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【レポート】自分の“好き”を大切に生きる-女性目線で地域を考える ~こうち女性起業家応援プロジェクト連続セミナー #3


「こうち女性起業家応援プロジェクト」は、起業や育児休業後の職場復帰や再就職、移住後のキャリアチェンジ、そして、キャリアアップを目指す女性を幅広く支援したいという想いから、各分野で活躍する起業家をゲストに迎えたセミナーや、生活目線から考える事業アイデアの創造に向けた学びの機会を提供し、高知の女性が自分事として取り組むことのできる新たなチャレンジを後押しすることを目指し、開催しております。

第3回目は上野伊代さん(NPO法人まちづくり須崎・すさき女子)。
『自分の“好き”を大切に生きる-女性目線で地域を考える』と題して、須崎に移住する経緯や、移住後の暮らし、チャレンジ、そして、今、についてお話いただきました。

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上野 伊代 氏(NPO法人まちづくり須崎・すさき女子)

大学卒業後、広告代理店の企画営業や地域活性化イベントの企画運営などを経て、2014年4月から須崎市の地域おこし協力隊を委嘱し2016年3月末に任期終了。同年4月より地域コーディネーターとして地域自主組織のモデル事業の立ち上げを委嘱。翌年よりNPO法人まちづくり須崎の職員として引き続き、地域自主組織の推進事業に関わる。本業の傍ら、女性コミュニティ『すさき女子』の活動に関わり、女性目線を活かしたイベントや四国女子会(2015年・2016年)といった場づくりを手掛ける。その他、地域団体のサポートやブログによる地域の情報発信、ライター、デザイン等、様々な仕事に携わっている。


須崎に来るまでの経緯
子供時代は人づきあいが苦手で、家庭でも親の機嫌を伺いながらひねくれて育ったという上野さん。高校の時に初めて「デザインの勉強」という自分のやりたいことが見つかりますが家庭の事情で大学に進学。目的もなく大学生活を過ごしていたそう。しかし大学2年生の時に面白い民俗学の先生に出会ったことで楽しさを感じるようになり、自分は「人の生活」に興味があることに気が付いたそうです。
卒業後は編集の仕事がしたくて大手の広告代理店に入社するも、編集の仕事だけではなく、苦手でやりたくない営業もやることが必要で…。しかし、仕事に慣れてくると、自分の企画でお客さんが喜んでくれることが嬉しくてバリバリ働くようになりました。ところが24,5歳の時、無理がたたって体調を崩してしまいます。

「どうして自分はこんなになるまで頑張らなきゃいけないんだろう。」

自分を大切にできなかったことを初めて悔やんだ出来事だったそうです。
その後、職を変えるも人間関係が悪くすぐに退職。1か月ほど自宅に引きこもりがちな生活をしていた上野さんでしたが、東日本大震災を契機に、「いつ死ぬかわからないから、自分のやりたいことをやろう」と思っていた時に、見つけたのが須崎の浦ノ内地区での仕事でした。


須崎に来て、人生変わった
浦ノ内地区での1年間は本当に楽しく、そのまま須崎市の地域おこし協力隊に応募した上野さんでしたが、まさかの不採用…。違う仕事についたりもしていましたが、浦ノ内地区での仕事のようなやりがいや面白さが忘れられませんでした。浦ノ内地区をはじめとする須崎の方々とは、浦ノ内地区の仕事を離れてからも、付き合いを続けていました。1年後、再び地域おこし協力隊の募集がありました。須崎の方々からは応募を進められるものの、チャンスをつかめるか否か、また落ちることへの不安からとても迷ったそうです。それでも、思い切って応募すると今度は採用!須崎のひとたちの後押しもあって再び、須崎でお仕事ができることになりました。
須崎の人たちの想いをのちに知ったとき、「この町で絶対頑張ろう」と心に決めた上野さん。地域おこし協力隊を経て、現在は地域コーディネーターとして須崎に深く入り込んだ活動をされています。
地域の人たちとの意思疎通の難しさを痛感したり、想いの伝え方に悩んだりと、これまでとは異なる苦労も多い仕事ですが、上野さんは須崎に来て人生が大きく変わったといいます。

-人付き合いが苦手で友達がいなかった自分に心許せる友達と居場所ができたこと。
-「安定した職に就かず転職を繰り返して、何をやっているか分からない」と言っていた家族が初めてイベントに来てくれたこと。
-手術・入院をして仕事が出来なかったとき、自分がいなくても世の中は回っていくけれど、自分が元気でいないと悲しむ人がいると気付いたこと。須崎でのたくさんの経験や人との出会いを通して、上野さん自身が変わり、今の自分を認められるようになったそうです。

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SHAREの心で、みんなを巻き込む地域づくり
現在取り組んでおられる地域づくりのお仕事で、上野さんが意識していることがあります。それは「自分の半径数メートルにいる人たちの困りごとを解決していく」ということ。「地域の課題」ではなく、「私の住む地域の課題」として、自分に関係あるものとして捉えることで、初めて自分たちで解決していく課題になる、と上野さんはいいます。
また、仕事の上で大事なことは、「何をやるかよりも、誰とやるか」。一人でもやろうと思えばできますが、自分に持っていないものを持っている人たちと一緒にやることで、一人でやる以上のことを達成することができます。

-地域を居心地よくしたい
-子供たちが誇りを持って地域を語れるようにしたい
-安心して話ができるゆるやかなつながりを作りたい

そんな理想の状態に向けて、誰かをのけ者にしたり対立したりせず、楽しく無理せず活動する中で徐々に地域の人たちを巻き込み、総力戦で取り組んでいくことを、上野さんは大切にしています。

自身が須崎にいて感じた小さな困りごとを解決しようという思いが、現在の地域づくり活動やすさき女子、四国女子会での活動に結びついています。
地域に対する真剣な思いを胸に、仲間を増やしながら一つ一つ成果を上げている上野さん。彼女の夢は、「人の夢を叶えること」だそう。そのためのお手伝いができることが、自分にとっての幸せだとおっしゃっていました。


ライフヒストリーや気づきのシェア
次に参加者3人1組のグループをつくり、自身のライフヒストリーや、上野さんのお話を通して得られた気づきを共有する対話ワークを行いました。

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参加者それぞれが今までの人生をグラフに書き起こし、自分がどんな人生を歩んできて、そこで得た気づきや教訓を紹介し合いました。今回は上野さんのお話を通じて、人生のターニングポイントを思い返しながら話している参加者の姿も見受けられました。

チェックアウト
最後は、チェックアウトと題して、一人ひとり今日の感想を話しました。
参加者からは、女性ならではの視点で活動することや、仲間とともにやりたいことをやるという姿勢への共感の声が上がっていました。

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総括
-対立や競争をするのではなく、
-一人で頑張るのでもなく、
-周りの人たちを仲間に引き込んで楽しく活動するうちに、
-大きなことを成し遂げていく。
上野さんのお話から、プロジェクト達成のために大切な「人とのつながり」や「楽しむこと」を学び取れたように思います。
また、地域に関わるプロジェクトを考えている参加者も多く、女性ならではの視点で地域づくりをしておられる上野さんのお話には共感や発見が多くあったのではないかと思います。
本セミナーも3回目となり、さまざまな立場の参加者同士でマイプロの共有を行う中で、お互いを応援できる関係性が構築されていっているように感じました。

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(レポート:陶山智美 )


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