TVアニメ学校の怪談ふり返り⑩

今回は第10怪「出口なきトンネル穴まねき」と第11回「話すメリー人形!!恐怖の影」について。この二つはいまいちテーマが分からないので、まとめてみました。

まず穴まねきについて。まあ、穴まねきに連れて行かれる場所が生と死の間らしいので、生と死がテーマであるような気はするのですが・・・それをテーマと考えるといまいち演出との合点がいかないのですよね。個人的には、穴まねきの呪に打ち勝つための墓石を壊すシーンやその他のセリフ等から各キャラクターの性格とかキャラクター同士の対人関係とかを再確認するための回であると思っています。

例えば、墓石を壊すシーン。桃子は岩で、さつきは木槌、ハジメは建設重機(何ですかあれ?ブルドーザーですか?)、レオがダイナマイト、敬一郎が怪獣をそれぞれ使って壊します。

何となくですが、女性陣の方が緊急時の力はあるのかなと感じさせる演出です。レオのダイナマイトも知識で攻める的な感じですね。敬一郎の怪獣も未知のものを使役できるというのが、敬一郎と天邪鬼カーヤとの関係を表してるような気がします。ハジメはなんなのでしょうね。思いつきません。

あとは穴まねきに連れて行かれた最初の場面にて、ハジメと桃子とが同じ場所にいてハジメはサツキたちを探しに一人で走って行ってしまうシーン。桃子さんの「ハジメさん、私をこんな所に置いていくのですね」と寂しそうに言うシーン。ここで恋愛感情云々を言いたくなるかもしれませんが、言語・文学的に考えると単にハジメは桃子よりもさつきに親近感があるというだけの話しですね。桃子というのがやはり主要メンバーの中では特別な何かがあるというだけのお話し。何かについては作中で明確に触れられてないので、解釈の幅が出るのですがね。個人的に思うのは桃子は佳耶子さんを乗り移らせる担当なので、話の都合上どこかでさつき達と距離をおかなければいけないというところでしょうか(敬一郎やさつきがいる場面で乗り移られたら「お母さんそこにいるの?」て話がややこしくなるので)

あとは、小さな点について。穴まねきのいるトンネルは狸穴(まみあな)トンネルで、幽霊運転手の乗っているタクシーは70年代のギルハントでした。トンネルにしろタクシーにしろそんな名前だす必要ある?と思い考えました。

まず、狸穴というもの。マミとはタヌキのなかの雌タヌキのことを意味するとされています。しかし日本ではタヌキ、マミ、アナグマ、ムジナといった言葉が地方によって混同されていたりするので、明確にこれだと解釈することは出来ません。なので、狸穴に関する伝説でもあるのかなと思い調べたのですが、それよりも面白いものを見つけました。狸穴というのは東京にある地名だそうです。ではどんな地域なのか。そこにはかつてソ連の大使館があり、狸穴というとソ連大使館やソ連を表す隠語だったそうです。

ところで、学校の怪談というジャンルは赤紙青紙を代表に赤にまつわるものが多いとする言説がります。その理由は赤=共産主義への恐怖心からではないかというのを大学時代の民俗学の授業で習いました(授業の担当者は山本芳美という人類学者でした)。言われてみると、学校の怪談というジャンルはソ連に関わらず冷戦を臭わすような裏話があったりするものがたまにあります。口裂け女もGHQが情報伝達速度を調査するために作った話しという都市伝説があるくらいです。

もし、この狸穴がソ連の比喩だとしたら・・・7年代のソ連を考えると・・・気になる人は世界史の教科書や参考書を読んでみてください。

次にメリーさんについて。意外と知らない人が多いのですが、メリーさんてもともとは人形のお化けなのですよ。リカちゃん人形という都市伝説がモデルとされています。

さておき、前述の通りいまいちテーマが分かりにくいこの話し。無理やり解釈するなら「子ども達とお化けとの関係」なのでしょうか。だっとの時に触れた「子ども達は妖怪に怯えながらも出現を待ち望んでいる」というあれです。

この話し、さつきは散々怖い思いをしますがメリーさん的には遊んでいただけというものですからね。

あとは天邪鬼のセリフであった「さつきもまたエライのに気に入られたもんだぜ。俺も人のことはいえねーか?」というやつが少し気になりました。この時点でもう天邪鬼は完全復活してさつき達に復讐するとかは考えてなさそうです。

と、まあ、何というか制作的には主題とか云々より純粋に怖がらせに掛かっているのかもしれないと思われる話しなのでした。


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