令和6年予備試験論文 刑法

包括一罪を観念的競合にしてしまった、、、
共同正犯もっと雑だったかも、占有の認定はもっと丁寧にやったはず



甲の罪責
1 (1)第一現場にて本件ケースを拾い上げポケットに入れた行為に窃盗罪(条文)が成立するか 本件ケースに対するAの占有の有無が問題となる。
(2)「他人の財物」とは、他人の占有する財物を意味するところ、占有の有無は物理的な占有の状態と占有の故意を相関的に考慮して判断する。たしかに、本件ケースはAが落としてから1分後に甲により拾い上げられている。そしてAはその時、第一現場から100メートルというその場所から交差点方向に20メートルほど戻れば第一現場を見ることができた位置にいたのだから物理的な占有は失われていないと思える。しかし、Aが本件ケースを落としたことに気付いたのは第一現場から700メートルも距離の離れているX駅に到着した6時55分であり本件ケースを落としてから10分経過していた。AはX駅に着くまで本件ケースを落としたこと自体に気付いてないのだから、甲が本件ケースを拾った際にはAによる本件ケースを占有する意思は完全に失われていたといえる。したがってAによる占有は認められないから窃盗罪は成立しない。
(3)占有離脱物横領罪が成立するか(条文)
本件ケースはAが落として占有を失ったものだから他人の物である。
「横領」とは、権利者排除意思と財物効用享受意思からなる不法領得の意思の発現たる行為をいう。甲は本件ケースを気に入ったから自己のものにしようと考え拾ったのだから不法領得の意思がある行為をしたといえ横領をしたといえる。
よって同罪が成立する。
2 第二現場で本件自転車を持ち去った行為に窃盗罪が成立するか。
たしかにBは本件自転車を有料駐輪場に止めず、第二現場に施錠せずに駐輪し、2時間ほど第二現場を離れているのだから物理的な占有は失われていると思える。しかし、第二現場は駐輪可能なスペースがあり本件店舗を含む近隣の客が事実上駐輪場として使っていた場所だからそこに駐輪することは本件店舗の利用者であるBとしては自然であり占有の意思がないとは言えない。さらに本件自転車は新品に近い状態であるところ、新品の自転車の占有を放棄することは通常考えられない。以上より本件自転車に対するBの占有は弛緩はあれど失われているとは言えない。したがって本件自転車は他人の財物である。
本件自転車を持ち去る行為はBの意思に反することは明らかだから窃取したといえる。
甲は事実上の駐輪場たる第二現場に止められてるほぼ新品の本件自転車を認識しているから、本件自転車が他人の財物であることを認識していたといえる。
不法領得の意思は権利者排除意思と財物効用享受意思からなる。甲は乗り捨てするつもりで本件自転車を持ち去ったのだから管理者排除意思があり、X駅付近の居酒屋まで自転車に乗って行くために本件自転車を持ち去ったのだから財物効用享受意思もある。したがって窃盗罪が成立する。
3 甲がCの顔面を殴り顔面打撲という生理機能障害を負わせた行為に傷害罪(条文)が成立する。
4 乙がCの頭部を殴ったことによる頭部打撲の傷害を負わせた行為について後述する通り甲乙は共同正犯(条文)
となるから、甲もこれについて罪責を負う。
5 甲は乙と共同正犯となるから、Cの肋骨骨折について傷害罪の罪責を負う。
6 Cに対する傷害罪は同じ被害者に対する権利侵害だから観念的競合(条文)となり、遺失物横領罪と窃盗罪と併合罪(条文)となる
乙の在籍
1 一部実行全部責任の根拠は特定の犯罪の成立に因果を与えた点にあるから、共謀、基づく実行行為によって共同正犯が成立する。本件で乙は、甲の「お前も一緒に痛めつけてくれ」という呼びかけに対してわかったやってやると応じているのだから、少なくとも暴行罪の共謀が成立している。加えて乙は自らCの頭部を殴り腹部を蹴るという実行行為をしている。したがって乙と甲にはCに対する暴行罪、また結果的加重犯である傷害罪の共同正犯が成立する。
2 一部実行全部責任の根拠から、乙が参加する前の傷害結果に乙が因果性を有していたとは言えないからCの顔面打撲について乙は罪責を負わない。
3 乙がCの頭部を殴ったことにより生じた頭部打撲について傷害罪が成立する。
4 Cの肋骨骨折を生じさせた攻撃が甲によるものか乙によるものかわからないから結果を帰責できないのが原作である。もっとも共同正犯が成立する事例であっても同時傷害の特例は、機械の同一性、攻撃がかかる傷害を生じさせる危険性を有しているものである場合には適用できる(条文)。本件では甲の暴行も乙の暴行もCの肋骨骨折の危険性を有するものであったし、両暴行は同じ機会に行われたものである。したがって同時傷害の特例を適用できる。乙には少なくとも暴行罪の故意はある。
よって乙はCの肋骨骨折についても傷害罪の罪責を負う。
5 3.4の傷害が包括一罪となり、甲と共同正犯(条文)となる。 以上

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