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愛する恋人や夫に先立たれた女性へ:貴女を救うお虎の建てたお堂

愛する恋人や夫に先立てれ、傷心さめやらぬ女の人は、心を癒す御利益抜群の長野県上田市常磐城鎌原にあるお堂をぜひ訪ねてほしいです。
このお堂は、虎立山祐成寺(こりゅうざんゆうせいじ)といい、曽我兄弟の兄、曽我祐成(そがすけなり)の恋人、お虎が建立したお堂です。

写真1 長野県上田市常磐城の太郎山山麓にあるお虎ゆかりの鎌原虚空蔵堂(虎立山祐成寺)への急な階段

写真2 鎌原虚空蔵堂(虎立山祐成寺)への急な階段途中にある由来書

今から800年ほど前、鎌倉時代が始まったころの話です。曽我兄弟の仇討が、今の静岡県富士宮市でありました。これは古来日本三大仇討の一つとして有名です。曽我兄弟は2人がまだ幼かった頃、父、河津祐泰と一緒に伊豆半島の伊東市付近に暮らしていました。河津祐泰は相撲の決まり手「河津掛」という技を生み出した人で、平安時代最末期の武士です。この河津、領地問題のこじれから安元2年(1176年)親戚の工藤祐経に暗殺されました。そのため、河津の妻は幼い二人の男の子を連れて曽我祐信と再婚しました。この二人の子供に、母は、大きくなったら必ず父の敵(かたき)を討てと言いながら二人を養育しました。長ずるに及び、兄はお虎と恋仲となりましたが弟の方は、自分は敵打ちに差し支えるからと、恋人も妻も持ちませんでした。
鎌倉幕府を開いた源頼朝は、建久4年(1193年)に、今の静岡県富士宮市一帯で大規模な巻狩りを行いました。当時の巻狩りというのは、一種の軍事演習で、野営地を築き、イノシシやシカ、タカを追い込み弓矢などで射るというものでした。大規模なもので、今の自衛隊の富士の裾野での大演習を思い浮かべてもらえればいいでしょう。野営地では、警護も厳しく正に戦を実施訓練するようなものです。曽我兄弟はこの野営地の大軍団の中に、頼朝のほか敵(かたき)の工藤も野営していることを突き止めました。そして夜陰に乗じて忍び込み、遊女と寝ていた敵の工藤を見事討ち果たしました。しかし、騒ぎとなり、大軍団の武士が起きだし、兄は切られて死に、弟は捕まって後に頼朝の命令で打ち首になってしまいました。一部始終は「曽我物語」に詳しく語られています。
兄、曽我祐成の恋人、虎は、祐成の死を聞き、悲嘆にくれ、祐成最期の地を訪れました。その時にわかに野に雨が降り、その雨が虎の涙のようでした。それで、このようなにわか雨を「虎が雨」と呼ぶようになったといいます。また「虎が雨」は祐成の死んだ旧暦5月28日に降る雨ともいわれ、和歌の季語にもなっています。虎はそれでも恋人の死の悲しみが消えず、仏像を背負って信州の善光寺にお参りに行きました。善光寺参詣の後、上田まで帰ってきたとき、太郎山の中腹に、虎立山祐成寺というお堂を建て、背負ってきた仏像を安置して、長らくここに留まったといいます。この仏像は何と、有名な行基の作といわれています。霊験あらたかであったのでしょう、虎の傷ついた心もようやく癒されたといいます。
このお堂は、今も太郎山中腹にあり、お参りするのは今もちょっと不便ですが、車で行けます。仲睦まじかった恋人や愛する夫に先立たれた女性は、是非、ここを参拝して、心の傷を癒してほしいです。霊験あらたかであることを確信します。

写真3 お虎が建てた鎌原虚空蔵堂(虎立山祐成寺)、お虎が鎌倉から背負って持ってきた虚空蔵菩薩が安置されている。これは行基作と伝承されている。愛する恋人や夫に先立たれ傷心冷めやらぬ女性は、ここに参拝すると、お虎と同じく心癒されます。

今から16年前の平成17年(2005年)、JR亀山線の電車が西宮で脱線しマンションに激突して100人以上の方が亡くなった大事故がありました。この時、婚約者の彼氏が亡くなり、悲嘆にくれた女性が1年半後にあの世の彼氏に会いたいと後追い自殺したという新聞記事を読んだことがあります。涙ながらに読みましたが、信州上田市の鎌原にあるこのお堂のことを、この女性に早く教えてあげていればよかったと、私は後悔しました。
みなさん、早まらないでそういうときには、霊験あらたかな虎立山祐成寺(http://senshoan.main.jp/koboku/kokuzo-keyaki.htm)を是非参拝して、心を癒してほしいです。

2012年7月10日随筆
2021年7月10日加筆
信州上田之住人和親


*注1:このお堂は通称、鎌原虚空蔵堂といい、<長野県上田市常磐城鎌原>の地にあります。ここにはかつて虎立山祐成寺があったといわれていますが、今はお堂だけが残っています。この虎立山祐成寺がもとになって、ここより南に約1キロの平地に、呈蓮寺(長野県上田市中央北2丁目7−3)というお寺が後に建てられています。ここもお虎と関連するとネットでは紹介されていますが、お虎が自ら建てたのは、この太郎山の中腹にあるお堂、虎立山祐成寺です。傷心冷めやらぬ女性はこちらをお参りすることをお勧めします。

*注2:冒頭の写真は、鎌原虚空蔵堂(虎立山祐成寺)の全景です。

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