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信州上田市で郵便マーク〒がついた鬼瓦発見

今日、長野県上田市内上房山(かみぼうやま)地区で、古い郵便局の家屋を発見しました。現在は郵便局ではなく個人の住居となっています。しかし、玄関の上の鬼瓦と、玄関の軒下の横木に、それぞれ郵便の〒のマークがついているのでわかりました。写真をご覧下さい。


 場所は「上田市中央5-13-58」です。なお、上田市立博物館内の2階への階段の踊り場、その横の壁に貼ってある、旧地名の入った古い地図には、この場所に、○〒の記号があります。従って、間違いなくここには郵便局があったことが確認されます。
 ところで、NHKの人気番組「その時歴史が動いた」によれば、明治時代になって、前島密が近代的郵便制度を作るとき、大変困ったのは全国いたるところに郵便局を、費用をかけずに造るにはどうしたら良いかという大問題でした。そこで、町や村の有力者や名主(庄屋)に、それまでの飛脚に替わる近代的郵便制度が近代国家建設に如何に重要かを理解してもらい、民家を無償で郵便局として利用する制度を思いついたそうです。これが今も残る「特定郵便局」なのだそうです。この上田市上房山地区のこの家屋は、その元「特定郵便局」だったのかも知れません。鬼瓦に〒のマークがついているなど、全国的に珍しく、他にもう残っていないのではないでしょうか。この郵便マーク〒は、明治20年(1887年)に逓信省によって徽章として考案され、逓信省(ていしんしょう)のテを表しているそうです。郵便マーク〒の鬼瓦など他に見たこともなく、大変貴重なものだと思います。上田市、あるいは国家として登録文化財などに指定して保存すべきものと思いますが皆さん如何でしょうか。
 くしくも、1週間前の今月の11日(2005年9月11日)に行われた衆議院選挙は、国民に郵政民営化の是非を問うものでした。小泉首相は「民間に出来ることは民間に」というスローガンを掲げ、今回の衆議院選挙に大勝しました。前島密が作ったときの「特定郵便局」ですが、134年もの間に制度疲労を起こし、特定郵便局の局長が親から子へと事実上世襲制になっていることや非効率な国家公務員の体質になっていることなどが、国民からはもはや賛同が得られていないことを、今回の選挙で示されたといえるでしょう。信州上田市内で発見した、大変珍しい郵便マーク〒がついた鬼瓦を見ながら、大変感慨深いものがありました。

*冒頭の写真は、上田市上房山地区(上田市中央5-13-58)で発見した、郵便マーク〒のついた鬼瓦と木彫の横木です。

2005年9月18日 随筆
2021年11月5日加筆修正
信州上田之住人和親

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