TVアニメ学校の怪談ふり返り③

第3怪は「開演!!呪の学芸会くたべ」というお話です。

実はこのくたべ、常光徹著『学校の怪談 口承文芸の展開と諸相』という本に出て来ます。江戸時代の『道聴塗説』という書物の「流行クタベ」という話に載っているそうなのですが・・・アニメの内容とは全く違います。

江戸時代の話しはどんな内容かというと、富山県で謎の病気が流行った際に薬草採取をしている男の前に現れた山の精だそうです。クタベの絵を描いてその絵を人に見せたら絵を見た人は病気から助かると伝えて消えたそうです。

これを知った時には「アニメ版の設定なんなの?」と驚きました。そして、なぜアニメ版のような設定になったのか考えました。知らない人のために説明すると、アニメ版のくたべは「階段の4段目に棲み、そこで話した内容を現実にする、お地蔵様の中に霊眠されていたけどお地蔵様の首がとれたことにより復活した、霊眠させる時はお地蔵様を用意して「くたべくたばれ」と言う」という設定。

放送当時は「階段の4段目とかピンポイントすぎるやろ」と思っていましたが、改めて見返してみてもやはり疑問符がつく設定。必死で考えましたが、合理的な解釈は思いつきませんでした。

一つの考えとしては「くたべくたばれ」をしたかっただけなのではないかと思います。

というのもですよ、本当の第3怪はくたべではないのです。口裂け女になる予定でした。しかし、放送前にある方面から苦情が来たらしく口裂け女の回は放送中止となりました。放送枠を埋めるために無理やり総集編が入りました。3週目にして総集編て・・・

とまあ、その総集編の後がくたべの話しなのです。制作スタッフ的には微妙なやる気だったと思います。その結果があの話しだったのではと。

あとは無理やり解釈しましたが、階段は山の替りでしょうか。学校の怪談らしく4段=死段でしょうか。

民俗学的には山って命が生れる場所であり命が還る場所でもあるので、死の方を強調したのかもしれません。

と、設定的には謎が多い話しなのですが、佳耶子さんが初めて桃子に乗り移ったり、敬一郎だけは天邪鬼を信じていたりと、作品の流れを作る上では重要な話しだったりします。

何だこのバランス感覚?




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