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香川県大野原町「海老済」の地名由来と「曼陀トンネル」の楽しい思い出

(1)「海老済」の地名の由来


過日、地名で大変気になる投稿が、Facebookの友人の友人からありました。その方は、香川県三豊郡大野原町(現香川県観音寺市大野原町)の山間地に住んでおられ、最近、その地区の産土神である「海老済棒賀」神社で、小さなお祭り行ったとのことで、お祭りの後の「直会(なおらい)」などの写真が添えてありました。
 
そこで、その方に下記のような質問をしました。
 
長野県上田市在住のものです。出身は、三豊郡山本町(現香川県三豊市山本町)です。さて、この記事の大野原町五郷の海老済棒賀神社で思い出しました。この「海老済」は「えいびすくい」と読みますか。昔、三豊郡史というものがあり、45年ほど前に東京の親戚の家で、見せてもらい読みました。この中に、奈良時代に東北地方の恵比寿を平定し、とらえた恵比寿を、今の三重県と香川県に移住させたという記録から、大野原町五郷の「海老済」は、その時移住させた、えびすが、すくう(住む)ところという意味で、「えびすくい(海老済)」と名付けられたとありました。大野原町五郷海老済では、このことは伝わっていますか。どなたかご存知の方お答えいただければ嬉しいです。
 
その方は、地区の古老の方々に聞いて調べてくださいましたが、もうそのような地名の由来は、誰も知らないとのことでした。また、海老済を「えびすくい」と読む人も、「えびすみ」と呼ぶ人もいるとのことでした。

(2) 曼陀トンネルの楽しい思い出


香川県三豊郡大野原町五郷の海老済地区は、徳島県境に近い険しい山間部で、その地区の山道を登っていくと曼陀(まんだ)トンネルがあります。そこを抜けると徳島県三好郡池田町(現三好市)に入れます。春には、徳島県三好郡では山道の周りに藤が見事に咲き誇ります。そこで、中学の友人と5人でちょっとした自転車旅行を計画しました。私の通う三豊中学校は、山本町の4小学校地区と観音寺市の2小学校地区出身の生徒が通うという珍しい学校組合立中学校でした。それで友人は山本町と観音寺市の出身なのです。この自転車旅行は、山本町と観音寺から一か所に集合し、そこから大野原町五郷の海老済地区の山道を登り切り、徳島県の藤を見に行くという計画です。私たちは朝早くお弁当を持って集合して、大野原町海老済地区の山道を必死で登り、最後は自転車を押して曼陀トンネルまで来ました。そしたら、トンネルの管理人が出てきました。なんと、この管理人は、見覚えのある定年退職した神原校長先生でした。神原校長先生に、色々とご注意を頂き、ここを通して頂けることになりました。私たちは知らなかったのですが、ここはどうも自動車専用で自転車では通り抜けてはいけなかったようです[1]。
 
曼陀トンネルを抜けたら下り坂で、それまでと違ってらくちんでした。下りながら、周りの見事に咲き誇った藤を眺めていました。そしたら、四国新聞社の記者とカメラマンがその藤を写しに来ていて、私たちは呼び止められてインタビューされました。若い私たちが、香川県から自転車でこの藤を見に来たと言ったら、大変驚いて、写真に、私たちが自転車に乗って藤の花の横を通るシーンを、撮ってくれました。私たちは、それからまた三好郡の山奥の野呂内(のろち)地区の坂道を登りました。野呂内という地区は、香川県の私たちには、「おんごく(遠奥)」と知られた大変な山間地です。途中で友達の自転車がパンクしていまい、この地区の自転車屋さんに直してもらいました。そのおじさんも、私たちが、自転車で香川県からやってきたと聞いたらたいそう驚き、「何、観音寺か!観音寺の本大地区には牛の品評会をするところがあるよな?」、「はい、僕の家はその前にあります。」と友人は答えました。パンクが治ったので、その自転車屋のおじさんに見送られて、野呂内(のろち)地区を横切り、今度は険しい六地蔵越の峠を登って越え、香川県三豊郡山本町河内地区に入りました。そして、それぞれの家へ帰っていきました。多分50キロくらいの自転車旅行だったと思います。
 
次の日、四国新聞に私たちの写真が載っていたのには驚きました。したがって、香川県三豊郡大野原町五郷の海老済地区や、徳島県三好郡池田町野呂内地区は、私にとってはとっても懐かしい山間地なのです。
 
[1] 1966年当時、中学生だった私たちは、曼陀トンネルが自動車専用のトンネルなので本来は自転車では通れないのだと理解していたのですが、最近、ネットで曼陀トンネルの歴史を調べたところ、そうじゃないことが初めて分かりました。ここは、1963年の開通時から1975年まで有料のトンネルで、管理人と思っていた神原先生は、料金所の職員だったのでした。ということは、自転車なんかで当時来る人はいないので、色々と注意を言って、無料で通してくれたということだったのですね。56年ほど前のことですが、神原先生ありがとうございました。天国におられる先生にお礼!
 
*なお、冒頭の写真は、香川県大野原町側から見た曼陀トンネルの入口です。ウィッキペディアから引用させていただきました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%BC%E9%99%80%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB  最終更新 2021年9月21日 (火) 12:16

2017年7月17日随筆
2022年4月22日加筆

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