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【NR限定戦】大会勝率9割越えのメタルフォーゼ構築論
はじめに
どうも、NR競技勢のKnoxです。
本日はNR限定戦において非常にスタンダードなレギュレーションであるNoRichesにおけるメタルフォーゼ・マジェスペクター・真竜を解説する。
NoRichesとは海外のNRコミュニティであるBoss Stageが作成したレギュレーションで、メガリスーヴェンデットの2強環境になるのを避けた群雄割拠とした環境を目指したものだ。今年に入ってからこのレギュレーションは人気を増しており、もはやスタンダードよりスタンダードとなったといっていいだろう。
本日紹介するメタルフォーゼは今期のNoRichesの最強デッキであり、そのうえイラストもストーリーも非常に良い。雑に混ぜられたように見えるメタル、マジェ、真竜は同じ竜剣士ストーリーの登場人物であり、物語を見るかのような展開がとても楽しいデッキだ。
↑竜剣士のストーリーについての解説
私はこのデッキでNRJPに2度、NoRichesに1度参加しているが、4‐0優勝、4-0優勝、4‐1準優勝と非常に高い勝率を維持できている。NoRichesの決勝では残念ながら初動を引けずに敗北してしまったが、このデッキの初動率は9割を超えており、決して初動の細いデッキではない。仮に初動を引けなかったとしても、マジェや真竜のギミックでごまかすことができるため、下ぶれても強力なデッキだ。
このデッキを回していると全てが思いのままにできるんじゃないかという万能感に酔いしれる。こんな感覚はフルパワーメガリス以来だ。それほどまでにこのデッキは出力と対応力が高いのだ。
これまでのメタルフォーゼ
メタルフォーゼはメガリス、ヴェンデットに次ぐデッキとして高い評価を受けていたデッキだったが、NoRichesにおいては非常に重い規制を受けていた。最近になって緩和が進み環境で活躍できる力を取り戻した。
現在でも規制されているカードが多く、構築が制限されているがそれでもデフレしたNoRiches環境では最強のデッキといえるだろう。
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メタルは自分の場を破壊することで、デッキのカードをサーチできる共通効果と、破壊されるとアドバンテージを獲得する効果を組み合わせて戦うミッドレンジデッキだ。サーチ効果が共通効果であるため安定性が高く、破壊による盤面処理への受けが良いためスケールを維持しやすいという点が強みだ。
広いスケールと、豊富なサーチカード、展開に制約がつかないことからこれまでに様々なデッキとの混合構築が開発されてきた。魔法罠への除去能力と安定性が高さから後手の勝率が非常に高い【メタル真竜】、安定性に問題があるものの制圧盤面の最も強力な【メタルF.A】、展開力が最も高い【メタルトイポッド】、主に海外での活躍が目立つ【破械メタル】、強力なペンデュラムテーマを混ぜ合わせた【メタルマジェスペクター】。メタルには様々な派生構築があり、最も拡張性の高いデッキの一つといえるだろう。今回紹介するのはその中でも最もバランスの取れた構築である【メタルマジェ真竜】だ。NRで強力とされながらも環境トップをとれなかった【メタル真竜】、【マジェスペクター】。これらのデッキには、それぞれ致命的な弱点があった。
【メタル真竜】は先行展開でたくさんの後続を用意できること、後攻時に魔法罠を大量に除去しながら展開できるため罠型対面の後手を得意としている後攻デッキだ。しかし、
モンスターを処理する能力が低いこと。
先行で妨害を作れないため、後続がどれほどあってもワンキルされてしまう可能性があること。
P召喚してフィールドに出したメタルフォーゼモンスターが効果をもたないこと
などの弱点を抱えていた。後攻の強さは目を見張るものがあるが、自分から先行を捨てるのは疑問だろう。
そして【マジェスペクター】は強力な妨害罠をサーチする手段に長けており、先攻制圧を得意としたPデッキだ。しかしながら、
打点が低く、相手モンスターを処理するのに複数枚のカードが必要になること。
罠を発動するためにはマジェスペクターモンスターが必要であり、戦闘処理された後メイン2で動かれる恐れがあること。
スケールに張ったマジェスペクターモンスターがバニラであること。
スケールを破壊されP召喚ができなくなるとギミックが成立しなくなること。
モンスターを処理する妨害に長けているが、魔法罠を処理する手段を持たないこと
打点が低いためライフを詰められず、リソースが枯渇しかねないこと。
など弱点としている。両者ともにアドバンテージを得る効果は大量に持ち合わせていたが、同時にたくさんの弱点を抱えていたのだ。
メタルマジェ真竜という回答
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【メタルマジェ真竜】はこれら弱点を克服したデッキになる。このデッキの強みは多岐にわたる。
第一に、メタルと真竜が総じて高打点であり、マジェの弱点であったモンスターの戦闘処理が容易に行える。そのうえライフを詰める速度が速く、リソース切れが発生しにくい。
さらにマジェが妨害を用意できるため、ワンキルされてしまうリスクも大幅に減少している。
またマジェを戦闘処理された後メイン2で展開された場合も、メタルの怖れていたワンキルを回避できるため大量の後続から捲り返すことができる。
そのうえメタルをスケールに、マジェをフィールドに展開することで、両者をもっとも強力に使用できる。
さらにマジェがモンスターを、メタル真竜が魔法罠を処理することで、前後ともに全てのカードを解決できるようになった。
メタルのスケールは後続を用意する能力と破壊による除去への受けが非常に良い。そのため相手にスケールを破壊されると、むしろ手札が増えてしまう。故にスケールを全て破壊されてしまいP召喚が狙えなくなるというマジェの弱点を克服し、安定してP召喚することができる。
メタル真竜とマジェの混合構築とすることで、両者のギミックの弱点を克服し死角のない対応力のあるデッキにできるのだ。
デッキの特徴
先行をとった場合、メタルのギミックでひたすらカードを増やし、3ターン目に圧倒的なアドバンテージを叩きつけるデッキになる。このデッキの本質はメタル真竜らしく、大量の後続を抱えられる点だ。相手ターンに破壊されたメタルがさらなる後続を用意できるため、相手がどれほど盤面のカードを破壊しても圧倒的な手数から捲り返すことができる。このデッキはこれまでのPテーマが抱えていたスケールが破壊されP召喚できなくなることと無縁なのだ。
そのうえマジェが1妨害ながらも強力な妨害を用意できる。そのためワンキルされて後続が意味をなさない展開にもなりにくい。
後攻をとった場合、真竜とブンボーグのギミックから相手の魔法罠を大量に吹き飛ばしながら展開することになる。例えばブンボーグ初動だった場合、手順に相手の魔法罠を2枚除去しながら任意のメタルをサーチできる。
真竜のギミックも自分のターンと相手のターンで2倍のアドバンテージを生むため、後攻だと先行以上に手札が増える。増えた手札で問題なく捲ることができるだろう。
NR厚型構築の意義
NRには隣の芝刈りのようなデッキを厚くする意味のあるカードが存在しない。さらになぜNRなのか分からない最強カードがどのデッキにも存在するため、そのようなカードを引きやすい40枚構築が基本となる。
本来はデッキの厚いNRデッキは許されないのだ。ではなぜこのデッキが60枚になるのだろうか。
まず構築を見てほしい。
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![](https://assets.st-note.com/img/1695836066178-X8RXcKeD5j.png?width=1200)
緑色がスケールかつ初動であり、黄色がそのサーチカード、紫が素引きしたくないよりのカードになる。なんとスケール及びスケールをサーチできるカードがデッキの84%をしめており、デッキのカードにアクセスできるカードが91%も占めているため初動率があまりにも高いのだ。
メタル、マジェ、真竜ともに共通効果がサーチ効果であり、モンスターを増やすことが初動の低下につながらないのだ。
逆に紫色で表示された素引きの弱いカードが9枚も存在する。メタルやマジェスペクターはサーチ先となる魔法罠を素引きしたくないデッキだ。素引きの弱いカードは採用したくないが、メタルもマジェも魔法罠抜きでは戦えず、こういったカードを採用せざるを得ない。そこでデッキを厚くし、ひきたくないカードを引く確率を最小限に抑えることができている。
戦い方
メタル真竜はコンビネーションを強く使うためのギミックだ。
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このカードはフィールドから墓地に送られると、任意のメタルフォーゼモンスターをサーチする効果を持っている。しかも信じられないことに、名称ターン1がない。メタルフォーゼは共通効果でこのカードをサーチし、真竜のA召喚のための生贄とすると、②のサーチ効果につなげることができる。
またメタルの効果で真竜の魔法を破壊しこのカードをセットすると、真竜魔法の効果でそのままこのカードを破壊しデッキのメタルのサーチを行える。したがって真竜の魔法カードはデッキの任意のメタルをサーチするカードとしても、相手の魔法罠を破壊するカードとしても利用できる。サイクロンがサーチ効果を内蔵しているようなものだ。
メタルにとって万能サーチはあまりにも強力な効果となる。スケールの被りを解消し、ビスマギアやメルキャスターといった色付きのメタルにアクセスできるからだ。足りないスケールをサーチし安定性を高めると同時に、バック除去の効果によって罠型対面の後手の出力を大幅に上げている。
とはいえ前述の通りメタル真竜は妨害を用意できないデッキになる。そこで活躍するのがマジェスペクターだ。従来のマジェスペクターは打点不足からライフを詰められず長期戦となりリソースが枯渇するリスクを抱えていた。しかしメタルフォーゼも真竜もリソースが無限であり、長期戦にめっぽう強いテーマとなる。そのうえ打点も高く、ライフを詰める速度も申し分がない。このデッキにとってマジェスペクターはワンキルを防ぎ3ターン目の行動を保証するためのギミックとして用いられる。
メタル、マジェ、真竜、いずれも共通効果がサーチ効果であり、他のどのデッキよりもアドバンテージをとる能力に優れている。盤面解決力も非常に高く、圧倒的なカード枚数を叩きつけることで勝利することができるだろう。
このデッキはミスリエルがフィールドと墓地を無限に往復しながらリソースを回復し、真竜凰の使徒もリソースを回復し続けるためリソース切れとも無縁だ。
このデッキの課題
とはいうもののこのデッキの弱点もいくつか存在する。
一つ目はマジェ、真竜、ブンボーグのすべてが召喚権を要求することだ。手札からのP召喚や真竜魔法による召喚権の追加など、解決手段はあるがどうしても召喚権かぶりが気になることも多い。
二つ目はマジェ、真竜、メタルのすべてが魔法罠ゾーンを圧迫することだ。Pスケールを貼ると3つしか用意されない魔法罠ゾーンに、メタルとマジェの魔法罠や真竜の永続を用意しなければならない。
3つめはモンスターの処理手段がマジェの罠と、戦闘による除去の2つしかないことだ。メタルや真竜の高打点と、魔法罠の効果による除去は、他のデッキと比較すると寧ろ解決手段に柔軟性のある部類になる。しかしそれでも打点3000前後のモンスターは戦闘で処理しにくく、またマジェの罠は後攻だと遅いという弱点を抱えている。そのためウートガルザやヴェンデットスレイヤー、メルフィーのような妨害持ちのモンスターを弱点としている。
これらのことからこのデッキの有利対面は次のようなデッキだ。
ラビュリンス、バージェストマ、剛鬼、ゴーティス等の罠型デッキ
マジェスペクター、fast magic、音響、メタルなどのペンデュラムデッキ
花札、破械など除外による除去が打ちにくいデッキ
逆に不利対面はこういったデッキになる。
ヴェンデット、ジェネレイド、メルフィーなどモンスターで妨害するデッキ。
ヴェンデット、ジェネレイドなど3000前後の高打点を用意しやすいデッキ。
ヴェンデット、ジェネレイド、インフェルノイドなど除外による除去手段を持っているデッキ。
採用の自由枠について
他に採用が検討できるカードについて解説したい。
マジェスペクターの魔法罠
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まずマジェスペクターの魔法罠は素引きの弱いカードになる。魔法罠を引くより魔法罠をサーチするカードをP召喚した方がはるかに強力だ。このデッキはスケールを割られるリスクがないため、1ターン目から積極的にP召喚することを目指す。さらにデッキが厚くマジェのモンスターの割合が落ちているため、魔法罠が浮いてしまうリスクもある。
そもそもマジェスペクターは最初の1ターン目を生き延びるためのギミックであり、複数ターンにわたって妨害し続けるためのカードではない。2,3ターン盤面を獲れていれば問題なくライフカットできているはずだ。そう考えるとマジェの魔法罠は極限まで採用数を減らすべきである。現在は3枚採用されているが、これ以上削ってもよいだろう。
オメガの裁き
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Pテーマ最強の妨害だが、スケールを維持できなくなるリスクも背負っている。このデッキは前述の通り、スケール及びスケールをサーチできるカードがデッキの84%をしめている。さらに破壊されたスケールが後続のスケールを用意できる。このデッキは自分のコンビネを破壊するカードが多く採用されているため、コンビネの効果でビスマギアやメルキャスターなどの色付きのメタルに安定してアクセスできる。そのためオメガの裁きを発動しても、スケールを維持できなくなることはない。さらに自分のカウンターを能動的に発動できるカードとしても運用できる。先攻ではもちろん、後攻でもフリチェ2除去は非常に強力だ。
ただ今回はこのカードが初動につながらないことを危惧し、採用を見送った。【メタルマジェ真竜】はあまりにも最強すぎるため、このような上振れ札がなくても初動さえ引ければ負けることはない。初動率は既に9割を超えており高い安定性を持つが、私はさらなる安定性を重視した。
ブンボーグ003
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このデッキで最も強力な初動。罠型対面でこのカードを引けばそれだけでだいたいもう勝ちである。手順に魔法罠を2枚割りつつ色付きメタルをサーチしながら、毎ターンバック除去を打てるようになる。罠型を使っている側からすると、そんなことされたらたまったものではない。
先攻でも万能サーチ+リンク数の追加+次のターンのバック除去として利用できる。あまりにも強すぎるカードだ。
マジェスティックP
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妨害受けの悪さやマジェスペクターカードとの2枚初動であり安定性を損なうという弱点があるが、ラクーンにアクセスし妨害を擁出来ることがあまりにも強力であるため最大数採用したい。手札が下ぶれてもこのカード1枚でマジェスペクタービートをすればそれだけで勝ちかねないほど強力なカードだ。
マジェスペクター・クロウ
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マジェスペクターモンスターであり、サーチに対応していることや素引きしたマジェの魔法罠を活用しやすいことが魅力なカードになる。魔法を即座にサーチできるため、ウートガルザや破壊耐性持ちのリヴェンデット・スレイヤーなどの妨害を即座に処理できる。しかしそのためにはマジェスペクターストームを採用せざるを得ない。また妨害として活用するにはマジェスペクターサイクロンも必要になる。クロウを採用するにあたって素引きの弱いカードを複数枚積むことが要求されるのだ。またラクーンやキャット、ペガサスからこのカードをサーチした場合は、既にスケールが貼られているため、スレイヤーやウートガルザの妨害と向き合わなければならなくなる。
無償で妨害を突破するには素引き前提となることが弱点だ。今回は罠型を重く見たことと、素引きの弱いカードを極限まで減らしたいことから採用を見送った。それでも60枚デッキであり、素引きのリスクを抑えられていることや、ヴェンデットやジェネレイドを重く見たい場合は十分に採用できるだろう。
上級真竜
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維持することができれば真竜ビートだけで勝ってしまうほどのパワーカード。メタルの共通効果からサーチしたコンビネをリリースしてA召喚すればメタルの展開をさらに伸ばすことができる。後攻であれば倍のアドバンテージ生むことができ、サーチした真竜魔法で相手の魔法罠も処理できる。妨害を受けた場合も、イグニスと妨害札の1対1交換のように見えて、イグニスのサーチした魔法とリリースコストのコンビネ、サーチ先の継承のドローで3アドを生むため1対4交換になり爆アドである。だせば勝つといってよいほどの最強カードだが、召喚権かぶりが多少気になる。
真竜の罠カード
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真竜の生贄、真竜魔法の効果で即座に割ることができ、盤面解決の手段として利用できる。遅くはなるが次のターンに表側のこのカードをメタルの効果で破壊してもよい。
今回はマジェスペクターでモンスターを処理できること、魔法罠ゾーンが圧迫されること、まくりとして使うには2枚以上の引き合わせが必要であり安定性を損なうことを危惧し、採用を見送った。
フーコーの魔砲石
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![](https://assets.st-note.com/img/1695892674668-mJlHc6CrpH.png)
召喚師のスキルから下スケールをサーチする選択肢を用意しながら、メルキャスター、ヴォルフレイムから除外手段を用意出来るギミック。素引きのフーコーがあまり強くないが、60枚であればそのリスクも小さいだろう。
今回は素引きの弱いカードを極限まで減らしたいこと、コンビネの効果で足りないスケールをサーチできるためスケールかぶりが気にならないことから採用を見送った。
終わりに
このデッキはあまりにも強力なデッキであり、今期の最強デッキだろう。
前述の通りメタルフォーゼは拡張性がとてもとても高いデッキだ。今回はメタルマジェ真竜という形でまとめたが、これからさらなる強力なギミックが発見されることが予想される。今期はメタルに最も向き合ったプレイヤーが勝つ環境になるだろう。読者の皆様も積極的にメタルを考えてみてほしい。
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