被災者もメディアの前では被災者を演じてしまう

20数年前、筆者も阪神大震災で被災した経験を持つ。震災から3日目の頃、自衛隊の定期的な炊き出しがおこなわれる前、おにぎりだけが唯一の食事であった。しかし、おにぎりばかり、三食もおにぎりだけを食べていると、喉を通るものではなくなってくる。味噌汁も漬物もないまま、おにぎりばかり、毎日食べられたものではない。テレビ取材のインタビューで何が一番食べたいですか? と避難所で聞かれ、正直に「焼き肉、寿司、天ぷら」と答えたが、採用されなかった…。謙虚なおばあちゃんの涙ながらの「おにぎりがあれば十分です」のひとことで、翌日も翌々日も大量のおにぎりが届けられる…。もう、おにぎりは完全に喉を通らず、避難所で廃棄されることとなった。当然そんな都合の悪いことは報道されない。

被災地での問題は、美談ばかりを報道することだ。もちろん、熊本でも空き巣被害が報道されていたが、神戸では非常時のパニック状態も手伝って、開店していた店に食料を求めて略奪行為があったのを何度も目撃した。普通の市民がコンビニの食べ物を強奪しているのだ。集団パニック状態だ。しかし、そんなことは一切報道されない。避難所のトイレに関しても、コンビニ袋2枚を持って用を足せば、水の流れない避難所でも汚れることがないが、我先にトイレで用を足した避難所では目も当てられない光景となっている。しかし、メディアはそんな避難所での一番困っていることを報道しない。いや、できないのだ。そう、報道のお客さまは、避難所以外の人々だからだ。

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