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インド神話入門

(はじめに)


この前の(2019年の)2/26~3/7にインドに行くにあたり、上田市内にあるH電機のN山さんから、インドに関する本を4冊貸していただきました。N山さんは9年前までインドで駐在員をされていた方で、英語とヒンディー語ができる方です。
今回のインド旅行前から旅行後にかけて、お借りした4冊の全部読みました。特に長谷川明「インド神話入門」新潮社(1987)は、精読いたしました。大変、インドの宗教やインド人のメンタリティーがよくわかる好著で、大変参考になりました。以下の3つはその感想です。
 

[1] バラモン教からヒンドゥー教が成立


紀元前1500年ころからインドにアーリア人(白人)が侵入して、ドラヴィダ人(黒人)を支配したため、カースト制を伴うバラモン教がその後のインドを社会制度に大きな影響を与えたこと。そして、バラモン教に対する批判や改革から仏教やジャイナ教が生まれ、バラモン教自体も土着の各地の神々を吸収しながら多神教のヒンドゥー教が成立したこと。ヒンドゥー教には、神話にたくさんの土着の神(例えば、南インドのミーナークシー神やアイヤッパン神)が、シバ神やヴィシュヌ神と融合合体して、インドの広大な地域に根付いていったことなどを知りました。
そのため、各地に多くの神々がそのまま息づいて今も存在しています。これは、弥生人(細長い顔人)が侵入して縄文人(下駄顔人)を支配したために、日本の八百万の神が成立したのとよく似ていて大変興味深かったです。インドの土着のリンガ信仰は、日本の土着の道祖神(金精様)信仰とそっくりです。
 

[2] 天の羽衣伝説のもとはインドのクリシュナ神


また、クリシュナ神が、牧女の衣を奪う話は、「天の羽衣伝説」のもとになった話だと思いました。以前行った済州島にも、同じ羽衣伝説があり、天女が水浴した場所というのがあるのを思い出しました。
 

[3] 孫悟空のもとはインドのハマヌーン神


サルの顔をした戦士ハヌマーンは、空を飛ぶことができる強力な戦士で、カイラス山を運んで薬を届けるなど超人的なキャラクターが、孫悟空のモデルではないかとすぐ思いました。私は今まで知らなかったのですが、ネットで調べてみると、やはり、中国の孫悟空のモデルはインドのハヌマーンとの指摘がありました。大変興味深かったです。
 

(おわりに)


今後ますます経済発展し日本にとって重要になるインドです。インドの社会や歴史を知るためには、インドの宗教の理解が欠かせません。それには、長谷川明「インド神話入門」新潮社(1987)が、入門書としてぴったりの気がしました。インドへ仕事や旅行に行かれる方に、是非お勧めしたい本です。
 

ご参考


なお、ペルシャ語系の発音ではhを発音しますので、ヒンドゥーと発音されますが、hを発音しない言語系では、ヒンドゥーがインドゥー となり、さらに長音が短音で発音されるとインドとなります。したがって、ヒンドゥー教というのはインド教、ヒンディー語というのはインド語っていうことですね。
 
*冒頭の写真は、ハマヌーンがモデルの孫悟空の絵です。ウィッキペディアから引用させていただきました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E6%82%9F%E7%A9%BA
最終更新 2022年12月2日 (金) 23:39
 
 
2019年3月22日随筆
2022年12月10日加筆

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