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重馬場が得意とか苦手とか②

*注意*今回は特に私の個人的な印象を強く全面に出しているので『こんな見解もあるのか』ぐらい軽い感じでヨロ。

競走馬はどう走るのか

重馬場が上手いかどうかは『血統』、『馬体構造』、『走法』などから推測できるけど結局は実際にレースで走ってみないとわかんない。

"Even though she handled it I would be very worried if we get stinking ground in France because she is a beautiful low-actioned filly. We now know she can get away with good to soft, but I wouldn't be sure about heavy ground." - エイダン・オブライエン師

ヨークシャーオークスのレース後のエイダン・オブライエン師のセリフです。

ヨークシャーオークスはGood発表ですがコーナー手前の約900mがGood to softなのは当日発表の馬場状態でわかります。

ラヴは足の運びが低い位置で行われ、ストライドも大きいので柔らかい馬場での走りを心配されているのです。

『欧州血統はパワー型だから重馬場が得意』というのを時々聞きますが、ガリレオ産駒でも重馬場が苦手な馬なんていっぱいいます。例えばアンソニーヴァンダイクなんてキングジョージで大敗してから重馬場はなるべく回避しています。凱旋門賞も回避しましたよね。

重馬場が得意な馬というのは、『良馬場で走っている時と同じ感じで重馬場も走れる馬』です。

良馬場が得意な馬というのは、『硬い地面からの反発力をうまく生かして走れる馬』です。

その馬本来の走法はレースで全力で走っている時によくわかります。

一般的に、勝負所で加速して行く時にまずはピッチ(足の回転)が速くなります。そしてスピードにのってくると徐々にストライドが大きくなっていきます。ここで、躍動感たっぷりに全身を大きく使ってストライドを大きくできる馬は地面が硬かったりクッションが効いていればその反発力を活かしてより大きなストライドで飛ぶように走れます。

一方でサドラーズウェルズ系によくみられるような首が高い馬は大きくストライドをとれないので良馬場で全力で走った時にはストライドの大きな馬に最高速で負けてしまいます。

しかし、ピッチ走法で走る馬は映像を見ていただければよくわかるのですが、走り方に安定感がある。躍動感には欠けるけど胴体がブレない。

これが重馬場を走る時に大事。

重馬場

上の映像のキーンランドカップでは一番人気のダイアトニックが15着と大敗。重馬場の高松宮記念で勝ち負けした馬がなぜ!?

レースを見れば勝ったエイティーンガールはいつも通りの走りができているのにダイアトニックはストライドも狭くヨタヨタはしっています。

快晴下の野芝+洋芝の中京の重馬場よりも雨の降る洋芝札幌の重馬場の方が馬場が柔らかかったという事でしょう。メイン以外のレースの時計を見てもキーンランドカップの日の札幌の馬場はかなり柔らかかったと言えます。

特に雨が降っていると芝が濡れて滑るのを気にする馬もでてきます。

さらに地下茎、ほふく茎のない洋芝で雨が降ると馬場が非常に柔らかくなり、ひどくなると2019年の凱旋門賞の日の馬場になります。

「稍重であれば、2着になったことにがっかりするでしょうが、不意打ちを掛けられるのは分かっていました。フランキー(・デットーリ騎手)とコースを歩いたとき、スティックがとても深く食い込むのを見て、"これは問題だ"と思いました」 - ジョン・ゴスデン師

札幌、函館の洋芝は地下茎のあるタイプなので欧州の馬場ほどは柔らかくなりませんがそれでも野芝を使用している他の日本の競馬場の馬場と比べればクッションの効かない柔らかい馬場になります。

柔らかい馬場では馬は大きなストライドをとる事が出来ないので、良馬場での走りが大きいストライドの馬はそれを補おうとピッチがいつもより速くなり、結果的に体力も速く消耗してしまいます。

馬体重

2019年のひどい重馬場の凱旋門賞を勝ったのは約420キロのヴァルドガイスト。2020年の雨の桜花賞3着は416キロスマイルカナ。

私は雨なら大型馬を割り引いて小型馬を狙います。

しかし、なぜかは知らないのですが、『小型馬はパワーがないから重馬場が苦手』という謎理論を時々目にします。

以下の他のサイトを見てもむしろ大型馬の方が柔らかい馬場では不利という結論。

血統

オルフェーヴルは高速安定性能の高いピッチ走法で重馬場も全く苦にしませんでしたし、産駒全般では重不良馬場の方が回収率が高い。

しかし、出世頭のラッキーライラックは重馬場が苦手。

なぜか?

母方の血の影響でラッキーライラックの脚はオルフェーヴルよりも長く、走り方が前脚をかき込むよりも前に延ばしていくストライドの大きな良馬場向きの走り方だから。

〇〇産駒だからって言うのは大雑把な情報で、やはり一頭一頭きちんと見ないといけない。

じゃあ、ストライドの大きなキセキはなぜ重馬場が得意なのか?

上半身が強いからですね。

ストライドの大きな馬はだいたいが上半身も前傾させて前に突っ込んでいくような走りをします。特に勝負所で全力で走る時には。

しかし、キセキはラスト3ハロン32.9を記録した信濃川特別でもストライドは大きいのですが上半身が突っ込むことなく安定している。

良馬場でクビの上下動が少なくて馬体が安定している馬は重馬場でも悪くない。




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