TVアニメ学校の怪談ふり返り①

学校の怪談第一話は「第1怪 今夜霊達が蘇る!!天邪鬼」というタイトルなのですが、学校の怪談なのに何故か天邪鬼です。天邪鬼が出てくる都市伝説を聞いたことがある方は教えてください。

では本題。第1怪では、序章みたいな感じで夜の木造校舎を歩いている用務員か宿直か何かをしているおじいさんがどうにかなる場面から始まりますが、これは一つの様式でしょうね。全く関係ない作品ですが、東宝映画の学校の怪談でもスイカのメリーさんに用務員?さんが襲われるところから始まりますので。

そしてOPムービーに入り、本編が始まります。本編で私が注目しているのは①さつき達を横切る影について②カーヤという存在について③作中での天邪鬼についての3点です。では順に見ていきましょう。

①さつき達を横切る影について

さつき達を横切る影は第1怪中には2回出てくると思うのですが、一つはさつき達が引っ越しトラックに乗っている時にトラックの横を通り過ぎる影、もう一つはさつき達が旧校舎に入る直前に出てくる影。

前者の影は、さつきと敬一郎が通う学校が旧校舎ではなくちゃんとした新校舎であることを知った時の会話の直後に現れます。こんな会話です。

敬一郎「うわ新しいよ」

さつき「なーんだ、水洗トイレじゃなかったらどうしようって本気で心配しちゃった」

敬一郎「なーんだ、お姉ちゃんも怖かったんだ」

さつき「怖くなんかないけど」

という会話。余談ですが古い=怖いという考えが敬一郎の中にはあるんですね。さつきの否定の仕方も、怖くはないけど負の感情は持ってるみたいですし。古い=怖い。これシリーズの中では重要な考えかと思います。

影の話しに戻りますが、二つ目の影は旧校舎の扉が勝手に開いて、さつきと敬一郎の後ろに桃子の姿が映った直後に現れます。

この二つの影が同じものと判断するか違うものと判断するかとなると、私は違うものと考えます。理由としては陰の二つの影は大きさに差があるように思うのですよね。トラックを横切る影の方が大きいので、こっちは天邪鬼で「見つけた佳耶子の娘だ」みたいな感じですかね。そして、旧校舎に入る直前の影は佳耶子さんで、「このままでは旧校舎に入ってしまう。そうだ桃子ちゃんさつきと敬一郎を助けてあげて。」みたいな感じではと推測しています。

②カーヤという存在について

カーヤはクロネコでしかもオッドアイという少し不気味な姿をしています。放送当時に見ていた時は「不吉なクロネコだ」と思っていたのですが・・・どうも日本の伝統的な感覚で言うとクロネコって縁起が良いらしいですね。あと、オッドアイのネコも日本では縁起が良いとされてるみたいです。ということはカーヤって験担ぎとしては最強のネコなのでは。

では具体的にどう縁起が良いのか?調べたところ出てきたのは、商売繁盛、勝負運が上がる、結核が治るなどがあるそうです。ホエー(知らなんだ)。ちなみに縁起が良いとされる理由は何なのかも調べたのですが、高級食材である餡子に色が似ているからとか、暗闇で姿は見えなくなっても目が光るので人生の暗闇(つまりは困難なこと)を突破することができると考えられたからとか。ハエ―(知らなんだ)

ここで、作中でのカーヤの設定を見てみると、さつき達の母である佳耶子さんのお葬式の日に家に現れたので飼いはじめたという内容。この事実を結びつけると、カーヤは佳耶子さんが持たせてくれたお守りみたいな感じでしょうか。

③作中での天邪鬼について

天邪鬼そのものについて調べ直した訳ですが、学校の怪談に天邪鬼が出てくるというのはやはりどうもしっくりこないのです。民俗学的に調べても天探女が元になっているとか、山に住む被征服民を意味しているとか出てくるのですが、アニメ学校の怪談とは中々結びつきません。

ここで、考え方を変えて文学的に見てみようと思った訳です。アニメ学校の怪談は講談社KK文庫刊行で常光徹著『学校の怪談』が原作なので、常光先生の考え方を参考にしました。常光先生の考えによると学校の怪談とは「学校という秩序に対する子ども達の持つやるせなさや緊張感」がもとになって生まれるというのがあります。これを見てピーンときました。

天邪鬼とさつき達が最初に行った会話は、

天邪鬼「友達になろうよ」

一部省略

さつき「嫌よ。何でお化けなんかと。」

でした。学校の秩序においては学校にいる人は皆仲良くするのが理想とされるのですが、子ども達とて人間な訳で友達になりたくない相手も当然にいる訳です(この内容については黄泉ネットの回で詳しく説明いたします)。天邪鬼というのは思っていることと実際にする行動があべこべなので、大人しく学校秩序に従っているように見えて心のどこかで学校秩序が壊れて欲しいという子ども達の思いを表現しているのではないかと思うのです。


以上第1怪をふり返ってみて思ったことを書きました。ご感想などありましたらいつでもお待ちしております。




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