ココナッツサブレケーキ。

いとしの「ココナッツサブレ」

トランプみたいな長方形。
端の部分はピンキングばさみでカットしたような
半円がつながった縁取りになっている。
こんがりした優しいきつね色。
乳白っぽいパッケージを開けると、
ずらりときれいに整列している。
表面には砂糖がまぶしてあるのか、ちょっとベタベタ。
子どものときは「ココナッツの味」なんてわからなかったけれど、
優しい甘さとさくさくとした食感が大好きだった。

そのまま食べるのも美味しいけれど、
もっと大好きなのがココナッツサブレを使って作ったケーキ。
ホイップしたクリームにインスタントコーヒーの粉を入れた、
コーヒークリームをサブレにサンドして重ねていく。
数段重ねたら、横や上にもクリームを塗り、
ナイフで平らにならす。
天面の部分は口金のついた絞り袋に入れた
クリームでデコレーション。
仕上げに「コーヒービート」というコーヒー豆の形をした
チョコレートを飾る。

これをひと晩、冷蔵庫で寝かせるだけ。
サブレ部分にクリームがなじんで、しっとりしたケーキになる。
我が家では結構定番で、何かあると母親が作ってくれた。
手作りっていうほどのものじゃないけれど、
簡単で美味しい。

見た目はちょっとトップスのチョコレートケーキに似ているので、
トップスのチョコレートケーキを見るたびに、
このココナッツサブレのケーキを思い出す。

母親の手伝いをして、クリームを塗る作業の楽しさや、
冷蔵庫のドアを開けたときにケーキが入っている嬉しさ。
もちろん、しっとり甘く、
ちょっとほろ苦いコーヒークリームの味も。

自分に子どもがいたら…とときどき考える。
「ココナッツサブレのケーキを作ってあげたかったな」
それは、いつも思うことのひとつ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?