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富士山チャレンジ2023 〜Prologue

富士は日本一の山。

オレ自身がやっている登山スタイルの中で、開山期間中の富士登山は退屈なもので、一般にも山好きの間では「景色がいいわけでもないし、あまり面白い山ではない」と評されているのもあり、なかなか時間を割いて登る気にはなれない。でも、日本のてっぺんはクライマーの端くれとして押さえておきたい。ならば面白くしてやればいい。面白くするにはハードルを上げるのが一番だ。そしてハードルを上げるための簡単な方法は足枷を作る事だ。という訳で子供たちに「富士山登りたい?」と聞いてみた。奴らは何も考えていないので即答で「登りたい!」である。

よし、じゃあ、夏休みに決行だ。と2023年の夏休みにやることを決めた。

今まで山登りは何回も六甲山の色んなルートを登っており、山登りそのものは好きだし、体力的な問題もなさそうだが、高山でもあり、これだけ登りが続くルートは経験がない。装備もちゃんと登山靴やザックにしなければ、と揃えていった。

と、ここで思わぬ伏兵が現れる。

義父。

義父も実は若い頃は山登りが好きでオレと同じく下ノ廊下に行きたかったが、悪天候で行けず、剱岳に登ったりしていたらしい。そしていつかは富士山、と思っていたが、機会もなく歳を重ね、もう80近くなってしまい、流石に無理になってしまったという状況。その義父が、我が家の話を聞くたび義母に「いいなぁ」と言っているらしく、妻がオレに相談を持ちかけてきた。

しかしながら今まで登山を続けてきた訳でもない79歳の人を富士山に連れていくなど、突拍子もない話だ。

だが一方で「コレは面白い足枷では?」とも思った。ならば使わない手はない。

義父の実力次第では「行けない」という判断はありうる、とした上で、まずは条件を出した。

ひとつ、装備はちゃんとしたものを揃えること。
ひとつ、オレの計画する練習を実施すること。
ひとつ、当日の行動はあくまでオレの指示に従うこと。

これを守ってくれればできるかどうかは別にして一旦引き受けよう、と。

そこそこ登れる子供たちと日本一のピークを踏みにいく、ついでに子供たちには普段は得られない経験をしてもらう、というだけのはずだったのだが、ここに79歳の爺様を連れていく、ということで、一気に足枷は増え、ハードルが上がった。面白ぇ、やってやろうじゃん。

〜準備編 へ続く

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