令和6年予備試験論文 実務基礎民事

民実 条文は執行までちゃんと引いたはず


設問1
(1)所有権に基づく返還請求としての建物収去土地明渡請求権1個
(2)Yは、Xに対して、本件建物を収去し、本件土地を明渡せ
(3)1 Xは令和6年7月5日、本件土地を所有している
2 令和6年7月5日、本件土地上に本件建物が存在する
3 本件建物はYが所有している
(4) 1 Xは令和2年7月1日本件土地を、店舗用建物所有目的で、月額10万円でAに貸し

2 Aは本件建物を本件土地上に建てた
3 Aは、令和5年3月17日、本件建物を現物出資し、Yを設立した
4 Y社はAが法人成りしたものであって株主はAのみであり本件土地の使用形態にも変更はない
設問2
小問1
(i)について
1 (i)の主張は再抗弁になる。
2 まず再抗弁とは、相手の抗弁と両立つつその法律効果を覆滅する主張をいう。本件においてA
の賃料不払は10ヶ月にも及んでいる。この事実は、Yの主張する転貸借による信頼関係不破壊の
抗弁と両立しつつ、賃料不払という別の事実により賃貸借契約(民法)の解除を基礎付けることでY
の抗弁を覆滅させるものだから再抗弁に当たる。
(i)について
1 再抗弁とならない。
2 Xの主張する無断転貸による契約解除(民法~2項)については、賃貸借契約が信頼関係に基
づき、一定期間の継続を前提とした契約形態であることから、YがAの一人会社であること、時計
店を法人成りしたに過ぎず使用形態に変更がないこと、Xに何らの迷惑もかけていないことから信
頼関係を破壊したとは言えないと評価される。したがって(i)の主張はYの信頼関係不破壊の抗
弁による法律効果を覆滅させるものとは言えず、重複する主張として主張自体失当となるためであ
る。
小問2
1 AはXに11月9日本件商品を引き渡した。
2 相殺(条文)は両債権が弁済期にあることを要する。売買契約(条文)では、代金の支払い債務と
財物の引き渡し債務が同時履行と解されているから、Yが、(ウ)の相殺を主張するためには本件
商品の売買契約に基づく本件商品を引き渡す債務の履行完了を主張することでXの同時履行の抗弁
権(条文)を封じておく必要があるためである。
設問3
小問1
1 (い)の和解に至る事情としては、本件商品は200万円で売却されたが、実際には50万
円程度の価値しか持たないものだったという事情がある。
2 和解契約(条文)は、互譲によって紛争の自主的解決を図る趣旨で行われる。あ、いの事実のみ
ではAが本件商品の代金200万円から50万円に譲歩したという事情しか表れておらず互譲の事
実の基礎をかく。したがって、Xが譲歩したことを示すために、本件商品の実際の価値が50万円
しかないことを主張する必要があった。
小問2
(i)
1 署名の真正をどういった理由で争うつもりかを確認すべきである。
2 本人の署名がある私文書はその成立の真正が推定される(条文)。この推定は法定証拠法則
に基づく事実上の推定だから、争う場合は署名の成立を真偽不明にする反証で足りる。YがAの署
名部分を争うには上記反証をどういった理由により行うか明確にする必要があるためである。
(i)
1 本件合意書は、その意思表示が書面で行われたものである処分証書である。したがって本件
合意書の真正が証明されれば、本件事実は直ちに認定される。本件合意書にはAによる署名がある
から、Yにより反証がされない限り本件合意書の真正成立が推定される(条文)。
2 仮にYが(i)に対して具体的な理由を述べない場合、Xは上記の通り本件合意書の真正が推定さ
れるから、格別に訴訟活動をする必要はない。
3 仮にYが具体的な理由を述べ、反証をした場合は、Xはその反証の評価妨害事実を主張し本件
合意書の真正作成を再度推定させる必要がある。または他の事実により本件事実が存在すること
を証明する必要がある。
設問4
1 強制執行は債務名義に基づき行われる(執行の条文)ところ、本件訴訟の判決文には訴訟当
事者ではないZの名前は出てこない。したがって、Zに対する強制執行はできないことになる。
2 これを回避するために、執行承継文の付与(執行の条文)を申し立てておくべきであった。

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