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富士山チャレンジ2023 〜御来光編

朝、4:30出発。

既に空はやや白み始めている。

ご来光を頂上で見れたら良かったが、ご来光をベースに行動すると、その他大勢と行動パターンが被るので、そこの優先順位は落としたのだ。見えないことも想定していたが、見えるなら充分だろう。

程なくして太陽が顔を出す。

標高こそ低いものの、富士山から見るご来光には違いない。

少し立ち止まり、日の出を拝む。

義父は押し黙っていたが、ふと見るとその目からは涙が溢れていた。

ここに来るまで、種々のハードルはあった。
年齢、体力、装備・・・色々と自信を持てずチャレンジできなかった面もあったろう。だが何とかそれを乗り越えてここに立っていることには大きな意義があると思う。

一方、オレはオレで五合目からほんの少し登るだけで息が切れていた義父に対し、リーダーとして無事に下山させる義務もあり、どこかで決断し、引導を渡すことをせねばならんだろうと葛藤していたが、義父の目から涙がこぼれ落ちるのが見えた時、何か責任を果たせた気がした。

しかしあまりのんびりしている暇もない。
ともかく、歩を進めねば山には登れない。
まずは六合五勺、御来光山荘を目指す。

流石は富士山。登りしかないので79歳の義父も必死だが、息は荒れ、細かく休憩を挟む。

何とか設定タイム(コースタイムよりやや遅め)オンタイムで六合五勺に到着。この段階では少し巻き気味で行く想定だったが、約束の30分オーバーはしてない。
とは言え昨日同様、夕方には降ってくると予測してるので早めに下山はしておきたい。雨が早まる可能性もある。
さて、どこで決断するか…と悩みながら小屋で頂いた朝飯を食べる。

すると、吹っ切れたように義父が口を開いた。「私は…行けるだろうか…?」
その顔は非常に満足げで、不安から来る質問ではなかったので、オレは正直に答えた。
「正直、無理だと思います。ココではタイム稼ぎたかったですが、オンタイム。このペースで行くと間違いなく頂上には行けても帰りの悪天候も想定すると帰れなくなる可能性が大です。」
すると義父は
「やっぱりそうか…。じゃあ私はココでいいから子どもたちだけでも登らせてあげて欲しい。頑張って」
と答えた。連れてきた以上、何とか頂上まで連れて行ってあげたかったが、オレにできることはここまでだ。自分が孫たちの足を引っ張り、イベントを台無しにするのは義父も本意ではないだろう。義父の意思も尊重し、オレは、

「必ず、子どもたちは頂上まで連れて行きます。」

と約束し、ココで義父とは別れた。

〜登頂編へ

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