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〜シソンヌ/笑い飯 それぞれの単独LIVE〜コントと漫才、配信と生【笑いのブン学】

小林 文/エディター

8月もあと数日で終わり。小学生たちは夏の宿題にカタをつけているころだろうか。今もし私が小学生だったら、どんな”自由研究”をしていたかな……そんなことをぼーっと考えているとき、あるラジオを聴いた。

それは、7月30日の深夜に放送されたTBSラジオ『バナナマンのバナナムーンGOLD』。

毎週金曜の深夜1:00〜3:00に生放送されているラジオ番組。パーソナリティはもちろん、バナナマンのふたり。ーーーなのだけれど、この7月30日はふたり揃ってワクチンの副反応のため欠席。急遽、バナナマンのふたりとともに毎週ブースに入っている放送作家のオークラ氏が進行し、これまた急遽代打として呼ばれた東京03の飯塚氏がサブパーソナリティとしてマイク前に座った。

毎週スポンサー絡みでやっているコーナーなどは一切ナシ、ひたすらふたりきりで話す2時間。

テーマは、【オークラが勧める”この夏観た方がいいバナナマンのコント10選”】。

端的に言って、めちゃくちゃおもしろかった。

バナナマンと出会ったころ芸人だったオークラ氏。バナナマンのLIVEを初めて観たときの衝撃やそれから芸人を辞め、放送作家としてバナナマンのLIVEに関わっていく話などを散りばめつつ、推しコントを紹介。それに対して、現役人気コント師として活躍している飯塚氏(オークラ氏は03の作家としても関係している)が、自身の感想を述べながら展開していくーーー。

オークラ氏の滑舌はお世辞にもいいとは言えないし、かつ早口で聴き取りにくい箇所もある(笑)のだけれど、それ以上に、「バナナマンのおもしろさを伝えたい!」「みんなにこのコントも観てもらいたい!」という想いがビシバシ伝わってきて、2時間の放送をradikoで2回再生してしまうほど、心地よい時間だった(翌週、バナナマンのふたりが復帰して、オークラ氏と3人でまた10選の補足話をしたのもよかった)。

早速バナナマンのコントを観たくなってネットで調べたものの、やっぱり公式なDVDで観たほうがいいよな、違法なところからは観たくないしな、とまごまごしているうち、夜が明けてしまった。

(ちなみに私が一番観たいのは、『おさむクラブ』。バナナマン結成1.2年目の単独ライブで披露したコント。設楽統氏が友人役日村氏へ「俺を崇拝してくれないか?」と唐突な要求をし、日村氏が「いいよ」と受け入れる。そして日村氏は設楽家で「他人の家で電話(いえでん)に出る夢」を叶えようとする……2つの話が同時進行していく内容のコントだそう。設定が魅力的で気になる!)

どうしても”コント観たい欲”がおさまらず、朝になってもベッドでスマホを触っていると、シソンヌの単独LIVEのチケットページにたどりついた。

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……急にシソンヌのLIVEの話を始めようとしているけれど、冒頭の”夏休みの自由研究”の話に戻してみる。

もし今、私が小学生だったら、”お笑い”をテーマに掘り下げてみたい。

自由研究が「国語算数理科社会に関係していなくてもいい」というルールだと仮定して、夜が明けてもスマホを触っちゃうくらいたまらなく好きな”お笑い”をテーマにするのはすごくシンプルなはず。それに、コントも漫才も読解力を鍛えられて、そういう意味では「国語」の一環とも言えるから、たとえば、レポートとしてまとめてみるものいいと思う。

普段チケットがなかなかとれない人気LIVEや、気にはなっているけれど現場へ行くにはちょっとハードルが高いLIVEを配信で観たり、”応援”の意味も込めて会場へ赴いて生で観たり。

コロナ禍の今だからこそ、”お笑いLIVE”を両輪で楽しむころができる。

シソンヌの単独コントLIVEを配信で、笑い飯の漫才単独LIVEを生で。それぞれレポートしていく。


レポート①:コント/配信
8月1日 【シソンヌライブ[dix]】

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シソンヌのふたりが2013年からやっている単独LIVE。毎年じろう氏がSNSで告知するのを見て気になってはいたものの、チケットがすぐに完売になってしまい、涙をのんでいた。それが、今年は(昨年も)コロナ禍ということもあり、配信チケットも販売するというではないか!  ”コント観たい欲”がパンパンの私は即購入した(観終わって知ったけれど、これもまたオークラ氏が監修している!)。

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8/1 14:00 生で配信がスタート。コントは全5本。すべてふたりきりで演じきった。すべて紹介すると長くなるので、3本をピックアップしてレポートする。


【葬儀屋の社長と従業員】(1本目)
舞台は葬儀屋の事務所。長谷川氏演じる社長とじろう氏演じる若手社員。社長にプレゼントしてもらったiPadを持ち歩いている若手社員(じろう氏)は、社長に黙って勝手にスタンプカードを作ったり、ナムナム(南無南無)というアプリを開発して導入しようとしたり…。どんどん非常識な仕事ぶりを披露していくというコント。”葬儀中”ではなく”葬儀屋の事務所”を舞台にすることで、逆に葬儀のシーンの幅を増やして想像させることができるし、iPadやアプリの新しいツールとの掛け合わせで現実味も感じられる。話の本筋に入る前の細かいボケ(iPadのカバーを自分から双眼鏡のようにして社長をのぞいておきながら「これなんですか」と逆に聞くボケ、社長に叱られてキャラに合わないひょうきんな驚き方をするボケ、「果たしてそうでしょうか」と反論する自分の声の大きさに驚くボケ)も含め、子供でも理解しやすい内容で、年齢を問わずオススメ。

【思い出深い駐車場がフットサル場になると聞いて】(2本目)
工事現場の警備員役を長谷川氏、「ここは思い出深い駐車場だったんだ!」と怒り悲しみ、工事を反対する学ラン姿の学生役をじろう氏が演じる。
工事後はフットサル場になってしまうと聞かされ、「これがスポーツの力か」「スポーツの力の前では無力だ」と嘆いたり、太鼓の達人をやっている人の隣りで合いの手の達人になったら全部のゲームセンターを出禁になった話をしたり、警備員が持つライトセーバーが熱いと言って暴れたり…とにかく、面倒くさい学生役じろう氏の演技力が凄まじいし、それに対する警備員長谷川氏のツッコミがキレキレ(くだらないやりとりがくどいくらい長めなのもいい)。「駐車場があるから行きたくない学校も行けていた」「心のよりどころだった」…突飛に見えて笑いつつ、そういうことって案外あるよな〜とも思う。来週から学校へ行くのが憂鬱だな…と思っている小中高生にぜひみてもらいたい1本。


【株主総会】(4本目)
シーンは株主総会。議長である社長(長谷川氏)が新取締役として女性社員(じろう氏)を紹介するという内容。女性社員じろう氏が、「社長が私を選出した理由について」というパワーポイントをつくり、株主の前で披露。女性を役員にしたほうがいいという時代の風にならってではないのか、と問い詰める……。最後のシーンで社長ひとりになり、選出理由は「実力90、会長の娘10の割合だった」と明かすオチ。”社会派コント
”っぽくしすぎず(たぶん本人たちはそうしたいわけじゃないだろう)、時代に迎合しすぎず、かといってきれいごとにもせず。なんというか、これも2本目のコント同様、どこかリアルで、でもしっかり笑わせてくれて。シソンヌらしさが随所に光る。

興味のあるかた、明日8/29の14時まで(チケット販売は12時まで)配信されているらしいのでチェックを。
↓↓↓(リンク先一番下のFANYチケットから)


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コント職人のイメージが強いシソンヌは、”玄人向けのお笑い”と思われがちだけれど、実はそんなことはない。シソンヌのコントの良さは、みんなの日常にある”特別じゃない”風景をコントにしているところ。住んでいる地域や年齢を問わず、比較的誰にでも情景を思い浮かべられると思う。

加えて、オープニングや幕間に流れる映像はとびきり洒落ているというバランス。ファッションやアートが好き、という人にも勧めたい。

レポート②:漫才/生LIVE
8月8日 【笑い飯の漫才天国】

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昨年12月23日の記事にも書いているとおり、私の好きな芸人NO.1は笑い飯。20周年+1年を記念した単独LIVEを全国各地で開催すると知り、まず買ったチケットが8月8日の名古屋会場だった。

ひとりで、除菌グッズを携帯し、日帰りで。

2年ぶりの故郷・名古屋は、相変わらずの蒸し暑さ。ちょうどそのころ例の金メダルかじり市長のおかげで(せいで)話題の街になっていた。

会場は、少し前にきれいに改装された御園座。私が学生時代の御園座といえば、歌舞伎の演目をやっているイメージ。それが今は入り口へむかうエスカレーターの柱に吉本のポスターがズラーッと貼られていて驚いた。


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各回ゲストを2組ずつ迎え、全12都市をまわるツアーで、そのゲストの組み合わせのセンスにもうなる。本当は全部行きたいところではあるけれど、まずは、見取り図とナイツがゲスト出演する名古屋へのチケットを買ったのだった。

まず笑い飯が4本漫才をし、そのあと見取り図が1本、ナイツが1本、漫才を披露。その後、3組のトークコーナー。最後に笑い飯が5本目の漫才をして終演…という90分。3組とも1本あたりたっぷり10分ずつの漫才で、大満足の内容だった。

(前述のシソンヌのLIVEとは違って、こちらの笑い飯のツアーは12月まで続くので、ネタの詳細はふせておこうと思う)


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私の席は2階席の後ろから5番目くらいで、舞台からは割と遠い席。なのに、始まると笑い飯のふたりの息づかい、眉の動き、すべてを近くに感じられた。5本のネタのたび、舞台の袖へはけて・マイクの前へ立ってを繰り返すのだけれど、5回の登場すべてに感動した。全然意味合いは違うのだけれど、『SEX AND THE CITY』のキャリーがマノロ・ブラニクのパンプスを見て、両手で胸(心臓)をおさえるようなあの動作を自分がしてしまっていた。

21年も好きでいさせてくれること、マスクをしながらも天を仰ぎ大笑いできるネタを見せてくれること……何度も涙を堪えながら舞台へ拍手をおくった。

ネタバレはしないように…と書いたばかりだけれど、4本目でやった『鳥人』に会場が大いに沸いたことだけは書いておきたい。M-1のあのころより「おとうさーん」を張らないところは、もう会場中のみんながネタを知っているから、あえて控えめにして”芸”にならないようにしたのかな。そんなふうに私なりに考えて、俗っぽさのない笑い飯にまたジーンとしたのだった。

コントと漫才、配信と生LIVE


前身の【笑いのブン学】を書いていた5.6年前は、「コントより漫才が好き!」と言い切っていた私だけれど、コントの奥深さ・味わい深さを教えてもらった夏だったし、改めて漫才愛も深まった夏だった。

設定を理解させるまでのプロセスがワクワクするシソンヌのコント、ふざける角度に今も昔もふたりの”人間味”が滲み出る笑い飯の漫才。

配信は冷蔵庫へビールをとりに行ったり、トイレへ行ったり、他人に気をつかうことなく、自由に過ごせるし、一時停止して、自分がどのポイントでおもしろいと感じたかメモをつけたりもできる。コントとコントの間に暗転しPCが一瞬暗くなったとき、ニヤニヤ顔の自分がPCに映って恥ずかしいけれど(笑)。

一方、リアルな場で観るLIVEのいいところは、知らない誰かと場を共有できるところ。先日の笑い飯のLIVEでは、左隣りに50代くらいの夫婦、右隣りに40代くらいの男性。学生も大人も、教室や職場でなんとなくコミュニティをつくってその枠の中の人たちで固まってしまいがちだけれど、LIVEへ行くと、普段は接点のない年齢や属性の人たちと同じ箇所で笑い、場を共有できる。「趣味をたくさん持っているほうがいい」とまでは言い切らないけれど(私自身、そんなに持っていないし)、好きなモノが多いと自分で自分をひとつのところにカテゴライズしなくて済むし、そうすることで息がしやすくなることもあるのかもしれないな〜とLIVEの帰り道に思った。


コントと漫才、配信と生LIVE。


実は、東京03の配信チケットと笑い飯ツアーの10月分チケットを購入済み。私の”自由研究”は秋も続行予定、なのだ。


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小林 文/エディター

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