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還暦。なんにもしない湯治旅

手仕事をはじめて丸5年。
わたしもとうとう還暦になってしまいました。気分は変わらず若いままですが、やはり身体は正直。疲れのせいか、この頃はめまいや耳鳴りといった自律神経の不調に悩まされています。

というわけで、春の出店を終えた後に思い立って島根県の温泉津(ゆのつ)に湯治に来ました。2泊3日のプチ湯治。
家族と離れて家事放棄、何にもしない、温泉に入って寝るだけ。読み物は持参したけど、ほとんど窓からの景色をぼんやり見てるだけ。回復には、自分に刺激を与えないことが大事なんじゃないかと思っています。

その昔、温泉津(ゆのつ)は大森銀山の積出し港として栄えた天領でした。しかし時は流れて、現在はポツンとひなびた温泉街。本当に何にもない。20軒ほどの宿と数軒の飲食店と、すごく効く温泉!でもそれで十分なんです。

わたしが滞在しているゲストハウスは、築140年の古民家。地元のお寺が運営しているそうで、今回過ごす部屋は四畳の板間(一泊素泊まり4000円)。布団とちゃぶ台、安楽椅子だけのミニマム空間です。すぐ目の前には古いお寺が見えます。
早朝夜明け前、激しいリズム音に目を覚ました。いったい何?窓の外を見ると、薄暗い中、お堂の明かりが見えました。つまり、お坊さまが朝のお勤めで木魚を叩いていたのですね。
そこで、改めて気付きました。
この時間、日本中の幾つあるか知れない沢山のお寺で祈りが行われているんだと。この祈りのおかげで、わたしたちは無事に過ごすことができているんじゃないかしら。祈りの国ニッポン。

身体を休め、新しい発見もあった2022ひとり湯治の旅でした。

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