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海外NR限定大会:制限改訂解説

 NR限定戦競技勢として活動しているKnoxです。

 今回は本日発表された海外のNR限定大会NoRichesのレギュレーションに対する雑感を述べる予定だ。NoRichesって何ぞやって人は過去のNote記事を参照してほしい。
 それすら読みたくないよって人に大雑把に解説すると、メガリスやメタルが環境を独占するのは良くないよね、独自レギュでバランスをとろうねっていう海外の大会運営で、海外ではもちろん日本のNR限定大会でもスタンダードになりつつあるレギュレーションになる。参加人数はだいたい15~25人くらいを推移している。

著者略歴 NR限定大会 優勝×13、準優勝×3、四強×0

NoRichesの戦績、参加回数4回、優勝×3、5位×1
NoRichesのレギュレーションを使用した大会、マサ杯の戦績(大会規模:30~60人)、参加回数3回、優勝×1、準優勝×2

改訂に至る経緯

 1月27日にNoRichesのレギュレーションが3カ月ぶりに更新され、特に日本で評価の高かった花札が規制を受けた。大会を主催するBoss Stageサーバーは2月中に大会を開催しなかったため、3月6日の大会は初めての新リミットレギュレーションでの開催となった。Boss StageがNR限定大会から離れていた2月中に、日本では急速に環境の研究が進み、ヴェンデットが圧倒的なTier1デッキであることが判明していた。3月3日に開催されたマサ杯では、トップシェアのヴェンデットが2番目に多かったデッキの3倍以上のシェアとなった。この大会には海外から参加する方もみられ、ここで1,2フィニッシュしたパズロミノ型ヴェンデットは、海外に持ち込まれそこでも急速に認知されるようになる。
 3月6日に開催された第38回のNoRichesでは、花札亡き後の新環境一発目となるはずであったが、ふたを開けるとヴェンデットが暴走する結果になった。1位、2位、3位をヴェンデットが独占、圧倒的なパワーから大会運営中にも勝ち目がないことを悟ってdropする人が続出した。私も何回かNoRichesに参加させていただいているが、参加者の半数がリタイアするのを見たのは初めてである。くだんのヴェンデットというデッキは強力な先攻制圧が持ち味であり、後攻をとったデッキに勝ち目が生じないことが多い。そのため大会中もヴェンデットへの不満や、規制を求める声が多かった。
 そこでBoss Stageは大会終了後すぐに、新たなリミットレギュレーションを発表、適用した。それが今回扱う制限改定である。余談だがあまりにヴェンデットが強力であるため、早急に対処する必要があると以前から運営の方と相談していたが、その時は前のレギュレーションが適用されたばかりであり、改訂はできないと断られていた。しかし大会を開いてみるとヴェンデットの強力さが海外勢にじかに伝わり、今回のスピード規制という形になった。そのため1月27日発表のレギュレーションでの大会は1度しか開催されなかったことになる
 雑談はこの辺りにして、さっそくレギュレーションを見てみたい。

※追記
1月30日にNoRichesが開催されていたため、新制限一発目の大会ではありませんでした。2回目の大会です。失礼いたしました。
ちなみにその大会にはヴェンデットが存在せず、優勝は捕食植物でした。

改訂とその解説

これがそのレギュレーションだ。さっそく改定のあったカード一枚一枚を見てみよう

ヴェンデット

 今回の規制の目玉だ。このテーマには壊滅的なまでの規制がかけられており、以前のような運用は不可能になった。今後のヴェンデットは魔神儀を厚く積んだ構築になるのか、現在のパズロミノ型が維持されるのか、今後の研究が楽しみである。
 規制されたのはヴェンデット・コア、ヴェンデット・バース、アルグール・マゼラの3枚である。

 まず禁止カードになったコアは、フリチェで相手フィールドを除外できるスレイヤーに対象耐性をつけるために使用されていた。スレイヤーはマゼラやボーンの効果で破壊耐性が付与されるため、対象耐性と破壊耐性を持ち、自分のターンと相手のターンに合わせて2枚のカードを除外する強力な要塞と化していた。電脳堺甲ー甲々のように、対象の取らない除去を撃とうとしても、スレイヤーのフリチェ除外を越えられないため、突破が非常に困難であった
 そのため、ヴェンデットの先行展開はコアとレヴナントの対象耐性、ボーンの破壊耐性を付与したスレイヤーを立てることが目標とされていた。コアが禁止になったことにより、この先行盤面は形成不可能となったNR限定戦においても破壊を伴わない効果無効や除外はいくつも存在する。対象耐性がないのであれば、スレイヤーを要塞にして相手を詰ませることは難しいだろう。

 こちらの儀式魔法も禁止カードに指定された。このカードの規制はヴェンデットの中核を損なうものになる。それは単純に儀式魔法が減り初動率が下がることにとどまらない。チャージをサーチし、すきなヴェンデットにアクセスできるスカーへのアクセスが難しくなったことをも意味している。代わりに使用するボーンは手札消費の激しい儀式魔法になる。このカードの素材を踏み倒せる高レベルアンデッドモンスターのマゼラも規制されたため、儀式素材を調達することすら難しくなってしまった
 それだけではない。これが最も致命的なことであるが、ヴェンデットの儀式魔法がデッキに3枚までしか投入できなくなったのだ。したがってリバースの①の効果や魔神儀のブックストーンなどを使用しない限り、ヴェンデットはデュエル中に3回しか儀式召喚ができないテーマになった。既存のパズロミノ展開では1ターン目に2回儀式召喚を行う。しかしそうすると儀式魔法が急速に枯渇し、スレイヤーの墓地効果を発動できない状態が頻発するだろう。これによってヴェンデットの継戦能力やリソースも大幅に低下した。

 このカードは制限カードに指定された。このカード単発への規制は致命傷にならないはずであったが、他のカードの規制からマゼラの重要性が上がっている中で、制限カードに指定されたのが致命的である。このカードはボーンの儀式素材として最も強力なものになる。しかしこのカードの規制により、このカードを素材とした儀式召喚の再現性が大幅に低下した。またバースのないヴェンデットでは魔神儀やソニックバードなど、儀式魔法にアクセスできるカードを増やさなければならない。しかし召喚権を割くカードが増えたり、堕ち武者で儀式魔法にアクセスする状況が増えると、堕ち武者でマゼラにアクセスすることが難しくなる。以前よりもマゼラの素引きが求められる状態になったのにもかかわらず、採用できるマゼラの枚数が減ったため、致命的な規制になる

鉄獣戦線

 鉄獣戦線からは、キットが禁止カードから制限カードに緩和された。このカードは1枚でも十分に運用できるカードになるため、これもまた非常に大きな改訂となる。これによってキットを核としたテーマ、鉄獣メルフィーが環境に現れるだろう。メルフィーのギミックでこのカードを手札、デッキ、墓地、(ヒダルマ―を経由すれば除外)から回収し続けることができるこのデッキにとっては、キットが1枚でも強力なカードになる。純鉄獣やメルフィー以外の鉄獣にとっても、初動のフラクトールの墓地肥しの枚数が増え、リンク召喚や抗戦につなげやすくなった。
 海外では鉄獣への評価が非常に高いため、海外大会に出る場合はそれなりに遭遇することを想定すべきだろう。

マジェスペクター

 マジェスペクターからはトルネードが制限解除された。しかしトルネードは素引きしたいカードにならないため、2枚でも戦えるカードになる。少なくとも脳死で3投するカードではない。特にFast magic型のマジェスペクターはスーパーセルでリソースを回復できるため、緩和の影響はうすい。とはいえスーパーセルを採用しないマジェスペクターであればリソースが増え、大きな強化になる。
 いずれにせよマジェスペクターにとって素引きしたいのはラクーンとペガサスであり、それらの緩和がもっとも大きな強化につながるだろう。とはいえトルネードの緩和に関係なく、マジェスペクターはTier1デッキの候補であることは間違いない
 余談だが私はマジェスペクターをメガリスとメタル、ヴェンデット、花札に並ぶ、五本の指に入るテーマだと評価している。なんなら花札よりは強力なテーマだろう。NoRichesではラクーンやペガサスなど、初動を減らす改訂がとられているが、これではこれらのカードを素引きしたときのパワーが高すぎる。初動を減らすのではなく、むしろ着地点をなくす改訂は取れないのか。たとえばラクーンとペガサスを完全解除し、トルネードとテンペストを禁止カードにするわけにはいかないのだろうか。

メガリス

 こちらも禁止カードから制限カードへと緩和された。現状のメガリスは妨害札になるロードオブザレッドにアクセスするために、魔神儀のギミックを回す必要があり、魔神儀のカードが非常に厚く採用されている。同じフィールド魔法である魔神儀の隠れ房と、どう折り合いをつけるのか、今後の研究が楽しみである。

プランキッズ

 プランキッズとしては待望の、あまりにも待ち望んだ緩和となる。このデッキは1枚しか入っていないウェザーが除外されると、融合召喚が不可能になり、展開力と手数が激減するという弱点を抱えていた

 このリプレイをみれば、ウェザーの除外がどれほど致命的かわかるだろう。
 ウェザー緩和による強化はそれだけではない。融合初動のプランキッズは相手ターンに大暴走を発動するためには、ウェザーをEXデッキに戻す必要があった。そのためせっかく召喚したウェザーをリンク素材にし、プランクの効果で相手ターン大暴走を撃つ準備をしなければならなかった。さらに相手ターンに大暴走を撃った後も、次の自分のターンにウェザーを融合召喚するためには、墓地のウェザーをバウワウかドゥードゥルで回収する必要があった。ウェザーが2枚になれば、それらの準備をせず、自分のエンドフェイズにプランクでウェザーを回収するだけでギミックが回り続けることになる。
 とはいえこのデッキはデッキに12枚しか入っていない下級を2体以上引くか、プランク+下級+プランキッズカードの3枚初動を引かなければならない。当然だが下級の期待値は1.5枚であり、初動率の低さが致命的になる。ジェネレイド搭載型でも初動不足は顕著な問題だ。これまでのプランキッズは、再現性が低いが決まればまぁまぁ強いデッキであった。そしてこれからのプランキッズは、再現性が低いが決まればかなり強いデッキになるだろう。個人的には初動の細いデッキは使っていても使われていても楽しくないので、緩和の必要はなかったのではないか、と考えている。

真竜

 真竜からイグニスが緩和された。これによって真竜カードへの規制は準制限の黙示録のみとなった。真竜は生き物が2種類しかないという致命傷を抱えているテーマであったため、生き物の数が増えるのは大幅な強化になる。とはいえ、裂け目や溶撃、呪詛などの強力な永続が軒並み禁止カードに指定されているため(ヤッタゼ)、メタビ型の構築は難しい。そのため破壊をトリガーに展開でき、永続をどかすこととシナジーのある戦華との混合構築を目指すことになるだろう。戦華真竜は非常に強力なテーマになるため、環境に持ち込むことも可能である。ただ海外ではあまり評価されていない混合構築になるため、分布は少ないだろう。

2軸

 こちらは準制限に規制された。個人的には3投したいカードでなかったため、規制の影響は軽微に見える。キットが緩和されたため、メルフィー鉄獣の強化を怖れているのだろうか。
 それとも単純な私の勉強不足で、海外環境ではこのカードが猛威を振るっていたのだろうか。

オッドアイズ

 非常に強力なカードであるが、オッドアイズ・アブソリュートと、オッドアイズ・ディゾルバーが禁止カードにされているNoRichesでは、召喚するのが非常に難しいカードになる。私はオッドアイズを構築したことがないため、この緩和がどのような影響を与えるのか分からない。しかしNoRichesレギュで、これまでにこのカードを見たことはない。おそらく、EXデッキのモンスターに準制限と無制限の違いはないだろう。

Tier表

 急いで作ったものなので、まだまだ作りこみの浅い部分もある。特にTier3のデッキの順番などは、もう少し考える必要がある。とはいえ大まかなイメージとしては、だいたいこのようなものになると予想する。

 今朝は朝3時半に起きて、今回の改定のもとになったNoRichesに参加していたので、睡眠不足で意識がもうろうとしてきた(もちろん優勝した。当然だよなぁ)。眠気が我慢できないのと、明らかに頭が回っていないのでTier表への解説は割愛する。
 唐突なあいさつになるけど、ではまた!

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