その先には何だって学べることがあるという設計をしながら、学びの場を作っているそうです。
そして、こうした場に学校の先生や大手の企業、官僚など色んな人が教えに来てくれるので、どういう風に面白くしていくか、一人でニヤニヤしている状態です、と吉冨さんは笑いました。

なぜ土佐山を選んだのか

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