見出し画像

デザイン思考による実践的事業創造プログラム-基礎編

2020年7月22日から8月26日の間、Kochi Startup BASE®︎(以下KSB)主催で『デザイン思考による実践的事業創造プログラム-基礎編』が5回講座として行われました。
この講座は、現在の情勢を考え、5回全てオンライン上で開催されました。


『デザイン思考による実践的事業創造プログラム-基礎編』は、全5回連続講座。
地域において商品開発やサービス開発を行うための事業創造プログラムを提供するとともに、約3ヶ月を通して、課題の抽出、事業アイデアの創造、仮設設定、プロトタイピング、検証、ビジネスモデルの構築というデザイン思考のプロセスを学んでいきました。 


画像1

講師:須藤 順氏(高知大学地域協働学部准教授)

高知大学 地域協働学部 准教授 博士(経営経済学)、社会福祉士、LEGO®SERIOUS PLAY®メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテータ。
医療ソーシャルワーカーとして勤務後、中間支援機関においてコミュニティビジネス/ソーシャルビジネス、まちづくり/コミュニティデザイン支援に従事。(独)中小企業基盤整備機構リサーチャーを経て、現職。専門は、社会的企業論/社会起業家論、コミュニティデザイン論。マイプロジェクト手法を活用した起業家育成、地域イノベーター育成に関する実践と研究を各地で展開。2018年2月中小企業庁・創業機運醸成賞受賞(「マイプロジェクト手法を活用した学生向けの起業・新規事業開発支援」)、消費者庁主任客員研究員(消費者行政新未来創造オフィス)。

参加者の背景

今回の講座は、20代から60代の男女6名の方にご参加いただきました。オンライン開催なので、高知県の参加者だけでなく、茨城県や長野県など、半数の方が他県からこのイベントに参加していました。

全5回全ての回で講座に入る前に、チェックインとして『名前』『今の気持ち』『今日の期待』を1人ずつ共有。1回目の講座開始時には、「新しい刺激を受けたい」「アイデアを形にしていきたい」など、参加者の講座に対する期待や学習意欲が感じられました。

画像2

画像3

1回目(7月22日開催)

前半は、講師からのインプットとして、『デザイン思考の考え方や共感の重要性』について講座が行われました。参加者からは、メモを取ったり、頷きがみられたりなど、真剣な姿が見受けられました。

後半の『インサイトを見つけるための観察の方法』では、実際に事業を考えていく中で必要な観察スキルを学ぶため2つのワークを体験。
一つは短い動画を見て、行動を可視化するワーク。もう一つは、3人一組に別れ、テーマに沿って他者にインタビューをし、第三者がその様子を観察するワークでした。実際に2つのワークを体験し、これから事業を起こす上で必要となるユーザーの理解という部分について学びを深める時間となりました。

画像4


2回目(7月29日開催)


2回目は、『事業創造の実践における共感と定義』をテーマに、1回目の講座後に講師から出された課題の深堀をしていきました。

課題は、自身の事業創造におけるペルソナ像を可視化するシートを記入すること。ペルソナとは、サービス・商品の典型的なユーザー像のことを指します。この日のチェックインでは、「ペルソナが実際に何に困っているのかなど考えながらできた」「実際に聞いてみて、もしかして困っていないのではと感じたので、このもやもやを今日の講座で解消したい」「ペルソナに対して分かっているつもりだったものの、実際に話してみると聞かなきゃわからなかったことがあり、学びになった」などと、それぞれが課題に真剣に向き合った様子が伺えました。

デザイン思考で一番大切なことは、ペルソナの設定。その設定をより詳しく表現し、理解することが事業創造において必要不可欠となってきます。ワークでは、2人1組にわかれ、それぞれの可視化したペルソナ像を共有。自分だけでなく他者の考えも共有した上で、さらにペルソナの立場になって細かく書き出していく『共感マップ』というシートを埋める時間を設け、一人一人がペルソナ像をより具体的に表していきました。


画像5


3回目(8月5日開催)

3回目の講義では、1回目、2回目の講座や課題を通して、自身が作り上げたインサイトを元に、実際にアイデアを発想し、膨らませていく作業をしました。当講座タイトルでも触れている『デザイン思考』の特徴は、アイデアの膨張・収縮を何度も繰り返していくことです。この特徴を実際に参加者一人一人が課題を通して実践していきました。

アイデアの定義として、既存しているものの組み合わせという考え方がありますが、この日はその考え方を自身で体験するワークや、現状考えているアイデアをシートに書き出すワークをそれぞれ行いました。
後半は『zoom』の機能であるブレイクアウトルームを使って、2人1組で自身のアイデアを紹介し合うワークを体験。人に話すことで、自身のアイデアの整理になり、また人のアイデアに触れることで自身のアイデアが変化していくことを参加者1人1人が体験し自身のアイデアをさらに創造していく時間となりました。

画像6

4回目(8月19日開催)

4回目の講座は『リーンキャンバス』というワークを中心に行われました。
『リーンキャンバス』とは、1枚のシートを使ってビジネスモデルを9つの要素で整理し、可視化していくためのワークです。顧客の課題にフォーカスした形で事業を描くことのできる仕組みになっているので、新規事業の立ち上げや0から1に向かっている方に有効性の高いワークとなります。

前回までの講座を受け、「実際に思い浮かべているサービスは既存のものにもあった」「自分がやりたいこととペルソナが必要としていることにはズレがあるかもしれなくてもやもやしている」というやや不安な声も参加者から聞かれていましたが、 『リーンキャンバス』を前にそれぞれが自身のアイデアやそれに対する顧客について真剣に向き合い、整理していく時間となりました。

画像7

5回目(8月26日開催)
5回目の講座では、『事業実践における試作と検証』をテーマに講座が行われました。

最後のチェックインでは、「これまでやってみて自分のやりたいことが固まってきた」「リーンキャンバスを通して自分の考えの弱い部分が分かった」など、4回通して各々が自分の課題を知り、向き合っている姿が伝わってきました。

この回では、『Working Backwards』という手法を用いて、これまで考えてきたアイデアを実際に世に出すと考えたときのリリース文を作成するワークを行いました。これは作った側の視点ではなく、利用する消費者側の視点を考えること。消費者の心理としては、商品を目にした際に一瞬の判断で、その商品を使うかどうかの判断に至ります。その一瞬の間に、どのような言葉や表現を使えば、消費者に受け入れられるのか、ということを一人一人が自分のアイデアに当てはめて考えました。その後、出来上がったものを2人1組となり、検証するワークも行いました。

画像8

5回の講座を終え

5回の講座を終え、参加者からは「アイデアは既存のものを組み合わせても良いということを知って、イメージが掴めた。課題もいいものばかりだった」という充実していたことが伺える感想や、「本当にできるか心配な部分もある。夢物語で終わらせないようにしないと」「目指す形にするには結構頑張らないといけない」という今後の課題が見つかったという言葉も聞かれました。

最後には、講師から講座を通してのまとめや助言があり、講座は幕を閉じました。

画像9

画像10


統括
今回の講座では、講師からの講義をメインに、個人ワークや『zoom』の機能であるブレイクアウトルームを使って適宜参加者同士の対話も繰り広げられました。参加するまでなんとなく頭で考えていた一人一人のアイデアが、回を重ねるごとに形になっていきましたが、形になったことでそれまでに見えなかった課題に直面し、困惑する姿も見受けられました。しかし、参加者がなんとなく浮かんでいた自分のアイデアを可視化することができ、さらに今後も課題に向き合うための考え方を学ぶ良い機会になったように思います。



(レポート:畠中 詩織 )

問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座90-1 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

皆様からいただいたサポートは、今後の活動・運営に使用させていただきます。