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Cafe Atlantique

Bonjour! 成田からアブダビ経由で23時間、アフリカ大陸に見事上陸。カサブランカから列車を乗り継ぎ、首都ラバトの旧市街の路地に見つけた茶屋Cafe do Atlantique(大西洋喫茶?)で一息ついたところです。テーブルには砂糖のたっぷり溶けたミントティーが置かれ、スーク(市場)は朝のラッシュを終えたのか、しんとした静けさに包まれています。駅からの道すがら片手に小さな絨毯を持った男性たちを多くみたので、お昼のこの時間はモスクで祈りの時間なのかもしれないですね。強烈な太陽の光が地面を真っ白に光らせて、白昼夢を見ているよう。目の前の情景に意識が追いつかず、やや現実味が薄れています。

身を引き締める思いでノートを開き、取材の準備に取り掛かります。ここラバトではKhadija El Abyad(発音は本人に聞きましょう)という現代美術家に会う約束をしています。モロッコの南海岸線に位置する美しい街アガディール出身で、テトゥアンにある国立美大を卒業している28歳。彼女の作品を初めて見たのは、ラバトにある、Le Cubeというインディペントなアートスペースのウェブサイトでした。そこのレジデンスプログラム中に制作された、ストッキングを使った作品にまず興味を持ったのがきっかけです。Vimeoで公開されているセルフ・パフォーマンス作品や、ドローイングも美しい。どこか過激で強いメッセージをはらむ彼女のこれまでの作品を見ていくうちに、Abyadは“身体”を主題にしており、とりわけ“顔”という精神によって抑制された特質を持つ身体的部位への強い興味を抱いていることがわかります。そこには、イスラム社会においての女性のあり方、フェミニストとしての彼女の立ち位置などもうかがえなくもありません。

今月中旬はパリ、そのあとは南モロッコ、そしてマルセイユと各地のレジデンスでの滞在制作が詰まってる彼女に、今ここで会えるのはちょっとした奇跡。この機会に何を話そう。明日は1日オフなので、彼女が暮らし創造と向き合うラバトの街を歩き、あれこれと思いを馳せようと思います。

急激な眠気に襲われたので、入り組んだスークの路地の一角にある宿に戻りました。ラバトでの宿泊は安価ながら、なかなか素敵なリヤドです。今日はちょっと早いですがベッドに入ります。

Bonne nuit!

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