サウジのレースを振り返ってドバイの参考に

ドバイへ向けてサウジのレースをふりかえってみる。

まずサウジのダートについて

武豊騎手の意見
「ダートの質は乗っていて、すごくいいのを感じます。砂というか、土というか、ウッドチップとかも入って、オールウエザーのようですし、キックバックが少なくてジョッキーにとってもいい。アメリカのダートにオールウェザーが混ざっているような…、そういう感覚です」
「ドバイとか米国のダートに近いけど、もう少し深いかな。思っていた以上にタフで負荷がかかる。マテラスカイにはいいと思う。去年のドバイやBCよりもメンバー的にも楽だからね。チャンスあると思います」

ミシュリフのゴスデン師の意見
”I have always been told by the top American jockeys and by Frankie Dettori that this is the best main dirt sand track in the world, and I think that is very much proven today that a turf horse can actually switch to it. So many of the tracks are too loose with horrible kickback, but this is a very good test for the Thoroughbred.”
アメリカのジョッキーやデットーリが『世界最高のダートコース』と言っているらしい。
キックバックも気にしなくていいし、芝馬が適応できたことでそれが証明されたね!って。

サウジのダートは『欧州馬招致のために芝馬にもチャンスのあるダート』と言っていいんじゃないか。

日本のフルフラット、ピンクカメハメハと日本の芝のスピードについていけない馬が連勝しているのも日本の高速馬場に適性がある馬より、『欧州の時計のかかる芝』に適性がある馬に有利なのでは。

アメリカのトップクラスが出走したサウジカップでもアメリカ馬は予想以上に苦戦した。

ニックスゴーがあのペースでバテたのは距離ではなくダートの重さに体力を消耗させられたとみる。シャーラタンもしかり。

雨が降って戸崎騎手はチューワウィザードの敗因にも上げていたけど日本のダートとの違いも大きかった。
1200m通過が1分11秒(日本式で約1分9秒7)、1400m通過1分23秒1(1分21秒8)
去年は1200通過1分10秒(1分8秒7)、1400m通過1分23秒3(1分22秒)で、今年の方がペースは遅かった。

日本での前走チャンピオンズカップが1200m通過1分12秒3。
チューワウィザードはマイル以下を走っていないので純粋に今まで経験したことのないペースについていけなかったとみるべき。
マテラスカイやピンクカメハメハとの違いはこれにつきるのではないか。

今回の結果から『芝馬を連れていけ』という方々がいるが、私は『芝のスピードを経験させた馬を連れていけ』なんじゃないかと。


2020年のサウジカップ6着のゴールドドリームに騎乗したルメール騎手は『馬場の経験』を上げる。
「(米国馬と比べて)馬のレベルはたぶん同じだけど、ダートに関しての適性は全然違う。(米国やドバイの砂質に近い)ここのダートに米国の馬は経験がある。でも、彼らが日本に来ても(砂質が違うので)たぶん勝てない。ゴールドドリームはドバイで最下位(17年のドバイWC)だったけど、一度経験していたから今回良かったのだと思う。クリソベリルは(同質の砂が)初めて。だから難しい」

ゴールドドリームが最下位だった時のドバイダートは重馬場で、日本のダートの重馬場とは全く違うのも原因。日本のダートのように重馬場で時計が速くならない。

チューワウィザードのようにサウジカップからドバイへの転戦は今年が初めてなので、果たして1回経験した事がこの短期間で活きるかどうか。

スプリントの2頭は次も期待できそうだ。
マテラスカイはドバイで5,2着と好走。
最初の年なんて1600万を勝ったばかりでの挑戦。
サウジでもこれで2年連続2着。
唯一の凡走は2019年のBCスプリント。
しかし、他のレースが800通過46秒台なのに対してBCスプリントは44.04というハイペースで潰れたとみた方がXYJetとの比較でもわかりやすい。

ドバイは逃げ先行有利なのだが4角で先頭から5馬身差なら届くのでコパノキッキングは仕掛けのタイミング次第。サウジの時よりも早い仕掛けが求められる。

ピンクカメハメハは前走でドバイの有力馬に勝っているのでまた期待できるかもしれない。
Mouheebという馬がドバイ2000ギニーを1分36秒46で勝ったのだがそのレースで2着に逃げ粘っていたMeshakelがサウジダービーで惨敗。
2000ギニーのトライアルレースでMouheebに勝ったRebel's Romanceがサウジダービーで5馬身差の4着。
ただ、ドバイの方が時計が速くなるのはピンクカメハメハには不利で大きな不安ではあるが。

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