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アイデア創出ファシリテーター養成講座

2020年7月3日から8月31日の間に全6回に分け、Kochi Startup BASE®︎(以下KSB)主催で『アイデア創出ファシリテーター養成講座』が行われました。
現在の情勢を考え、今回の講座は全てオンライン上で開催されました。


『アイデア創出ファシリテーター養成講座』は、全6回連続講座。
地域課題解決において新たなアイデア創出をコーディネートすることが求められている昨今。本講座では、アイデア創出ワークショップの実施にかかる基礎的な知識とスキルについて『アイデアソン!アイデアを実現する最強の方法』(徳間書店)をテキストに、設計の思想とファシリテーションのポイントについて学ぶとともに、現場で活用できるワークプログラムを体験いただき、各地域において効果的に活用できる力の獲得を目指します。


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講師:原 亮(エイチタス株式会社)
代表取締役社長国内最大級のアイデアソン実績を持ち、地域の課題解決から企業の商品企画まで、アイデア創発を通じて幅広くサポート。事業開発・組織開発・公共の再構築、当事者の方が自走できるための支援を行う。復興庁、青森観光ハッカソン~オープンデータ×地域観光資源活用、製薬メーカー、通信キャリア等、大手企業へのコンサルなど多数実施。1次産業、観光、介護、防災、地域資源、スポーツなどあらゆる分野にIT活用を絡めた異分野・地域間の連携の場づくりでも評価される。総務省 地域情報化アドバイザー、中小企業基盤整備機構 人材支援アドバイザーなど10を超える要職に在任。


参加者の背景

今回の講座は、教員、団体職員、自営業など20代から40代までの8名の方にご参加いただきました。
全6回全ての回で講座に入る前に、チェックインとして『名前』『本日期待していること』『本日のコンディション』を1人ずつ共有。

1回目の講座開始時には、「アイデアは自分で出せるが、それを引き出す方法を学びたい」「もの作りから場作りにシフトしている良いタイミングに見つけた」「これから実施するプロジェクトがあるので、この学びでより良いものができそう」など、どの参加者からも今回の講座に向けて、強い意欲が満ち溢れていることが伝わってきました。

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1回目(7月13日開催)

1回目の内容は、『アイデアソンの考え方』について講師からの講義がメイン。適宜、講師から参加者に質問が投げられましたが、講師とその参加者の対話だけでなく、他の参加者も巻き込んで全体で問題を共有し進めることで、場はとても盛り上がりをみせました。
また、講義中も講師の言葉に対し、それぞれの考えや思ったことをチャットルームに書き込むことで、視覚的にも活発なやりとりが見られました。

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2回目(7月20日開催)


2回目は、講師からの 『快適なオンライン生活の過ごし方』というテーマをもとに、実際にアイデアソンの技法として使われている『ブレインライティング』『マンダラート』『アイデアスケッチ』 という3種類のワークを参加者に体験してもらいました。

テーマに沿って浮かんだものを書き出していく『ブレインライティング』というワークでは、全員共通のテーマを挙げて臨みましたが、参加者8人書き出しの量や内容は様々。実際に体験してもらった後に、講師からファシリテーターとして参加者からの意見の引き出し方法や声の掛け方などのアドバイスもあり、体験したからこそ必要な声かけは何だったのか、と参加者はより深く考えることができたようでした。

ワークのあとは、目的にあわせたアウトプットの設定の講義や、今回の講義に対する質疑応答の時間。参加者から多く質問がでたのは、イベントやワークショップで必ず行う『アイスブレイク』についてでした。『アイスブレイク』とは、初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法のこと。 ファシリテーターの技術として、集まった人を和ませ、コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作り、そこに集まった目的の達成に積極的に関わってもらえるような働きかけが必要となってきます。
「参加者のコンディション作りとして、出力、質と量を高めるために行うべき。次回以降また紹介します」という講師からの言葉で、参加者の期待がさらに高まったように感じました。

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3回目(7月27日開催)

3回目の講義では、実際にワークショップやイベント運営する上での設計の仕方、実際の運営方法について講師の体験談なども折り混ぜながら、学びを深める回となりました。

アイデアソンにおいてよく起こるのが、やりっぱなし問題。アイデアを出して、実施までは進むものの、その後の繋がりや動きがないケースはよくあるそうです。
そこで、ワーク設計のポイントとして、そのワークはなぜ必要なのか、共創活動を行った上でどんな変化が起こるのかといった『アウトカムを見据えて目的を考える』ことを、視野に入れておくのが必要であること。また、アイデアソンの時間やチーム割、現場で流す音楽など、小さな要因でも一つ一つの設計次第で、アウトプットの精度が変わってくるなどと、実際にたくさんの現場を作り上げてきた講師が、過去の例を挙げながら話しました。

講師から出てくる具体的な案や助言に対して、参加者の真剣な眼差しがとても印象的でした。オンラインではあるもの、学びを共有することで、それぞれがジブンゴトに向き合う良い時間になっているように感じました。


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4回目(8月3日開催)

4回目の講座はワーク中心に行われました。

まず、第2回の講座にて作成した自身のアイデアスケッチを使って、『スピードストーミング』というワークを行いました。これは2人1組でお互いのアイデアを共有し、課題の解決や解消案のアイデア出しを行う手法です。

オンラインなので、『zoom』のブレイクアウトルームという機能を使い、人を変えながら2人1組で3セット、『スピードストーミング』のワークを行いました。自分のアイデアを見直したり、他者のアイデアに触れたりすることで得た刺激を改めて自身のアイデアに反映させた後、今度は参加者全体で共有し投票し合う『ハイライト法』を体感。それぞれのワークを体感する中で、講師から実際に行った上での参加者の傾向や、ワークを行う際の助言なども出ました。

後半は、講師の用意したシートを使って、実際に参加者が実施したいアイデアソンの設計案を書き出すワークを行いました。20分で設計案を作成し、1人3分の発表。最後には講師からの講評もあり、一人一人が自分の実施したいアイデアソンに向き合う良い時間となったようでした。

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5回目(8月17日開催)


5回目の講座では、まずアイデアソンの場を行う上での『進行のテクニック』について講師からお話がありました。

実際に行う上でアイデアが全く出ないということが起きないよう、ファシリテーターから例を出すのもテクニックの一つです。ときには、突拍子もないことを例として出してみる。そうすることによって、出していいアイデアの幅が広がっていき、結果参加者が学びやすい、参加しやすい場となります。講師は、このような声かけの工夫も、大事な役割の一つだと話しました。

また、アイデア発展の導き方の一つとしてワークの体験も。今回は2人1組でペアになり、以前講座の中で作成した『アイデアスケッチ』を用いて、実際のペルソナについて可視化していくワークを行いました。実際にサービス化したときの対象となる当事者像(ペルソナ)を具体的に描くことで、そのアイデアのさらなる検討や肉付けが可能となります。参加者の持つアイデアを発展していく上での大事な部分である『当事者の問いを意識すること』に関して、身を持って体験する機会となりました。

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6回目(8月31日開催)

最後の講座では、『リーンキャンバス』についての講座を中心に進みました。

『リーンキャンバス』とは、9つの要素から事業プランを整理するフレームワークです。新しい事業を生み出す際に、この9つの項目を全て埋めることができれば、一般的にバランスが取れたものが描ける仕組みになっています。講師からの説明の後、以前講座中に作成したアイデアスケッチ、ペルソナ像(課題の対象者)をもとに、ブレイクアウトルームを使って、2、3人ずつの3組に別れ『リーンキャンバス』の項目を埋めていく作業を行いました。実際に埋めていく作業を講師もオンライン上で観察し、作業終了後には作業を行ったからこそわかる目線の声かけの工夫など助言も。

また講座の最後には、6回の講座を通して学んだことから、参加前からの変化や気づきを全体で共有しました。

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6回の講座を終え

最終日、最後のチェックアウトでは、全6回の講座を終えた感想を参加者一人一人発表していきました。
参加者からは「実際学んでみて、意外と(アイデアソンは)自由にやっていいんだと思った」「問いをみんなで考えるというところからやるのがいいなと感じた」「楽しかった。早く試してみたい」などという言葉が聞かれました。

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統括

今回の講座では、アイデアソンの考え方から始まり、技法、設計、運営方法などの講義に加え、実際にアイデアソンで使われている様々なワークの体験も行いました。参加者から適宜挙がる質問にも、講師はその参加者だけでなく全体で問題を共有し、参加者一人一人がジブンゴトとして考えることで深い学びを得ていく姿が見受けられました。
6回の講座を通して、それぞれが自分なりにアイデアを創出していく方法、形を見出していくきっかけになったように思います。



(レポート:畠中 詩織 )


問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座90-1 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

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