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平成26年のトマトづくりについて

 毎春のことであるが、JA(農協)兵庫の駐車場を開放して各種野菜の苗を販売するその日は、ゴールデンウイーク前の4月29日の祝日、「昭和の日」ときまっている。わたしは自分の体力と相談しながら苗の本数を決めることにした。わたしは庭にささやかではあるが趣味の菜園をつくり、そこで毎年、トマトを育てて いるのである。

 だが、わたしも今年で89歳である。年相応のトマトづくりに励み、無理をしないように思ったのである。昨年の25本の作付けを変更し、購入本数を減らして15本の購入ときめた。

 さて、いよいよ販売開始である。9時30分、販売開始にあわせて農協に出かけていった。当日は、からりと晴れた晴天である。気温はまだ低く、ひんやりとしていた。雨でないのが幸いだった。帰りは苗を持つのでタクシーでの帰宅を考えていたし、そうするように長女から言われていた。品種は「桃太郎」の購入を考えていた。

 農協の駐車場の入り口はまだ閉まっていたが、10名近い組合員が待っていた。駐車場の中では値段の表示の準備や苗の品種の説明をしるしたポップなどをの貼付けをしたり、多忙をきわめたいた。もちろんトマトだけではない。花苗の販売などもあった。

 わたしがきてから5分ほどで入り口の扉が開いてドドット組合員は入ってゆき、それぞれが思い思いの苗を購入していった。

 わたしも予定通りトマトの品種「桃太郎」を15本買った。苗は一本90円だった。購入したとはタクシーを拾い、まっすぐ帰宅した。

 すぐに植えたいところだが、そうは問屋がおろさない。まだ畑の準備ができていないということをはじめ、この頃、低気圧が接近していた。そして雨が降ったり、風が強かったり、急激に気温が下がったりし、とても植えることのできない状態だった。しかたなく、大きめのビニールポットに15本を移し替え、水やりをした。ともあれ、苗を安全な場所に置くことができたので安心した。

 畑の草取りや耕すことなど人を頼りにせず、ドンドンとすすめてゆければよいのだが、この6月8日で数え年で90歳になる。高齢者であるわたしには体の限界があって鍬を振り回すのも長い時間はとてもむりで、苗を購入してから一週間後の植付けとなった。この間、長男の協力をえて5メートルの畑を3本、耕してもらった。畝も作り、黒いマルチも張って、ビニールの屋根までかけてもらった。

 いよいよ天気のよい日を選んで植付けをするだけである。風のない、晴天の日はなかなか訪れなかった。そうしてやっと「今日こそは植付けの日だ」と確信できる日がやってきた。15本の苗をビニールポットから取りだし、作付けをした。ホッととした瞬間である。だが安心はまだできない。トマトの穂先がピンと張ってきたら根付いたという判定になるが、それはすぐにはわからないのである。なので毎日、三日ほどであったかと思うが、朝夕と必ずトマトの様子をみにいき、根付いたことを確信したのである。

 次にチェックすべきは花の蕾がついているか、余分な脇芽が出ているか、である。それから万田酵素から発売されている「植物活力剤」のストレートタイプをシューと霧状にして葉っぱに吹きかけたり、これまた万田酵素の液肥を根本にかけてやったりした。

 その甲斐があってか、この頃、元気に蕾をつけ、花も咲くようになった。

 ちょっと遅かったが、支柱をたて一本一本を括りつけた。また四方八方から風が吹きつけ、植物に害をなすのでビニールのシートを壁のように張り巡らせた。これでやっと初期にしなければならない作業は、すべて終了したことになる。

 ここで考えなければならないのは、この作業の目的は何だ、ということだ。それはわたしの健康を維持し、体力や気力を養うためのトマト作りなのである。それにそもそもトマトを作りはじめた最初の動機は、いまは亡き妻の便秘に「トマトが効く」と聞いてはじめたことだった。

 だからトマト作りに熱中する余り、わたしの健康を損ねてしまっては本末転倒なのである。ゆめゆめ初心忘れるべからず、であることを強く思って、これからも心しなければならないのである。

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