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長野県の東信地区では「アカシアの花の天ぷら」を食べる

フランスのアカシアのはちみつ

2018年11月19日、NHKラジオの「まいにちフランス語」を聞いていたら、フランスでは「アカシアのはちみつ」がおいしくて人気なのだそうです。またアカシアはフランス語でもアカシアというのだそうです。そこでアカシアの語源をネットで調べてみました。その結果、英語でもフランス語でもアカシアでした。語源は結局よくわかりませんでした。また、アカシアのはちみつについてもネットで調べてみました。日本のはちみつの4割くらいはアカシアの花からとったはちみつらしいです。

長野県の「アカシアの花の天ぷら」

ついでにネットでその周り を見ていたら、アカシアの花の天ぷらの記事が載っていて驚きました。20年くらい前に、信州大学繊維学部の用務員のおじさんが、パーティーにアカシアの花の天ぷらを持ってきてくれて、みんなで食べました。大変香りがよくておいしかったのを思い出しました。しかし、ネットによると、アカシアの天ぷらは、長野県人、それも東信地区の人しか食べないと書いてありました。ほんと?! 知らなかったです。

香川県の「てんぷら」

そういえば、私が子供のころ、私の生まれ郷里香川県では「アカシアの天ぷら」を食べたことは全くなかったです。その頃の私がアカシアについて知っていたのは、西田佐知子の「アカシアの雨に打たれて、このまま死んでしまいたい~」という悲しい歌だけでした。なのでアカシアってなんだか知らないけど、寂しい花だと想像していました。
それに、私の郷里の香川県では「てんぷら」というものは全く別物だったのです。


私は讃岐、香川県三豊市山本町の出身です。私の郷里では、「てんぷら」というのは、他県の天ぷらとは、全く違うものでした。「てんぷら」は、魚の練り物で、長さ20センチ幅4センチ厚さ5ミリくらいの短冊状の形をしているものでした。魚だけの練り物は白っぽい灰色の短冊ですが、これにエビのすり身が入ったものは、少し赤い色をしています。この赤っぽいのは「えびてん」と称していました。県外に行って初めて、これらは、世間では「さつま揚げ」というのだと知りました。

讃岐のさつま揚げは、写真のように天ぷらと言います: 白い長方形が天ぷら、赤い長方形がえび天


50年も前の学生のとき、宇高連絡船に乗って「天ぷらうどん」というのを頼んだら、衣のついた揚げ物が出てきて、私は注文間違えたのかと不審に思いました。私は、いわゆるさつま揚げが入ったうどんを無意識に「天ぷらうどん」だと信じていたのです。その天ぷらうどんを仕方なく食べながら、そうか、宇高連絡船では、全国の人にわかるようにエビや玉ねぎに衣を付けたものを「天ぷら」と言い、讃岐の「てんぷら」じゃないんだと気が付きました。



10年か15年前に、日経新聞を読んでいたら、このてんぷらに関係する記事を読んで笑いました。ある民俗学者が、てんぷらに、貴方はしょうゆをかけますか、ソースをかけますかというアンケートを全国規模で行いました。それは西日本ではソースをかけ、東日本ではしょうゆをかけるというのに気づき、どこがその境界かを調べるためでした。ところが、西日本の中で、香川県だけが、しょうゆでもなくソースでもない、変な傾向がみられました。その学者は、それはどうしてかを、詳しく調べたところ、香川県では、てんぷらは、本当の天ぷらではなく、平たいさつま揚げだというのに、初めて気づいたそうです。私が、学生のとき宇高連絡船の「天ぷら」うどんで、これ「てんぷら」じゃないと気が付いたのを思い出して、笑いました。


なお、この連絡船うどん、瀬戸大橋が1988年4月10日(昭和63年)にできて宇高連絡船がなくなっても、高松駅構内で「連絡船うどん」という看板を掲げて営業を続けていました。ところが、郷里の友人によると、つい最近の2021年11月30日をもって閉店したとのことです。懐かしいあの連絡船うどんがなくなったと、我々の年代のものの間では、今、話題になっています。

写真1:香川県高松市、JR高松駅構内「連絡船うどん」のお店外観と2021年11月30日の閉店のお知らせ。この写真は、友人石川公一さんの撮影したものです。

おわりに

「アカシアの天ぷら」、「宇高連絡船のてんぷらうどん」、これらは地域を代表する懐かしい食べ物ですね。私は、ご縁があって、信州に来て40年近くになりますが、皆さんの地区ではアカシアの花の天ぷらは食べますか?

*冒頭の「ニセアカシヤの花の天ぷら」の写真は、https://ws-plan.com/sannsai/niseakasiya-tenpura.html から引用させていただきました。

2018年11月19日随筆
2021年12月4日加筆
2022年1月18日加筆
信州上田之住人和親

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