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スピードの向こう側 〜OIRC 2C編

岡山国際の走行枠は2種類あってタイムで分かれている。(当時)
1分50秒を境に、遅い方が2C、速い方が2Sだ。

45秒を狙うからにはまず、50秒を切って2Sの走行枠を走れるようにしなければならない。目下の目標はそこだ。

やるとは言ったものの、そうそう時間も金も潤沢にあるわけではない。
まだ小学生以下の男子を3人抱えて走る訳にも行かず、自ずと妻に任せて家を出ることになる。
タイヤ代だって年間に何本も買うなんてできない。なので自ずと走行回数は年に数回のレベルだ。ガチ勢からしたら鼻で笑われるレベルの話で、「やる気あんのかよ」と言われる話だがそんな事は慣れている。

人間、結果を残してない奴ほど野次を飛ばす。
逆に結果を出すほど種々のハードルを超えてきた者は「うんうん、そりゃオレと同じにはできないよね」と、案外遠巻きに見てるもんだ。

で、だ。

その潤沢にない時間と金を上手く利用するには、効率の良い練習が必要だ。
1回1回の練習を無駄にしないため、マシンの操縦練習は「ジョグ活」と称して、3KJジョグで週末の朝になったらコソコソと家を抜け出し、子どもたちが起きる前に家に戻る。そんな生活を繰り返していたが、その効果は絶大で、「尻割メソッド」で界隈では有名なTWIN氏からも様々なアドバイスをもらい、「マシンを操る」方の研鑽は着々と進んだ。

8の字を基本に低速バランスから膝スリまで。
雨も雪も練習のうち。


そうしてコースを走る時は極力「コースを攻略する事」に集中する。走行が終わればすぐにメモしておく。間隔が長くなる分忘れてしまうからだ。

そして2016年8月27日。
バイク屋の店主に手伝ってもらって、コッソリとOIRCの入会を済ませ、初の走行。タイムは以下。
3.03
2.17
2.06
2.03
1.58
1.59
1.55
1.53.14
1.53.20
1.56.01
1.53.71

55秒はあっさりクリア。55秒を切ったあたりでコンマ台のタイムも記録を始める。

そして11月5日。タイヤをロッソコルサからワンランク?上げ、20年ぶりぐらいのブリヂストン。
消耗の速さで悪名高いRS10Rだ。

2.04.62
1.56.20
1.53.92
1.51.12
1.50.78
1.50.24
1.50.99
1.51.15
1.49.75
1.51.10
1.52.33

一気に50秒もクリアしたが、前後が51秒なのがインチキクサい(笑)
恐らく手動計測だったので誤差だろう。なのでこの日のベストは50秒と考え、まだ50秒きりはしてないものとする。ところが困ったことが起こる。
先日の「アブレージョン出ててもオレより遅い奴」を見て、アブレージョンコンプレックスから抜け出したオレだったが…

なんだこりゃーー!

新しいタイヤが台無し。嬉しくも何ともない。

それにしても何故?ハイグリップなタイヤってこんなもんか?
いやいや原因はサスのセットだ、空気圧だと色んな憶測が飛び交う。あのタイヤだけはダメだ、そんな事も言われていた。けど、情報を色々整理していくとオレの結論は38秒(!)の方に聞いたアドバイスが一番しっくりきた。内容はこうだ。

「原因が何であれ、要はリヤタイヤが潰せていない。潰れる前に開けてしまってるとこうなる」

分かる。分かりすぎるほど分かる。ジョグ活で前から後ろにシームレスに荷重を移していく感覚。
アレができていない。もちろんセッティングの問題もあるのだろうが、オレはその違いが感じ取れないし、ある程度乗り手側で何とかなるような気もする。私的に出した結論は乱暴だが「コーナリングスピードを上げる」だ。

「速く走れ」と言うとドシロウトはコーナリングスピードを上げようと、コーナー手前から速度を調整し、エイヤッ、と入る。間違ってはないがコーナー手前や直線が遅過ぎて話にならない。
次にブレーキをギリギリまで我慢し始める。コレも結局は減速し過ぎるハメになり、大体遅い。
次は「いやいやサーキットはアクセル開ける時間が長い奴が速いんだよ( ̄▽ ̄)」などともっともらしい事を言い出し、コーナリングスピードは程々に、小回りしてガバッと開ける、これがビッグバイクの乗り方だよ、なんて言う人だっている。

オレがこの時点で辿り着いた結論は結局、最初のドシロウトの「コーナリングスピードを上げる」だ。

この時点で皆オレよりツッコミが遅いのは気付いてた。オレより速い人でもブレーキなんて全然強くかけないのだ。
「クソあめーな( ̄▽ ̄)」
なんて思いながら並ぼうとするが、コーナーが終わる頃には割と大きく差をあけられる。
思えば走行会レベルの頃にブレーキングで並んだ相手に対して、スッとブレーキを緩めると一気に相手の前に出られる事に、衝撃を受けた事がある、「ブレーキで加速」する感覚。これを自分がやられてる側だと分かった(笑)

つまりは速く走るためにはどれが欠けてもダメで、「なるべく速い速度で侵入し」「一番遅くなるところで極力短時間で向きを変え」「極力速くアクセルを大きく開ける」と言う当たり前の事をコーナーによってどれを優先するかバランスを高次元で取っていくのだと思った。
(素人の戯言です。スルーしてください)

なるほど。。。

ではあそこのコーナーの侵入をああやって、ココはこうやって…と組み立てて見る。

今日の走りからならあと2秒ぐらい縮まるんじゃないか?

じゃあ次の目標タイムは48秒だな。

と、「狙い」を定めた。

目標、ではない。

狙いに行くのだ。

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