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【レポート】お母さん目線で起業したら全国42店舗になった地域共感ママビジネス~こうち女性起業家応援プロジェクト連続セミナー #8


「こうち女性起業家応援プロジェクト」は、起業や育児休業後の職場復帰や再就職、移住後のキャリアチェンジ、そして、キャリアアップを目指す女性を幅広く支援するという想いから、各分野で活躍する起業家をゲストに迎えたセミナーや、生活目線から考える事業アイデアの創造に向けた学びの機会を提供し、高知の女性が自分事として取り組むことのできる新たなチャレンジを後押しすることを目指し、開催しております。

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第八回目は馬場加奈子さん(株式会社サンクラッド代表取締役)。
馬場さんは学生服リユースショップ「さくらや」を運営する傍ら、起業セミナーの講師などでも数多く登壇され、女性起業家として注目を集めておられます。
3人の子育てをするシングルマザーの馬場さんが、自分の不便さや大切に扱いたい想いをもとに、起業するまでの経緯や、女性ならではの感性を大切にする起業、そして、これからの働き方についてお話しいただきました。

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馬場 加奈子 氏(株式会社サンクラッド代表取締役)

2011年 学生服リユースshopさくらやopen。3人の子育て中のシングルマザーがどこにもなかったビジネスに着目し地域共感型ビジネスを展開し現在さくらやパートナー42店舗に拡大している。自信の経験からお母さん、女性の働き方について発信し高松信用金庫と女性起業応援塾を開催しメンバーは120人となる。 日本商工会議所女性起業家大賞史上初の2部門優秀賞、日経WOMANオブザイヤー受賞。TBSがっちりマンデーなど出演。


陸上少女、起業を決意する
馬場さんは中学校から砲丸投げや円盤投げを始めました。大会などでは成績も優秀だったので、大学生になってからも強豪校で陸上を続けていました。陸上に明け暮れた学生生活を過ごした馬場さんは、「普通の女の子のようなことをしたい!」、と就職の際には、保険会社を選択、OLとして働き始めました。その後、結婚し、3人の子どもを授かるも、離婚。女手一つで子ども3人を育てながら、家賃や生活費を払うのは並大抵のことではありませんでした。雪の日もベビーカーを引きながらチラシのポスティングをし、どうしようもない疎外感に陥ることもありました。
「こんな思いを抱えているのは私だけじゃないはず」
そう思った馬場さんは、知的障害があった長女のための時間を作れるよう、長女が中学生になるまでに起業することを決意します。しかし、いきなり起業できるわけでもないので、まず、何をしようかと考えながら、タウンページを開いたところ、目に飛び込んできたのが、保険会社の法人営業の仕事でした。
‐保険の販売をしながら社長と関係をつくれるかも
‐社長たちと仲良くなったら起業についての相談もできるかも
と考え、勤めることにしました。


お金と時間
保険会社の法人営業として働き始めた馬場さんの上司は、鬼課長ともいうべき厳しい人でした。一方で、営業のノウハウだけでなく松下幸之助の本や視野の広げる教育をしてもらったり、子どもが、3人いると本も読める時間がないだろうと車中で聞ける本のCDをもらい通勤途中に聞いたりと、実は愛のあった鬼課長のもとでお客様にどうしたら喜ばれるかのセンスを習得していき、営業成績もよくなっていきました。そして、子どもたちに一人一つずつのおもちゃを買い与えることができるくらい、生活も余裕が出てきていました。しかし、ある日留守にしがちだった家に帰ると、子どもたちが一斉に話しかけてきたのです。
‐貧乏だった時は一緒にいる時間がたくさんあったのに
‐いま、ちょっとお金は増えたけど、何でもお金で解決するようになっている
そんな自分に気づいたとき、「子どもたちが母親の働く姿を見ながら、一緒に仕事ができる環境にしなければいけない」と、そう強く決心しました。


長女の制服が手に入らない
起業を決意していたものの、どんな事業で起業するかは固まっていなかった馬場さん。長女の進学がひとつの大きな転機となりました。長女が通う中学校の制服が、手に入らなかったのです。馬場さんは近くに親戚もおらず譲ってもらうことも出来ません。
「どうして制服のリサイクルはないのだろう?」
そんな自分の困りごとから、起業への取り組みが始まります。馬場さんは、制服の古着屋がないか、あちこちを探し歩きましたが、見つかりません。「まだ世の中にないなら、自分でやってみよう」と、思い、ママ友たちに「制服のリサイクルショップ」について、話をしてみました。100人のママ友に話を聞いて、みんな「いいね!」といってくれました。一方で、保険営業で知り合った社長たちに相談をすると、「絶対もうからないよ」と言われましたが、馬場さんはあきらめませんでした。こうして、「お母さんのための制服リサイクルショップ『さくらや』」はオープンしました。

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経験がつながる瞬間
オープンしたものの、誰も訪れてくれません。オープンしたことが、知られていなかったのです。そこで、かつての経験を活かし、子どもたちと散歩をしながら、くじけそうな心を何とか保ってチラシのポスティングを始めます。そんなときも支えてくれたのは、一緒になってポストを探してくれる子どもたちの姿。
まずは、知ってもらうために、ブログを1日10回更新する!子どもたちにおかえりとを言えるようにお店は10:00~15:00まで!など、子どもと一緒に働く、という思いを第一に、必死に取り組みました。
そして気づくと「こんなお店がほしかった」「もっと早く知りたかった」といった声が、馬場さんの元に届くようになります。

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無理をしない、パートナー制度
「さくらや」を始めて2年目に入ると、今度は全国のお母さんから、自分たちの地域でも「さくらや」をやってほしい、「さくらや」をやりたいといった問い合わせが来るようになりました。
しかし、1万点を超える在庫管理の独特なノウハウの伝え方や、自らの拠点である高松から遠く離れた地方に店をオープンするために子どもたちをおいて出張に出かけるのは正しいことなのか…、など多くの悩みがありました。
そこで始めたのがパートナー制度。月3000円で、電話などで馬場さんに相談できる仕組みです。
そして馬場さんがいつもお母さんたち言うのは「決して無理をしない」ことだといいます。子どもを大切にできないと仕事もできない。子どものことを常に考えてきた馬場さんだからこそ言える言葉です。


チャンスが巡るように動く
現在も馬場さんは「さくらや」でお母さんたちの話を聞き続けています。そこから出た悩みや課題を、さくらやのイベントで試してみたり、問いかけてみたり、色々な企業や行政を巻き込んでプロジェクト化して取り組んだり、といった活動を続けています。そうすることで、ますます「さくらや」が認知され、思いもよらないところからお声掛けが来たりして、さらに面白い取り組みが生まれていきます。
「自分が『良い』、『やりたい』と思ったことを、自分らしくやっていくことがリーダーの役割で、自分と自分の周りの人たちが活躍することにもつながる」。そう話す馬場さんの言葉には、これまでの自分のやってきたことを信じて、動き続けてきたからからこその説得力がありました。

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ライフヒストリーや気づきのシェア
次に参加者2人1組のグループをつくり、自身のライフヒストリーや、馬場さんのお話を通して得られた気づきを共有する対話ワークを行いました。

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参加者それぞれが今までの人生をグラフに書き起こして、自分自身の人生を語り合いました。自分がどんな人生を歩んできたのか、そこでどのような気づきや教訓を得たのか、紹介し合うとともに、馬場さんとの共通点や共感できた点などについても参加者同士で共有を行いました。途中、馬場さんが、参加者のお子さんと一緒に遊んでくださったり、参加者と一緒に人生グラフの共有を行ったりと、リラックスした時間が流れていました。

チェックアウト
最後は、チェックアウトと題して、一人ひとり今日の感想を話しました。

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参加者からは「今のタイミングで馬場さんの話が聞けて良かった」「モヤモヤしていたものがスーッと見えるようになった」「『無理をしない』という言葉が自分の中で大きなヒントになった」といった感想が出てきました。


総括
「その人がどんな笑顔になるのかな?と考えてやってみることが、成功につながり、例え失敗したとしてもノウハウとして活かされる」。そう話す馬場さんからは、常に自分の「良い」と思ったことに取り組むことを恐れない、とても前向きな姿勢が感じられました。そんな馬場さんの姿を見て、参加者の皆さんも大きな原動力をもらったのではないでしょうか。
これからも躍進し続けるであろう馬場さんに、負けないくらいの熱量を持ちたい!と感じられたイベントでした。

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(レポート:檜山諒 )

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