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【ジャーナル】[Part 3]こうち100人カイギ vol.5 森野 純夏 (高知大学地域協働学部)/ 桑名 斉(クチーナイタリアーナ アッカオーナーシェフ /日本イタリア料理協会会員)


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。今回は、2019年5月8日(水)に開催された、vol.5の様子をお送りします。


<こうち100人カイギ vol.5の登壇者>
※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。

野崎 浩介 さん (Part 1掲載)

立野 雄二郎 さん (Part 2掲載)
田村  花枝 さん (Part 2掲載)


森野  純夏 さん (Part 3掲載)
桑名  斉 さん (Part 3掲載)



4人目の登壇者は、地域協働の走り屋の森野 純夏(もりの すみか)さん。

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1999年生まれ。静岡県出身。母親が精神障害をもつことから、障害者福祉やマイノリティ、多様性の研究に励む。今年2月にユニバーサルマナーコーディネーター取得。 一方で、中学から始めた陸上を大学でも続け、昨年は中四国大会で優勝した。 旅行先では必ずランニングをし、”走りからその街を見る”ことを楽しんでいる。

大切にしていること
顔を両手で挟むようなポーズをした写真を指しながら、「私、顎が外れやすくって、この写真を選んでみました」と、笑顔で話す森野さん。会場からも笑いが巻き起こり、とても和やかな雰囲気でスタートしました。
そんな森野さんがいま大切にしていることは、「自分自身を大切にすること」だといいます。
自分を大切にするとはどういうことなのか。それは「自分がどうしたいか、を考えていくこと」ではないか、と話します。

幼いころの写真がない
幼少期からの写真をスライドショーで流しながら話を進めていく中で、参加者も抱いた違和感。それは、中学校、高校、大学時代の写真は多いのに、小学生の頃の写真がほとんどないことでした。
その理由は、小学校2年生の時に、母親が精神障害を抱えたしまったため。
この時を期に、家の雰囲気がギスギスすることが増えていきました。家族でのキャンプや、お出かけも無くなっていき、運動会のホームビデオなどが残っている家庭をうらやましく思うこともあったといいます。

消せない「普通」像
こうした生活を過ごす中で、世の中には『普通』像が存在するのではないか、と思うようになります。
「でも世の中には『普通じゃない人』も、たくさんいるのかもしれない。」
そんな疑問が森野さんの中で浮かび上がっていきますが、無意識に出来上がる『普通』像を消すことの難しさに気づきます。
じゃあ、どうしたらよいのか。
そう考えた時、森野さんは他人の思いを聞き、自分がどう思うのかを考えてみたいと思うようになります。

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3つのコミュニティ

大学に進学し、地域協働学部、陸上部、政治について考えるサークル、の3つのコミュニティに所属している森野さん。
ジャンルの異なるコミュニティに属し、様々な活動をしていく中で、それぞれが組織として大切にしている価値観が異なっていることを知りました。
そして、その中で自分がどうしたいかを考えることが、自分の意向を阻害しないために大切だと感じたそうです。

私と走ること
幼いころからずっと陸上で走ることを続けてきましたが、厳しい練習や寮生活で、一時は嫌いになりかけたこともあったと話します。ですが、大学に入って、自分が「走ることが好きだ」ということに改めて思い至り、現在は実習や旅行、研修で訪れた場所でも走ることを続けています。ソウルに行ったときには朝早くから道路を走っていると、高速道路に入りかけてしまったというハプニングエピソードも。
走ることで見える景色を通して、自分だけでなく、外や、社会のことも分かるようになっていきました。
「走ることは私のアイデンティティです」ととても楽しそうな満面の笑みで語ってくれました。



5人目の登壇者は、クチーナイタリアーナ アッカオーナーシェフ /日本イタリア料理協会会員の桑名 斉 (くわな ひとし)さん。

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1975年生まれ。高知市出身
県内調理師学校卒業後、料理修行の為、2006年にスイスへ。
イタリアのマンマと出会いイタリア料理の世界へ。
2008年現店オープン。日本イタリア料理協会シェフ会員。


この時代を生き抜く料理人
こうち100人カイギに何度もご参加いただいている桑名さん。今回は登壇者としてお越しいただきました。
桑名さんは日本イタリア料理協会に所属し、「クチーナイタリアーナ アッカ」というイタリアンレストランのオーナーシェフをしています。
今は、様々な技術が進化し、スーパーマーケットでもプロと遜色ない味の料理が食べられたり、材料を買って混ぜるだけでおいしい食事が簡単に完成したりしてしまう、そんな時代の中でシェフとして、「いかに付加価値に金額をつけるか」ということを大切にしていると話します。

野菜と肉
ではどのように付加価値をつけるのか。大事にしているのは、「農家の方と一緒に現場に出ていくこと」だそうです。
桑名さんのお店のテーマは「野菜と肉」。
田んぼで作ったお米の稲を刈り、そのお米でリゾットを作る。牧場で牛を買い、そのたい肥をもとにフルーツトマトを育てる。和食でいう「だし」に値し、パスタにもリゾットにも使うというブロードというスープは、4時間ほどかけて作っていく。このように、桑名さんのこだわりはいたるところから感じられます。

魅せられる料理
また、桑名さんは安芸のレンコン農家さんや野市のスイカ農家さんといった熱量の高い生産者が作る食材を使って「魅せられる料理」を作ることも追及しています。
例えば、カップルのお客様にはハート型のピザをお出しするなど、様々な工夫を考えています。
また、和牛に関するお話もしてくださいました。
スーパーマーケットで売っている国産牛は和牛とは違う。という衝撃的なお話から始まり、一時期、固有種である土佐あかうしが1500頭ほどに減少していた時期があったこと、日本では一番長くいた土地のブランド名が牛につけられること、など、どれも初めて聞くお話ばかりで、会場の皆さんも興味深そうに耳を傾けていました。

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料理に生きる人生

最後に桑名さんは、ご自身が料理人になるまでの経緯を話してくださいました。28歳でこの道に入った桑名さん。2年間調理師学校に通った後、ヨーロッパに飛び立ちます。降り立ったスイスでは、日本より5倍ほど高い物価に驚きながらも、料理の勉強を続け、その後、縁あってイタリア料理と出会い、今では自分で店を持つまでになったといいます。
44歳になった今、イタリア料理に対する丁寧なこだわりを持ちながら、料理を続ける桑名さんの思いはとても輝いていました。


【総括】
森野さんの自分自身を大切にするという真っ直ぐな思い、桑名さんの料理人としてのこだわり。お二人が自分の人生や、これまでの思いを話す中で、会場からは、笑い声や納得する声など様々なリアクションがあふれていて、新しい発見や気づきが生まれた空間になったと思います。
5人の登壇者の方々は、歩んできた人生や、描く未来は異なりますが、「学び続け、成長し続けたい」という思いは共通しているように感じました。


(レポート:檜山 諒)


100人カイギとは
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。

お問い合わせ
Kochi Startup BASE®
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座90-1 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

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