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【ジャーナル】[Part1]こうち100人カイギ vol.20 イワシロ アヤカさん(星空体験プロデューサー)/鵜飼 唯香さん(日高村地域おこし協力隊)


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。

今回は、最終回であるvol.20。
2021年6月26日(土)にKochi Startup BASEでの現地開催とzoomを使ったオンライン開催にて行った100人カイギvol.20で登壇いただいた6名、1人1人の話にフォーカスを当てています。

参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。

<こうち100人カイギ vol.20の登壇者>
6名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、
こちらの記事もチェック!
※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。

イワシロ アヤカさん(Part 1掲載)
鵜飼 唯香さん(Part 1掲載)

岡村 涼太郎さん(Part2掲載)
佐藤 彩音さん (Part 2掲載)

西山 侑吾さん (Part 3掲載)
檜山 諒さん (Part3掲載)


1人目の登壇者は、星空体験プロデューサーのイワシロ アヤカさん。

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大学卒業後、埼玉県にある天体望遠鏡メーカー「ビクセン」に入社し、天体望遠鏡や双眼鏡を使った星空案内を数多く実施するとともに、星を楽しむ旅行プランやイベントの企画も手がける。2015年、結婚をきっかけに高知へ。現在は sorashiro (ソラシロ)を立ち上げ、フリーランスのプランナーとして活動中。子どもから大人までを対象に、星空教室やワークショップなどを企画・開催し、星や自然体験を通して「世界が拡がる感覚」を伝えている。

元科学大好き少女の今

「星空のチカラを生きるチカラにしていきたい」そんな思いで活動していると話し始めるイワシロさんは、現在32歳で一児の母。元々出身は愛媛県で、小さい頃から科学が大好きな女の子でした。大学進学と同時に東京へ上京。小学生の頃に買ってもらった天体望遠鏡がきっかけで、そのメーカーの会社に入社しました。その後結婚を機に高知へ移住しましたが、星や宇宙の魅力を伝えるための仕事がしたいと、2019年育児が少し落ち着いた段階で、『sorashiro』という屋号を掲げ、起業。現在は、教室やワークショップ などを企画・開催して、『星空体験を創造する』ということを自分のミッションにしています。

星空体験を創造する

星を楽しむというと、まず思い浮かぶのは、星を観ること。空を見上げて観るだけでなく、写真を撮って楽しむこともできます。本やウェブサイトで星や宇宙について調べたり、YouTubeを観たりすることも楽しみかたのひとつです。また、楽しむことには一見関係なさそうな食べることも含まれます。例えばチョコレート菓子の『アポロ』。『アポロ』の由来は宇宙船の名前から来ています。そういった星にまつわる食べ物もこの世には多く存在しているため、目で見て口で味わうことで楽しみに変わります。イワシロさんは自分の服や耳を差し、身に着けることもそのひとつと言いました。星座柄の服や星のピアス、髪色も星空の青色を入れて。星を楽しむには、様々な方法があると言葉が続きました。
イワシロさんは現在、ワークショップデザインについて専門的に学んでいる最中。今もなお自分が実現可能なプログラムを増やしながら、それらを組み合わせてデザインし『星空体験を創造する』活動をしています。

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気づきを与える

イワシロさんは会場に向けて、月の写真をみせ、「月は何色ですか?」と問いかけました。それに対し会場からは「白」「黄色」「パンケーキ色」と様々な答え。イワシロさんは続けて「月は何個ですか?」と質問を投げかけました。月は地球にひとつしかないはずなのに、先ほどの質問で返ってきた答えからも分かるよう、人によって感じ方が違います。同じものを見ても、人によって違う受け取り方がある。こういった部分をいろんな方に気づいて欲しい、と言いました。
「月は一個しかないから、絶対こうであるはずだ」という思いは、それはそれでいい。ただ、自分の思いが絶対的に正解であると思わずに、他の人はどう思っているだろう、他の季節は同じ見え方なのだろうか、と他の可能性を考えることが必要だとイワシロさんは感じています。こういった気づきが生まれると、自分の身の周りのものの見え方も変わって、それまでと違う考え方にたどり着けるのではないかと自身の考えを語りました。

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未来のために必要な3つのこと

イワシロさんは星や宇宙のことだけでなく、気づきなどその先にあるものに目を向けるようになったのは、今の世界の現状が関係しています。
今、日本で深刻化しているコロナウィルスと経済のように、片方を解決しようとすると、もう片方がうまくいかなくなることは世界にたくさんあります。こちらを立てれば、あちらが立たない、そんな複雑な世の中には果たして何が必要なのかということを考えたとき、3つの必要なことがあると言いました。
一つめは、「体験して課題を見つけること」。世界的な問題に全部取り組むことはできないため、まずは自分の身近な課題を見つけて、体験することが必要だと考えます。
二つめは、月の色は何色かという例のように「物事を様々な視点から捉えること」。
そして三つめは、「自ら創造・想像していくこと」。創造する方はものを作りだすなど目にみえることで他者とも確かめ合うことができますが、想像する方は、自分の考えだけじゃなく、違う考えの人もいると想像していくことが必要になります。海外に行った時に違う宗教の人、肌の色の違う人、言語の違う人がいることと同じように、皆同じではなくて、違う人もいることを想像しなければいけない。そういった想像していく力を身につけてほしいと思っています。
「大人も子どももワクワクして、自然とこういう力が身につけていけるようなプログラムを作っていきたい」そう最後に話しました。

4人目の登壇者は、日高村地域おこし協力隊の鵜飼 唯香さん。

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愛知県出身。親の転勤で、小学2年生まで神奈川、小学6年生まで上海、中高時代は千葉県で過ごす。 2018年東京大学文科一類入学、2020年法学部進学。3年生の夏(2020年9月)、コロナ禍の中で休学。12月から高知県日高村で地域おこし協力隊として活動中。 配属事業所は高知地元芸人「あつかんDRAGON」所属の合同会社ショープロジェクト。現在はイベント運営や企画に携わっている。もっと人生に選択肢があっていい、という淡い想いを抱いて自分自身模索しながら生きている。

休学して地域おこし協力隊へ

愛知県に生まれるものの、両親の仕事の関係で幼少から学生時代にかけ、神奈川、上海、千葉、転々とあらゆる都会に住んできたと話し始めた鵜飼さん。2018年に現役で東京大学に合格し、法学部で学んでいましたが、昨年9月から休学。同年12月から日高村の地域おこし協力隊として活動をしています。地域おこし協力隊とは、都会から過疎が進んでいる地域など不利な条件にある地域に移住し、地場産品の開発や販売、地域のP Rなど、様々な活動を通して地域協力活動を行うことで、自治体から賃金が発生し、その地域への定住や定着を図る取り組みです。基本的に任期期間は1年以上から3年未満と定められていますが、鵜飼さんは休学中の身ということもあって、1年という期限付きで日高村の地域おこし協力隊として活動しています。

どうして地方に?

日高村にきて1番聞かれる言葉は、「どうして休学して地域おこし協力隊に?」というもの。ただ単に「なぜきたか教えて欲しい」という純粋に理由を知りたいという人もいますが、中には、日高村に移住したことに対して「大丈夫?親御さん泣いているよ」と言葉をかける人もいるそうです。
地域おこし協力隊を選んだ要因には、コロナウィルスの蔓延で授業が全てオンライン化したことや、就職活動で悩んでいたこと、そもそも東京という地が嫌だったことなどが挙がりました。しかし、要因にはマイナスなことばかりではありません。鵜飼さんは元々公務員志望でしたが、心のどこかに「田舎に住んだこともないまま公務員になっていいかわからない」という気持ちがありました。「一度地方に住んでみたい」「親元を離れて、自分の力で生きてみたい」という地方移住に前向きな思いから、地域おこし協力隊の制度を使って日高村に移住することを決めました。

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学生時代からの好きが仕事に

日高村地域おこし協力隊としての活動は、県内を中心に活躍するタレント『あつかんDRAGON』の所属する『合同会社ショープロジェクト』のインターン。タレントの扱う仕事のヘルプをしたり、WEBサイトの管理をしたり、村内イベントの企画や運営もしています。
鵜飼さん自身、元々イベントが好きで、学生時代から学園祭など催し事では必ず、実行委員など運営側を経験してきました。地域おこし協力隊になってからの自分の実績としては、その経験を生かし、県内では珍しい、ドライブインシアターを開催。シネマ四国や県民文化ホールと共同し、コロナ渦中でも安心して参加できるよう、村内で一番大きな総合運動公園を利用して行いました。

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地方を選択肢に

地域おこし協力隊になって半年。1年間の限定であるため、早くも折り返し地点に差し掛かった鵜飼さんですが、最後に今後の思いを話してくれました。
昨年、単身日高村に移住しましたが、当時は住居や食事の確保、それらを賄う費用、そして地域に溶け込めるかなど、地方移住への不安でいっぱいでした。幸い、日高村は柔軟に対応してくれ、実際に大きく困ったことはありませんでしたが、自身の経験や周囲の声から、海外留学はポピュラーなのに、地方移住はハードルが高いと感じました。「海外留学と並ぶ選択肢に、地方への長期滞在や2拠点生活、移住などの選択肢があればいい」その思いから鵜飼さんは、最近東京大学で始まった『東京フィールドスタディ型政策協働プログラム』に参画しています。これは東京大学の生徒が、地域をより良くするためにはどうしたらいいのか、実際に地域の人々と考え、関わっていくプログラム。今回日高村でこのプログラムを開始することが決まり、早速オンラインで打ち合わせをしたと言います。
「地方にあるたくさんのハードルを東大生と一緒に考えて、乗り越えていきたい」と協力隊として過ごす残りの時間での思いを言葉にし、自身の話を締めました。


【総括】

頭から足先、持っている小物まで全身で星を楽しんでいたイワシロさん。星の楽しみ方にもたくさんあることを教えてくれている時の表情は、本当に好きなものを語っている素敵な顔でした。小さい頃から好きなものを仕事にし、さらにアップデートしていこうとする前向きな姿勢は、参加者の心を打つ何かがあったように思います。

また、東京大学を休学し、地域おこし協力隊として移住した鵜飼さん。言葉だけ聞けば確かに「どうして高知に?」と思ってしまうような経歴でしたが、都会にずっと住んできたからこそ思うことがあり、また地方にきたからこそ気づいたことがあるという経験話がとても印象的でした。その思いを今度は多くの人たちへの選択肢として変換しようとしている活動の今後が楽しみです。


(レポート:畠中 詩織)


100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。

問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/



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