ねぎ味噌と野蒜味噌

ふだん外食も多いため、おかずを作り置きしたり、
漬物やソース等を作って、ストックしておくという習慣がない。
だけど、ときどき作りたくなるのがねぎ味噌。
白いねぎと青いねぎを細かく刻み、お酒とみりんでのばした味噌と和える。
最後に香りづけにごま油を少々。たったそれだけ。
ちょっとおしゃれ(?)にするなら、大葉を刻んで入れたり、
ガツンと味にパンチを効かせたいならにんにくや唐辛子を入れたりと、
応用もいろいろできる。

そのままで、ごはんにのせても美味しいし、
ちくわや生のきゅうりやセロリ、チコリに塗って食べても美味しい。
肉や野菜パスタやうどんと炒めても美味しい。
はんぺんに挟んでバターで焼いたり、
魚や肉に塗ってホイル焼きにしても…と、
多彩な食べ方ができるのも魅力。

ねぎと味噌の風味が食欲を刺激する。
火を入れればさらに香ばしく、
ついついごはんを食べてしまう。

なぜ、こんなにねぎ味噌が好きなのか。と考えたとき、
ちいさい頃に食べた「野蒜味噌」がある。

春になると道端に生えている野蒜を、
学校帰りや散歩しながらよく摘んだ。
白い球根の部分を刻み、やはり酒とみりんでのばした味噌、
そして鰹節を加えて和えたのが野蒜味噌。
これが、またごはんに合って本当に美味しい。
コリコリした食感と鼻に抜けるような野蒜の風味に、
味噌と鰹節のコクが重なる。
無敵! まさに白飯泥棒。

野蒜は八百屋やスーパーで買うものではなく、
近所から摘んでくるので、そんなに頻繁に食卓に上がることはない。
量も作れない。春の一時期だけちょこっと顔を出すメニュー。
だから、なんてことのない素朴な食べ物ながら、
すごく貴重に感じて大事に食べた。

ねぎ味噌を食べながら、
「ああ、野蒜味噌でごはんを食べたいなぁ」と思うこともしばしば。
ねぎと野蒜は違うけれど、どこか似ていて、
食べるたびに、遠い記憶が呼び覚まされる。


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