セントポーリア賞 感想

前置き

去年のセントポーリア賞からは勝ったグレートマジシャンが毎日杯で後のダービー馬にタイム差なし2着でダービー4着。
2着のバジオウもプリンシパルを勝つなど春のクラシック戦線で活躍しました。

今年も頭数は少ないながらも2000mの2歳レコードを出した馬や能力の高そうな馬達が出走していたので注目のレースとなりました。

おそらく今後の参考になるだろうと思い、レース前の展望みたいなものも書きましたが、なかなか興味深い結果に終わりました。
というか、レースの評価も割れているようなので私の見解を書いておきます。
私の見解が『正しい』とは思っていません。
自分の競馬観からセントポーリア賞をこう解釈するって感じです。

今年の冬東京は時計の出る馬場

まず、前回の投稿でも書いた通り今年の冬東京の馬場状態は良く、能力さえあれば速い時計が出る馬場です。
去年の冬東京よりもかなりいい馬場です。
白富士Sでジャックドールが1分57秒4とジャパンカップの日の自身の勝ちタイムと比べて1秒も速いタイムで勝ちました。
もちろん、ジャックドール自身が『前走よりも状態が良い(調教師談)』との事でしたので馬の成長もあります。
それを言えば3歳馬の成長はもっと見込めるわけでウィズグレイスは当時の1800m通過タイム1分45秒7よりも速いタイムを期待できました。
何と言っても今回の方が馬場がいいのですから。

セントポーリア賞の勝ちタイム 1分45秒7

レースレベルはなかなかよかった。
時計の出やすい馬場ではあったが、それでも冬の洋芝が強く出ている馬場でのスピードの持続力は馬の実力をあらわしている。
勝った馬はかなり強いと思う。

勝ちタイムは過去7年の1800mで行われた中の最速タイム1分46秒5より0.8秒も速い。
前後半は800mづつで46.4-47.4秒。

前後半のバランスで競馬サイトでは『Mペース』になっていますが、前半800m通過46.4秒というのは十分に速いペース。ハイペースとは言えないが、速いペース。毎日王冠でさえ46秒台はあまりない。
去年は48.3-46.1秒で他の年も2015年以外は前半の方が遅いスローからの瞬発力勝負。
その2015年は46.7-48.1秒。
奇しくも今年の勝ち馬の父ドゥラメンテが勝った年であの時は5番が一頭だけ大逃げしたのですが今年は後続が速いペースについて行った。

レースラップ 12.7 - 11.0 - 11.3 - 11.4 - 11.9 - 12.1 - 11.4 - 11.7 - 12.2

3-4コーナーで11.9-12.1とペースが落ち着きはしたがガクッと落ちてはいない。

ウィズグレイス未勝利のレースラップ:12.6 - 11.3 - 11.5 - 11.6 - 12.2 - 11.9 - 11.6 - 11.0 - 12.0 - 12.8

未勝利と比べて1000m通過が0.9秒も速かった。
距離が2000mから1800mに短くなった、速い馬場だったなどの要因はあるが前半のペースは未勝利の時よりも厳しかった。
ウィズグレイス自身のラスト3ハロンは約11.4-11.7-12.7で未勝利の時のようにL3で11.0秒と全速力をしたわけではないのに
今回もラストで大きく失速している。

ウィズグレイス

今回は馬自身の成長がなかったと見てもいいと思う。
馬体重が4キロ減だったし、直線でドゥラドーレスと比べれば上半身の貧弱さが良くわかる。
むしろこの細い体でここまで走れるのが驚きだ。
素質じたいは素晴らしいモノを持っている。
重賞を勝つには馬体の成長が必須。

ここ3戦を見てもスタートそのものはいつも後ろ重心がかかって遅い。
前走は1番枠で包まれるのを嫌って前に行ったら先頭に立ってしまった、というようなレース。
今回もスタートは良くなかったが馬の行く気に任せて先頭に立った。
母と同様に前進気勢が強い馬だしスピードがあるから簡単に前に行ってしまう。

個人的には直線の短いコースが合うと思う。
中山か阪神の2000mで見たい。
新馬の中山1800mは直線でも進路取りに不利が合ってキチンと走れていないんですよ。

東京で違う距離で2回続けてラスト1ハロンに大きく失速。
脚が長いわりに大きくストライドを伸ばさない。
上半身が弱いのでクビがへこへことお辞儀するような感じで首をうまく使っているとはいいがたい。
そんな状態でもこれだけ走れるのはスゴイと思う。
ディープインパクトの3歳春の成長力に期待したい。
体重が増えたらいいな。


イクイノックスの東スポ2歳Sのタイムとの比較

イクイノックスが勝った東スポ2歳Sのタイム1分46秒2はセントポーリア賞2着のウィズグレイスと同じ。
しかし、レースの1000m通過が東スポでは60.3秒とセントポーリア賞よりも2秒も遅く展開が全く異なる。
ほとんどのレースではスローペースの方がレースタイムは遅くなるので一般的に考えればイクイノックスの方が上だ。
イクイノックスがハイペースについて行けるのかという疑問もあるだろう。
走っている時の体の軸のブレの無さから見て私は問題ないと思う。

例えば去年の共同通信杯。
エフフォーリアを2歳時の百日草の走りを見て軽視しました。
直線で加速する時にまだフラついていたからです。
それが共同通信杯では見違えるくらいにしっかりと力強く走っていました。
エフフォーリアのひと冬を超えた成長を甘く見ていました。

イクイノックスの東スポ杯の走りはすでにかなり完成度の高いモノに見え、ハイペースにも十分に対応できると思います。
エフフォーリアほど強いかはわかりませんが中山の高低差も重馬場も大丈夫だと思います。

ドゥラドーレス

レース前の評価です。

『ドゥラドーレス
ドゥラメンテ(キンカメ、トニービン持ち)xロカ
母のロカは能力がありながらそれをレースで発揮できなかったタイプ。
ポテンシャルの高い馬だったので引き出し型のドゥラメンテなら母譲りのいい馬を出してくれそう。
新馬戦を見るとスタートはあまり良くない。
跳ぶタイプだが大跳びだけではなく掻き込むピッチ走法でもスピードを出せる器用さもある。
こういう器用さがドゥラメンテ。
踏み込みに力強さもある。
1番枠から直線では内の後方でムリゲーかと思われた。
徐々に外に持ち出し、前が開いたのは残り200m付近。
そこからストライドを広げて一気に抜き去った。
時計だけを見ればスローの瞬発力だが、直線の走りを見ればペースが速くなっても対応できる力もありそうだ。
期待』


ドゥラドーレスは跳ぶ走りもできるので今回のように外を周って加速するのは得意な形です。
前走の直線では途中まで内の狭い所に閉じ込められていました。
それでもストライド小さめの掻き込むピッチ走法でスピードについていけたし、前が開いてからは本来の走りを見せてくれました。

今回は閉じ込められることもなく、気持ちよく外を走っていました。
前走のレースぶりからストライドをうまく調整できるので小回りでもうまく立ち回れるでしょう。
ドゥラメンテ産駒はタイトルホルダーを始め、コーナリング性能が高い馬が多いですしね。
重賞を勝ち負けできるレベルにありますが次はどのレースに出走するでしょうか。

セントポーリア


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