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ニューハルピン参内 その1 -Halpinistize 1

バイク乗りという生き物はとかくしょうもない事に全力を尽くすことを楽しみがちだ。1本のボルトにウン万円使ったり、わずか数mmのポジションにこだわったり、はたまた500km先の人に会いに行くなんてのも似たようなもんだ。自分にとってその「価値」があればやる。ただ、それだけの判断基準。オレ自身もそういう生き方をして来ているつもりだし、そういう「自分の物差し」を持ったバイク乗りという人種がオレは大好きだ。


新潟は上越市に「ニューハルピン」というラーメン屋がある。

とあるバイク漫画に出たこともあり、一部マニアでは聖地化しているラーメン屋だ。そして店主は筋金入りのバイク乗り。店の佇まいも最高で、ここだけ時空が歪んで台湾の裏路地にでも繋がっているんじゃないかと思わせる雰囲気がある。

いつかは行ってみたいと思いつつもなかなか行動に移るのは難しいもの。

思いを抱き始めてから、もう何年もの月日が流れ、2019年にはCOVID-19なんて疫病が大流行し、打撃を受けたニューハルピンでも通販を始めたようだった。

食ってみたい。これだけ簡単に食えるようになったのだから、売って貰えばいいじゃないか。ニューハルピンの応援にもなる。

だがそれはオレの性格上、できないことなのだ。

一度でも「本物」を食って来たのなら、それもいいだろう。でも「本物」を知らずに、というのはどうにも気が進まないのだ。もちろん、店主が通販用に全力で店と変わらぬクオリティを再現していると知っていても、だ。買う「資格」がオレにはないのだ。

・・・だったら「資格」をもらいに行こうじゃねぇか。

ハルピンツーリング、やるぞ!と決意を表明。

するとそこに友人P。

「キレさん行くならオレも行ってもいいぜ。何なら泊まりで飲みに行くか」

話が早い。

友人との付き合いというのは時折重荷になることもあるのだが、大体、それなりの年齢になってから友人になった連中とはお互いの背負ってるものに一定の敬意があるので、無理がない。それどころかある種の相乗効果でよりボルテージが高まる。一方でタイミングが合わなければ一人でも行く、そういうStand Aloneな関係性が心地よい。時期は2021年春と決まった。

2021年も明けた頃だったか、まだ日程は決めていなかったのだが、突然友人Pから「オレは4/10に行くよ。行けるならその時一緒にどう?」と連絡があった。正直、まだ準備が整っていなかったのもあり、もう少し先がよかったのだが、先延ばしは大体よくない結果を招く。人間、無理した方がいい時と悪い時ってのがあり、この時は確実に「無理すべき時」だった。

「OK、じゃあオレも準備するわ」

と了解。往復1000kmオーバー。残り5部山もなさそうなα-14じゃ少々厳しいか?ギリギリ行って帰って来れるか?中古タイヤでも買うか、何なら現地でタイヤ交換でもするか?(実際ハルピンさんかホテルにお願いして、中古タイヤと工具受け取ってもらって、現地で替えることも考えた(笑))などと色々考えたが、まあ、ボーナス一括払いにしちまえばいいか、と量販店へ。すると何とツーリングタイヤのエンジェルSTが前後でたったの3万円だ。どうせ高速ばっかなんだ。製造年月がどこにも書かれてないのが気になるけど、もういいや、と購入。ただし、サイズが190/55はなかったので180/55にした。

そして皮むき。一度ワインディング走ってどの程度のタイヤなのか確認しとかないと怖くてまともに走れない。

いつもの山に行き、ガーッと膝擦ってみる。イケる。全然イケる。ちょっと柔らかすぎるのと、フルブレーキング時の制動距離の長さはちょっと気になるが、本気で攻めるのでなければ、まあ、問題なくペースを上げても走れる。何だこのツーリングタイヤ。180/55になった事で若干リヤが下がったのが気持ち悪いところはあるが、走っていてもそう違いがわかるほどでも無い。よし、行けるだろ。マシンの方はこれでOKだ。

残り1週間と言うところでここぞとばかりにツーリングマップルも新しいものを買い、土産を入れられる程度の容量の大きなヒップバッグも購入。オレの買い物は大体必要に迫られた時に買うことが多い。その方がモノにエピソードが付いてくる。

これで完全に準備は完了だ。

「ちょっとラーメン食ってくるわ」

のツイートを残し、いざ、新潟へ向けて出発。

10-Apr-2021  7:00am


-to be continued...

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