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【ジャーナル】[Part 1]こうち100人カイギ vol.6 近澤 朋成 (メロン農家/JA高知県新居支所メロン部会プリンセスニーナ部長)/ 長崎 あゆみ (幸せな暮らしづくり デザイナー)

今回は、2019年6月12日(水)に開催された、vol.6。
高知に住む、高知県内外で活躍する方々をお呼びして、働き方やその思いについて語っていただき、各お話についてまとめました。


<こうち100人カイギ vol.6の登壇者>
※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。

近澤 朋成 さん (Part 1掲載)
長崎あゆみ さん (Part 1掲載)

井伏香保里 さん (Part 2掲載)
赤木 将太 さん (Part 2掲載)


今回、登壇者の4名のお話からは「自分自身の想いに正直でいること」「自分の“やりたい”という気持ちを大事に」という部分が共通しているように感じました。その強い想いに共感する方も多く、涙を浮かべて傾聴している参加者の姿も見かけ、たくさんの発見や気づきを普段出会えないような方々と共に共有することができる、そんな貴重な時間となりました。参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


最初の登壇者は、近澤 朋成 さん(メロン農家/JA高知県新居支所メロン部会プリンセスニーナ部長)。

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1982年生まれ 高知県土佐市出身
2009年に就農。最新の技術を取り入れ、高品質なおいしいメロンの栽培に取り組む。栽培する中で、お客様との距離を実感。伝えること、繋がることを生産者がしなければと考えるように。ブランド化をし、他産地との差別化をはからなければ埋もれてしまうと、土佐市産のブランド[プリンセスニーナ]を立ち上げる。当時、農業ではあまり取り入れられていなかったSNS、メディアを利用して組織で情報発信を始める。 お客様との繋がりを大切にしていくことを一番に考え、体験型のイベントを中心に活動中。愛称はメロン王子。

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雇われ側から、経営者へ
現在、土佐市でメロン農家として働く近澤さん。元々は専門学校卒業後、環境分析を行う会社の派遣社員として働いていました。
当時、近澤さんが働いていた部署は社内でも赤字の部署で近澤さんがどれだけ頑張って働いても、社員登用はできない、と言われたそう。そのとき、人に自分の人生を左右されている、と違和感を抱き、自分が経営者に、決定する立場になろうと、26歳で実家のメロン農家を継ぐことを決心したそうです。



自分の言葉に責任を
農業を始め、近澤さんが最初に感じたのは、お客さんとの距離があるということ。試食をしてもらってもそのブランド名がわからない、調べてもらうにもホームページなどもない。どんな人が作って、どんな人が買ってくれているかわからない現状におかしさを感じました。
この経験から、農業の仕組みや業界自体が昔のままで、これから先、農業が生き残っていくことは難しいのでは、と危機感を覚えメロンの生産者部会や組織に向けて色々な提案を始めました。ですがその当時、役職についてはおらず提案するだけで責任もありません。「自分が提案したことは、責任を持ちたい。」と、31歳という若さで生産者組織のトップとなりました。



足りないものを求めて
生産者組織内の平均年齢は60歳でしたが、現代に合わせてSNSの利用をはじめ、新しい提案をどんどん持ちかけます。
しかし、その最中、大きな壁に阻まれました。「そんなことしても無駄だ。」「お前にできる訳が無い。」「失敗したらどうする。」といった否定的な言葉の数々。その言葉にまた「人の支配下で生きている」ことを感じ、「このままではいけない」と自らが責任を持って行動できるよう、学ぶことを始めました。考え方や物の捉え方、心理学やビジネス書と、仕事をしながら本を読めるよう、音読ツールを利用したり、様々なセミナーに出たり、と今の自分に必要な知識を求めて、行動をし続けているそうです。



認めること
経験や知識が養われたおかげで、否定的な言葉を発する人の目的や欲求についても理解できてきた、と近澤さんは話を続けます。自分自身を振り返ってみると、“認めて欲しい”という承認欲求を原動力に頑張ってきた自分に気づき、まずは自分自身が変わらなければいけない、と思ったそうです。
今、近澤さんは後輩や誰かに相談されたとき、実践していることがあります。それは肯定し、承認し、そして共感すること。
そうすることで相手は前向きになり、熱量が高くなり、成功に近づく、と自分の経験をもとに語ってくれました。



楽じゃなくて、楽しいを選択
今の若い世代と関わる中で、やりたいことはあるのに、否定を恐れて行動に移せていない人が多いことを近澤さんは残念に感じています。人の目を気にして、自分が良い、やりたいと思った考えを選択しないこと。選択を他人にしてもらうのは簡単で、それが失敗して人のせいにするのは楽かもしれない。しかし、それは勿体ない。
「自分で選択して、自分で決断をして欲しい。楽じゃなくて、楽しいを決断して欲しい。」
自分で選択して、失敗したとしてもその失敗は自分を育てる肥やしとなることを知っているからこそ、近澤さんはこれからも実践し続けていきます。
自分で自分を変化させ続け、次の世代にいい影響が与えられる人になりたい。と笑顔で話してくれました。




2人目の登壇者は、長崎 あゆみさん(幸せな暮らしづくり デザイナー)。

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1972年生まれ 四万十市出身 看護師
小さな頃から幸せな結婚を夢みていたものの、実際の結婚生活は1人でいることが多い、寂しさと虚しさを抱える生活を送る。離婚をし、軽い鬱病になり、アトピーを発症。思い描いていた幸せとは程遠い暮らしを送る20代半ば。ふと立ち寄った本屋で「暮らしを楽しむ」という1冊の本に目を奪われ、幸せを手に入れる暮らしをスタートさせるキッカケとなる。独学で家具を作り、暮らしの中で幸せを感じ変化し輝き始めた自分に気がつく。オリジナルの家具をデザイン、製作、販売を始める。
コンセプトは「世界で一番幸せな暮らしづくり」。

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夢とかけ離れた現実
看護師としてフルタイムで働きながら、17年間家具デザイナーとして活動を続けている長崎さん。家具デザイナーとして活動するようになったきっかけは、離婚を経験したつらい日々でした。
小さい頃から結婚して幸せな家庭を築くことを夢見ていたものの、いざ結婚してみると思い描いた生活とは違い、1人でいることばかりの日々。そんな生活は長く続かず子どもを連れて離婚することになり、「幸せって何だろう?」と思い悩む長い日々がはじまりました。その当時のことを、出口の見えない闇を彷徨っているようだったと話してくれました。



家具作りとの出会い
そんな長崎さんを救ったのが、家具作りとの出会いでした。新緑香る4月の日、久しぶりに季節を感じて外にでた長崎さん。
たまたま立ち寄った本屋で見つけた“家を楽しむ”というテーマの本。
そこには、楽しそうに、そしてお洒落に暮らすたくさんの女性と人の手で作られた棚、その棚に飾られたたくさんの雑貨などが描かれていました。
それを見て、何かに突き動かされたかのように、その足でホームセンターに行き木材を購入し棚をひとつ作りました。切り口はガタガタ、しかし不恰好ながらも自分で作り上げた棚に、お気に入りの雑貨を並べたその瞬間、なんとも言えない気持ちが湧き上がってきた、と話します。
今まで家は食べる場所、寝る場所という認識でしかなかった長崎さんにとって、その出来事は運命の出来事だったそうです。



この想いを届けたい
「作るって楽しい。」、「楽しいは作れる。」と体感した長崎さん。それから“家で暮らす”ことを少しずつこだわるようになっていきました。また、それまで意識することがなかった自分自身が好きなことや、何にときめくかということを考えたり、それに費やす時間を作ったりする中で、“自分が輝いている”ということを実感したと話します。その時感じた、それまでの自分とは違って、満たされた自分。この想いを私以外の誰かにも感じて欲しい、幸せなお家暮らしができる手伝いがしたいと、長崎さんは家具作りを始めます。それから顧客も徐々に増え、1年前にはオンラインショップ“インテリア家具LaLaLa”を開業しました。



幸せの形は違えど
長崎さんは現在までで、2000点を超える作品を制作しています。作品のほとんどが完全オーダー、お客様の要望にとことん寄り添って作っているそう。
白を基調としたやさしい色の家具は、優しい暮らしの一部となり、心に安らぎと楽しみを与えてくれます。看護師として働きながら行う為、制作する時間は限られていますが、苦になることは全くない、と話します。
家具作りを「心から夢中になれて、心から自分が楽しめること。」、そして家具作りを通して「夢見た幸せではないものの、また違った幸せを手に入れました。」と笑顔を見せてくれました。


自分の生き方をデザインする
たくさんの人の幸せに寄り添うよう、フルオーダーの家具作りを行い、家具を通して他者に幸せを届けている長崎さん。家具作りとはまた違う、やってみたいことがある、と話してくれました。できる、できないではなく、自分のやりたいという気持ちに耳を傾け、自分を信じて挑戦し続けたい。
そう自らの経験を振り返る長崎さんの次の夢は、言葉で届けること。
作品という形ではなく、今回、この100人カイギで自らの話をしたように、たくさんの人と繋がり、自分の想いを届けたいという気持ちがあると話してくれました。
“自分の人生は、生き方はデザインできる”長崎さんの新たな挑戦は、今始まったばかりです。


【総括】
最初に登壇してくだった近澤さんは、雇われ側から経営者へ、そして組織のトップになってからの自身の変化についてお話いただきました。自身の経験を通して “楽な方ではなく、楽しい方を選択してほしい”という言葉がとても印象的でした。
また、2番目に登壇してくださった長崎さんは、自身の暗い過去から、人生を変えた家具作りとの出会いを話してくれました。自分の追い求めていた幸せとは違っても、今自分は幸せを感じているという言葉に、長崎さん自身の強いパワーを感じました。
「自分の気持ちに正直に」という2人のキーワードが、多くの方の心に響いたのではないでしょうか。


(レポート:畠中 詩織)


100人カイギとは
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。

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