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【ジャーナル】こうち女性起業家応援プロジェクト連続セミナー #2-未来への希望を紡ぐ、人口160人の島とともに育つ私設図書館-

「こうち女性起業家応援プロジェクト」は、起業や育児休業後の職場復帰や再就職、移住後のキャリアチェンジ、そして、キャリアアップを目指す女性を幅広く支援するという想いから、各分野で活躍する起業家をゲストに迎えたセミナーや、生活目線から考える事業アイデアの創造に向けた学びの機会を提供し、高知の女性が自分事として取り組むことのできる新たなチャレンジを後押しすることを目指し、開催しております。

第2回目の講師は、額賀順子さん(特定非営利活動法人 男木島図書館 理事長)。
『未来への希望を紡ぐ、人口160人の島とともに育つ私設図書館』と題して、移住を決めた出来事や男木島図書館について、そして、ご自身が感じている課題についてお話しいただきました。

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額賀順子さん(特定非営利活動法人 男木島図書館 理事長)
1974年福島県生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒。
卒業後、ウェブデザイナーとして大阪の制作会社に入社。
育児と仕事の両立に限界を感じ、フリーランスへ転向。
2014年、家族で大阪から夫の地元である香川県の男木島へ移住。
島に図書館を作るため、特定非営利活動法人 男木島図書館を設立した。

男木島に移住

福島県郡山市出身で、小さいときから本が好きだった、という額賀さん。
地元の図書館で借りられる本は1人5冊まで。両親のカードを使って、1回に15冊の本を借り、1週間で全て読みきるほどでした。
本を読むこと、書くことが好きだったため、大阪の芸術大学に進学し、制作会社に就職。その後、子どもを授かったことがきっかけでフリーランスとして働くことになります。
仕事が好きで、今まで好きなように過ごしてきた額賀さんにとって、育児と仕事の両立は思い通りにならないことの連続。気持ちも身体も良い状態ではない、と退職を決めたのです。

2011年の東日本大震災が起こり、額賀さんも一時期ボランティアに行きました。ちょうど自分の足元を見つめ直しているタイミングのときに、ご主人の故郷である男木島の過疎化が急激に進んでいる話を耳にします。
男木島に戻ることを考えていたご主人のタイミングとも相まって、移住することを考え始めました。

学校の再開運動

160人ほどの小さな島、男木島。2013年の瀬戸内国際芸術祭の時期に、休校になった男木島小中学校のワークショップに参加した額賀さんと娘さん。
そのとき「この学校に通ってもいいな」という、娘さんの言葉がご主人に火をつけました。移住するにあたって、小学校の再開が必要。
しかし、一度休校になった学校を再開させるには様々な制約があり、並大抵のことではないと知ります。
再開運動は大変でしたが、島の住民や関係者から900名弱の要望書を提出し、再開が認められ、2014年に額賀さん一家も晴れて移住することができました。

「学校が再開しても、娘が卒業して再び休校になってしまったら意味がない」学校が継続していくためには何をしたら良いのか。
その時、島の住民の平均年齢は70歳以上、子どもはこれ以上増えません。それなら移住者を呼ぶしかない。
移住者を呼ぶためには、自らも感じた移住への不安を解消できる場があれば良いのではないか、と考えます。
額賀さんの不安だったことは二つ。ひとつは、子どもの学習環境。もうひとつは、島の人とのコミュニケーション。
これらを解決できる方法として考えたのが図書館でした。

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男木島図書館を作ったきっかけ

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