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2020年松永涼振り返り~『信頼』と『さらなる飛躍の予感』~

もう2021年になって3月ですが、2020年の松永涼を2つの新曲新SSRをテーマに振り返ってみたいと思います。

『Driving My Way』と『Joker』から感じる信頼

2020年の松永涼は新たに『Driving My Way』と『Joker』という楽曲を歌いました。
言わずもがな楽曲は非常に素晴らしい仕上がりでしたが、それ以上にコンテンツを提供する運営側からの信頼を感じるものでした。

まずはDriving My Wayについて。
詳しくは上記の作編曲を担当された山本真央樹さんのnoteを読んでいた来たいのですが、要点は以下の2点です。

1.Driving My Wayはアイドルマスター初のフュージョン曲であること
2.歌唱担当は「黒埼ちとせ、木村夏樹、松永涼」と指定されていること

 アイドルマスターは2020年に15周年を迎えました。あらゆるコンテンツに共通しますが15年も続くというのは中々無いことです。
 その15年間という歴史の中で1000曲を超える非常に多くの楽曲が誕生しましたが、意外にも『フュージョン』というジャンルの曲はありませんでした。

 そんな中、シンデレラガールズの7thライブ終了後に、『アイドルマスターシンデレラガールズにフュージョンロックの楽曲を』という企画が立ち上がりました。今までにないジャンルの楽曲を作成するのはアイドルマスターにおける楽曲ジャンルの幅を広げるだけでなく、それによって新規層の開拓が期待できます。事実、松永涼で四六時中パブサ(パブリックサーチ)を仕掛けていると、『アイマスってフュージョンロックまであるのか!』と新規層と思われる方からのツイートがちょくちょく見られました。

 しかしながら、コレまでにないジャンルの楽曲ということは、制作陣としてもどんなアイドルが歌えばハマるのだろう、というようにある種未知数なわけです。そんな中歌唱メンバーの1人として抜擢を受けた松永涼には、制作陣からの『新ジャンルの楽曲を任せても大丈夫』という強い信頼があると感じました。事実、山本真央樹さんはnoteにもあるように『あ、"本気"やん』と思っていますし。

 これが仮に黒埼ちとせ、木村夏樹が先に起用が決まっていた場合でも、やはりそこには確かな信頼があるように思います。

 まず木村夏樹が先に決まっていた場合、当然ロックアイドルとしてのイメージがあり、かつ一定の歌唱力を持つ木村夏樹と組むのであれば、相応の歌唱力を持つアイドルでなければ埋もれてしまうでしょう。フュージョンロックのイメージを崩さず、かつ木村夏樹と並んでも負けることがないという信頼の現れです。
 ちなみに木村夏樹とよく組むアイドルでロックというイメージになると、ロック・ザ・ビートで組んでいる多田李衣菜が浮かびますが、しかしここで2人を組んでしまうとどうしてもロック・ザ・ビートの曲というイメージが先行してしまうように思いますし、後述する黒埼ちとせでも同様のことが言えますが、もうひとりを選ぶのがかなり難しくなります。

 次に黒埼ちとせが先に決まっていた場合。黒埼ちとせは2019年に実装された新人アイドルで、登場時からある程度キャラクターが確立された状態でしたが、多くの人が共通して持つような彼女の歌のイメージはありません。というのも歌っている楽曲が少なく、また得意ジャンルが明言されているわけではないからです。
 しかしそれは裏を返せば何物にも成れるという可能性を秘めているわけです。今まで歌ったことのないジャンルの歌を担当したらドハマリする可能性があるわけです。意外にもヒップホップが上手いとか。
 ただ真面目に考えると、15年で初めてのジャンルの楽曲を新人アイドルに任せるのはちょっとした冒険のように思います。新規層の開拓を見込んだはいいものの、曲と歌手がハマらずどちらも散々な評価になる可能性もあるわけです。さらに黒埼ちとせが歌うとなると、残り2人は誰を選びましょうか。同時期にデビューし、デビュー曲となる『Fascinate』を歌った白雪千夜も候補として考えられますが、ロック・ザ・ビート同様に二人の楽曲というイメージが強くなり、もうひとりを決めるのが困難になります。かと言って他の同時期にデビューしたアイドルでは尚の事困難です。久川姉妹と歌うことになった場合黒埼ちとせのほうが浮く可能性もあります。
 しかし両サイドを木村夏樹・松永涼の両名で支えていたらどうでしょう。仮に黒埼ちとせが崩れても立て直すことは余裕でしょうし、何より彼女がフュージョンロックというジャンルにピッタリ合致して最高のパフォーマンスを見せた場合、負けじと食らいついてきてくれるのではないでしょうか。

 以上のことから、私はDriving My Wayを歌うメンバーに松永涼が選ばれたことから、運営並びに制作陣からの強い信頼を感じました。


次に『Joker』です。
こちらの楽曲は2020年7月31日~2020年8月7日の期間に開催された『LIVE Parade』のイベント楽曲です。
この楽曲の要点は以下の2つです。

1.松永涼初のセンター楽曲
2.イベント告知及びティザーMVが公開されたタイミング

 1について。特別詳しく語る必要はないでしょう。松永涼は2011年のモバマス開始当初から実装されているアイドルで、2015年にアニメで最後のサプライズボイス枠として登場し、2016年にデレステに実装されました。以降ソロ曲を含めて様々な楽曲を担当していましたが、楽曲のセンターを務めるのはこの楽曲が初です。文字通り楽曲における肝となる部分を任せられるというのは、信頼の証。またそれまで歌ってきた実力、実績が評価されてのことでしょう。これはDriving My Wayにも共通しますが。
 また本イベントコミュ及び楽曲のテーマとして『マニッシュ』が挙げられました。マニッシュとは女性が男性的な装いをするファッション用語。あえて女性が男性らしい装いをすることでアンバランスな美しさが生まれ、女性らしさがより強調されるのが狙いだそうです。
 コミュではマニッシュをテーマにすると考えた時、センターとして白羽の矢が立ったのが松永涼。他のメンバーも松永涼であれば間違いないと全幅の信頼を寄せ、ファッションでもステージでもユニットを引っ張るセンターとしての役割を見事果たしてくれました。過去に『イカした帽子屋』や『キミのそばでずっと』にて男性的な装いないし男役を努めていますが、その時の反応の良さ(主に女性スタッフ)からの抜擢もあったと思います。

 2について。この楽曲はなんと2020年7月26日に配信された「アイドルマスター15周年生配信~15th Anniversary P@rty!!!!!~」にて、イベントの告知とティザーMVが公開されました。その時の視聴者数は10万人。タイミング的には偶然かもしれませんが、アイドルマスターの他ブランドのプロデューサーも注目する大きな生配信で公開されたのは、これを見た他ブランドのPがデレステに興味を持ってくれるのではないかという期待を背負ってのことだと思います。

 これは小ネタではありますが、デレステのMVで初めてバックダンサーという機能が追加され、歌唱を担当していないアイドルがMVに登場するという新しい機能が追加されました。当然新機能がMVに実装されたとあれば、色んなPが好きなアイドルが配置して、スクショや動画を撮影してSNSや動画サイトに投稿し、色んな人の目に付く機会が増えることが期待されます。
 またイベントのコミュにおいて、今までボイスが実装されているアイドルのみが登場していましたが、本イベントで初めてボイスが実装されていないアイドルも登場しました。これに関してはもっと早くからやれという気持ちもなくはないですが。

 シンプルに2020年に発表された楽曲の中でも評価が高く、CDでは各アイドルのソロが収録されていましたが、高いハードルを悠々と超える、素晴らしい歌唱力を披露しました。(というか割と異次元な歌い方してる)

 ちなみに松永涼の声優を務める千菅春香さんはこの2曲を「最近の涼ちゃんの難しい歌シリーズ」と挙げていました。実際レコーディングの際も相当苦労されていたようです。
 しかし千菅さんは元々マクロス30周年記念作品のテーマ曲を歌う歌手のオーディションからデビューした方。声ではなく歌で声優としての門戸を開いたお方です。普段のふわふわとしたふるまいから想像できないほどの高いクォリティで仕上げてくださいました。松永涼並びに千菅春香さんへの高い期待と厚い信頼に見事応えてくださった千菅さんへは常々申し上げていますが、足を向けて寝られません。これからもよろしくお願いいたします。


新SSR『麗しのミューズ』について

[麗しのミューズ]松永涼

 2020年12月20日のガチャ更新にて、松永涼の新SSRである
[麗しのミューズ]松永涼
が実装されました。

 この麗しのミューズについてはどれだけ時間があっても語り尽くせないほどの思いがありますが、可能な限り短くまとめたいと思います。

1.ミューズという一つの到達点

 ミューズというのはwikipediaによると以下の意味だそうです。

ギリシア神話の女神の意味が転じて、特に美貌や行いに秀でて芸術家やその他の人(ファッションデザイナー[1]、写真家[2]等)に影響を与えたモデルや女優。

 つまり、多大な影響を与えるほどの美貌を持つ人物という評価です。
 松永涼のビジュアルについての意識はモバマスとデレステの世界線において微妙に異なるのですが、今回はデレステ時空で考えます。

 2017年4月19日から開催されたイベント『Nocturne』にて、松永涼のビジュアルに対する意識を見ることが出来ます。詳しくはコミュを見て欲しいのですが、簡潔に言うと松永涼はどうしたらイイ写真を撮ってもらえるのかが分からないと悩んでいました。Nocturneコミュに出演した他のアイドルは4名。誰よりも人に見られる職業である元アナウンサーの川島瑞樹その道のプロであるモデル業をしていた高垣楓2人に負けず劣らず何らかのモデル・被写体の仕事を多くこなしているであろう速水奏・新田美波。その4人と自分の写真を見比べて、酷く見劣りするように感じていました。しかしこの4名と比べるのは些か酷です。特にNocturneという楽曲のオリジナルメンバーである川島瑞樹・高垣楓両名は芸歴も長く、見られるという職業に長く携わっていました。1人遅れを取ることに思うものがあっても、それは仕方がないことです。
 このように松永涼はアイドルとして、ビジュアル面に対してか、あるいは撮影の被写体となることに対してか、苦手意識を持っているようでした。これまで松永涼を追ってきた私としても、ここまで弱気になっている松永涼を見るのは初めてだったので強く印象に残っています。

 その後松永涼はビジュアル面について強く意識するようになっています。前述の『Joker』でもマニッシュというコンセプト、格好良さを期待されてセンターへの抜擢を受けていながら、過去の自分を振り返って「ちっともスマートじゃない、格好良くない」とまで言い切っています。期待されてのセンターの役割を与えられましたが、皆を引っ張るだけの事ができるかわからず、自信満々に見えますが内側では不安でいっぱいのようでした。しかしセンターとして全員を引っ張ること、自分の中での「格好良さ」を見つけ、自覚することで見事センターの重責を果たしてくれました。

[麗しのミューズ]松永涼+

 そして『麗しのミューズ』です。松永涼はある化粧品のモデルとして抜擢を受けました。ミューズとして選ばれた松永涼は、水色のドレスに身を包み、美しい背景をバックにしても引けを取らないモデルとしての姿を披露。それでいて芯の強さ、力強さ、格好良さを感じる自身に満ち溢れた表情。
 ミューズの名に恥じない、立派な姿を見せてくれました。

見た瞬間記憶に残る、決して忘れられないアタシを撮ってくれよな。

 本人の言葉にあるように、目に焼き付いて離れない美しさです。

 極めつけは特典として配布されたポスターの説明

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 松永涼のミューズとしての影響力は凄まじく、モデルを努めた化粧品の需要を高めるだけでなく、男性へも影響を与え、皆の憧れの的になったことです。
 男性で日頃化粧をする人というのは非常に稀です。テレビタレントの方が映りを良くするためにするというのは聞いたことがありますが、一般的な社会人の男性は化粧をしません。基本的に需要が望めないものですが、松永涼は男性層という新規開拓を成し遂げました。恐らくこれはモデルを依頼した化粧品会社の担当の方も予想外だったのではないでしょうか。それほどまでに美しく、影響力のある姿だったのでしょう。
 さらに今回、松永涼は歌っている描写がありません。歌で人々を魅了し、ファンを獲得するのが今までの松永涼でしたが、今回はビジュアルのみ。かつて被写体としての仕事に苦手意識を持っていた彼女がそこまで大成長を遂げたのは、とても嬉しかったです。
 

2.明かされたお嬢様時代の姿と予感

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 前述のミューズとしての活躍を遥かに凌駕する衝撃的な情報がこれです。
 SSR実装と同時に公開された松永涼のシンデレラガールズ劇場わいど☆第336話にて、松永涼のお嬢様時代の姿が登場します。
 松永涼は2つの過去を持つアイドルで『元バンドのボーカル』と『元お嬢様』という2つの側面を持っています。バンドをやっていたこと、バンド時代の話は最初期から語られており、他のアイドルやスタッフへも気軽に話しています。本人のとって気軽に話せるネタの一つです。
 反対にお嬢様時代の話については頑なに語っておらず、現状松永涼が元お嬢様であることを知っているのは炎陣コミュにて語られた木村夏樹とアンデッド・ダンスロックの特訓エピソードで本人から告げられた担当プロデューサー2人だけです。SSRが公開されるまで、元お嬢様である以上の情報は一切登場せず、長年松永涼を応援している人々は固く口を閉ざす理由について様々な考察をしていました。↓は以前私が考察したものです。

 そうして明かされた松永涼のお嬢様時代というものは、決して明るいものではありませんでした。2016年にデレステに実装されたときに新しく公開された情報である『クラシックやジャズなどにも造詣が深いらしい。』という設定であり一種の伏線は、2020年に公開された『教養としての音楽』という形で回収されました。本人にとって、それはそれは苦痛なもので、家を捨てて自由に行きたいという決断をさせるほどに彼女を追い詰めていたのです。

学生時代からの行きつけだよ。何年通っても飽きないんだ、この店

 そんな彼女が、当時逃げるように入り浸っていた『ジャズ喫茶』をプロデューサーと訪れます。こちらでもジャズに造詣が深いという伏線が回収されていますね。
 ここで特筆すべき点は一つ、お嬢様であった「私」に会いに来たということです。そしてこれが私が感じた『さらなる飛躍の予感』です。

 松永涼は過去、アイドルとして大きな転機を迎え、アイドルとして成長しました。前述の『Joker』ではありません。それよりずっと昔の『ロッキンヴォーカリスト』の時です。この時松永涼に何があったかというと、バンド時代に活動していたライブハウスでのライブを行いました。そしてただライブを行っただけではなく、バンド時代の自分と向き合うことでアイドルとして成長しました。詳しくはこちら
 それまでアタシの歌を聴けとちょっと独りよがりな面を見せていましたが、これを機に考えが一歩進みました。

孤独な奴らに歌を届けたいんだ
つまらない思いしてる奴を救えなきゃ、アイドルじゃないだろ?

 辛い思いをしている人、寂しい思いをしている人、そんな人達を歌で救いたいと決意し、松永涼は歌いました。

 その後、『熱気の中で』にて聴く側に立ち、音楽が大好きであることを再確認し、これまでロック一筋だった彼女はバラードに挑戦したことに象徴されるように、アイドルの活動を通じて様々なことに挑戦するようになります。グラビアの仕事、トークライブでのパフォーマンス、バラエティ番組、遊園地のリポート、ロック・ミュージカル、そしてモデル……。またその仕事をこなす過程で様々なアイドルに出会い、時には教えを乞い、時にはサポートに周り、アイドルとしても人としても成長してきました。

 そんな彼女が今回、半ば封印するかのように固く閉ざしていた、封印していたと言っても過言ではない、お嬢様時代の「私」と向き合いました
モバマスのテキストにあるように、自分自身と向き合ったアイドルは成長し、新たな輝きを見せてくれます。ミューズとしての姿は、そんな成長した姿の一つでしょう。

 アイドルとしての活動は決まった枠があるものではなく、彼女自身もアイドルでありながら型にはまらないことを何よりの信条としています。
 これからの松永涼は新しいジャンルの歌に挑戦し、圧倒的な歌唱力を見せつけるか、これまで見せたことのないポップな可愛らしいアイドルの姿を見せるか、可能性は無限大です。そんな松永涼を今後も応援していきます。

 さて、2021年は既に3月になりましたが、最後に[麗しのミューズ]松永涼のセリフを引用し、本記事を締めたいと思います。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

アイドルの仕事っていろいろあって楽しいよ。次は、何がくるかな