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オレのライバル -My Competitor

巷で人気の鬼退治アニメ。

特にアニメが放映中というわけでもないのに、みんなどうやって見てるのか不思議だった。うちはNetflix入ってるからいつでも見れるけど、そんなに利用者多い?って気もするし・・・と思ってたら、Twitterで流れてきた話が興味深かった。

多くの子は知ってる子からの情報で想像力を膨らませて合わせているというのだ。

なるほど、家庭内の考え方で見れない子もいるだろうし、そういうのは昔からあったなぁ、と、思い、またふと昔のことに思いを馳せてみたら、自身に覚えがある中でも非常に面白いことをやってたな、ということを思い出した。

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オレが幼稚園の頃、ライバルとも言えるMと言うやつがいた。

Mは非常に聡明なガキだった。親が一級建築士で事務所を構えて、PTA会長もやっているような奴だ。しがない公務員の三男坊とは生まれも育ちも違う。

そんなMは電車が好きだった。かく言うオレも好きだったので、お互いの好きが高じて架空のテレビ番組をでっち上げ、お互いの忖度だけで成り立つ会話をしていた。今思うと高度な探り合いだ。盛り上がったのは「電車レース」と言う番組だ(笑)各社の鉄道が速さを競うだけの番組だが、オレは当然親父のいた国鉄推しで、彼は阪神電車推しだった(笑)無論想像の中だけの世界なんだけど、お互い、何となくそれっぽい番組を作り上げてて話を合わせてた(笑)勝敗なんて先に言ったもん勝ちだ。めんどくさい日は「ごめん、今週は見てない」で、見た設定の方が一方的に語るというシステム(笑)

ある時、オレがやらかして、レース中に脱線した電車から出てきた客の話を出したらそいつが「いや、電車レースに客は乗ってないやろ・・・」と言う鋭いツッコミで、この幼稚園児の高度な嘘のやりとりは、まるでサンタの正体を知った子どものように終わった(笑)それでもそれ以上はお互い突っ込まないあたり、本当に「わかっている」関係だったなと今になって奇跡的にすら思う。

Mは小学校に行ってもオレのライバルみたいな奴で、背の高さから掛け算の競争、テストの点数、短距離のタイムから電車他のオタク知識まで、何から何まで競い合ってた。

しかしながら育ちのいい彼は中学受験に合格し、私立有名進学校に行って、そのまま音信不通となっていた。

7年ほど経った後、オレは2回目の大学受験があった。一浪していたが、なんとか志望校(と言うには妥協の産物だが)には合格したオレは週刊誌に名前が載っていた(今は知らないが当時はそこそこの大学の合格者は全て高校別に週刊誌に載っていた)。親父が嬉しそうに買ってきた週刊誌に目を通して、ふと、東大理科I類の合格者を眺めていた。そうすると某有名私立からの合格者の中にMの名前があったのだ。一浪していたようだが彼はなんと、東大に合格していたのだ。

あいつ、やりやがったな、とニヤリとした。

幼き頃からの小さな競争の積み重ね。オレは東大なんてところまでは届かなかったが、負けず嫌いの彼は新天地で更にレベルの高いライバルに磨かれ、そこまで行かねば気が済まなかったのだろう。それでこそオレの認めたライバルだ、とこちらで勝手に誇らしい気分になった。

その後、どうなったかは知らないけど、まあ、どこかで活躍してるんじゃないかな?カッコつけたいけ好かねぇ奴だったけど、東大の入学式で再会なんて言ったらドラマチックだったろうなぁ、と今となっては叶わぬ夢となったことを少し後悔している。

-了-


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