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【ジャーナル】[Part1]こうち100人カイギ vol.17 植 さおりさん(高知県立高知ろう学校教諭/Mrs.of the year2020四国大会グランプリ)


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画。

今回は、2021年2月16日(火)にKochi Startup BASEでの現地開催とzoomを使ったオンライン開催にて行った100人カイギvol.17で登壇いただいた5名、1人1人の話にフォーカスを当てています。


参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.17の登壇者>

5名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、こちらの記事もチェック!※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。


植 さおり さん(Part 1掲載)


内田 龍太郎さん(Part2掲載)
都筑 正寛さん (Part 2掲載)

古川 ちなさん (Part 3掲載)
山口 彩さん (Part3掲載)


1人目の登壇者は、高知県立高知ろう学校教諭/Mrs.of the year2020四国大会グランプリの植 さおりさん。

SA703870のコピー

高知県出身。
愛媛大学教育学部聾学校教員養成課程で学ぶ。現在、高知県立高知ろう学校で担任兼研究部長として奮闘。生き方を変えたいと思い、今年初めて開催された「カッコいい女性」をコンセプトとしたミセスコンテスト「Mrs. of the Year2020 四国大会」に出場。グランプリ&スポンサーおりづる電気賞W受賞。Mrs. of the Year2020日本大会ファイナリスト。未来に必要とされる存在を目指して活動中。

挑戦できる子どもたちに

普段は高知ろう学校で教員として働く植さん。高知ろう学校は、聴覚に障害を持つ子どもたちのための学校です。人工内耳や補聴器をつけた子どもたちに、手話を使いながら、一般の学校と同等の学びの機会を提供しています。「言葉が思考をつくる」とよく耳にしますが、では、知っている言葉の少ない子どもたちはどう思考を育んでいくのか。植さんはその部分に対して、「子どもたちの頭の中を整理して、ひとつひとつ概念を育てていく仕事。責任重大で尊い仕事です」と言いました。
現在、小学1年生の学級担任をしていますが、勉強を教えるだけでなく、子どもたちと新聞コンクールへの参加や落語などに挑戦もしています。そこには植さんなりの考えがありました。子どもたちはろう学校を卒業した後、大学や社会に出て、耳の聞こえる人の中で活動しなければなりません。一般の子どもたちに比べて、ハードルは高いかもしれませんが、障害の有無に関わらず、小さい頃からいろいろなことに挑戦して欲しい、挑戦できる子どもたちを育てたいと、言葉が続きました。


人生を楽しむ一歩

教員としてコツコツ仕事を続けて来ましたが、植さんにある転機が訪れます。それは、『Mrs of the year2020』への参加決意でした。『Mrs of the year2020』は、かっこいい女性をコンセプトとしたミセス(既婚女性)のためのコンテスト。審査基準は見た目重視ではなく、努力している姿や教養、立ち振る舞い、社会貢献、発信力などを総合的に評価されます。
植さんは、昨年から個人的に参加している『人生が開く話し方道場』というプログラムで、いろんな価値観の仲間に出会い、自分の世界が狭かったことに気づきました。元々、真面目に一生懸命やることがいいと思っていた自身に、「人生を楽しむ」ことを教えてくれたと言います。もっと今以上に前向きに生きるために挑戦しようと思ったのが、このコンテスト。出場することで、自分自身に変化もたらしたいということ、加えて、自分が前に出ることで、ろう学校や子どもたちの存在を社会にアピールし、子どもたちに希望や挑戦する勇気を届けたい、と思いました。

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コンテストを通して

2020年9月に行われた『Mrs of the year2020』四国大会。審査を通過し、ファイナリストが集まるステージへの出場に向け、人生初の14cmヒールを履くことから植さんの挑戦は始まりました。本業の合間に、スピーチとウォーキングのレッスンを受ける多忙な日々。はじめは、コンテストに出ることを職場でどう思われるか不安もありましたが、笑顔で仕事を確実に仕上げていくことで、自分への信頼を築くしかないと、必死で日々の業務に取り組みました。努力の甲斐あって、大会では『スポンサー賞』と『グランプリ』のダブル受賞を果たすことができました。その後の日本大会では惜しくも結果を残すことは出来ませんでしたが、当時のことを「人との競争よりも大会に「向かって自分を磨いていく充実した日々でした」と振り返ります。
コンテストで一番良かったことは、ファイナリストとして選ばれたことで、それにふさわしい人になろうと、自分が成長できたこと。人はまず見た目で判断されるので、外見を最大限に磨く努力をしました。また、外見を磨くことで本当に綺麗になり、「きれいだね」と称賛を受けることも増えました。その言葉に対し謙遜せずに、素直に受け取ることも必要だと学びました。

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しなやかに自分らしく

また、コンテストに挑戦したことで、「手話を教えて」という人、「私もよく聞こえなくて」と打ち明けてくれる人、学校を応援してくれる人など、ろう学校について興味を示してくれる人が増えました。加えて、今回のコンテストへの挑戦について、地元テレビ局が密着取材をしてくれましたが、放送時は全て字幕をつくように配慮してくれました。お年寄りも含め、世の中には耳の不自由な方がたくさんいます。そんな方々の住みやすい社会になることを願って、今後も活動していきたいと話す植さん。
自分自身に価値がないと思っていたこともありましたが、今は仕事にも自分にも誇りを持てるようになったと言います。
最後は、「コンテストに出たことで人生が変わるか?」という質問があったことについて。「エントリーするまでは、人に自分のことを知られるのが不安でしたが、前よりずっと、心が自由にわくわくすることいっぱいで過ごしています。人生は変わります。」と、自分の思いを語って、話を締め括りました。

【総括】

今回の植さんの発表では『Mrs of the year2020』のコンテストを経て、自分のなかで起こった、考え方の変化や成長を語ってくれました。自分の生活を楽しむことに罪悪感を抱き、視野も狭くなってしまっていたなか、コンテストに出場したことで、自分自身を受け入れ、自分の性格や経験を活かした前向きな生き方ができるようになっていったと話してくれました。挑戦し続けることの大切さや自分や他人を受け入れることによってわかる価値観など、今回の植さんのお話からたくさんのことを学ばせてもらいました。


(レポート:前田 大我)


100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。


問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/



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