【3Dニット】

こんにちは。
アパレル界のニット姫こと
工業ニットスペシャリスト@インプルーヴです。

noteを始めるにあたり思いついたのが
うんと昔に書いていたけど
当時ブログのお引越しに引き継げず
「放置」となっていた過去ログ。。。
いつか見直し整理したいなーと思ってたんですよね。

今日はそんな2014年にFC2(なつかしー^^;)に
書いていた記事を見つけたのでリライト。。。

ーーーー 2015・1・10 ーーーーーー

(2014年の)先日の業界新聞の記事、
「3Dプリンターがファッションを変える」
という大見出しに目が留まり、
事例で載っていた企業名でググってみた…
衝撃が走りました!

そこには編機をキットで自前で組立て、
専用の3Dソフトに寸法データ入力すると
編機から3Dセーターが編み下がってくる…
いわゆる無縫製=ホールガーメント=という事になります。

米国のHPだったので詳細は読めませんでしたが、
新聞記事によるとこの3D用編機のキットが
8万円前後で購入でき、
それに入力する3Dデータソフトは無料で
ウェブ上から借りてくるのだという。。
何というリーズナブルプライス?!

画像1

↑ご覧頂ければわかる様にその編機は勿論チープなつくりで
針も太くざっくりしたイメージ。
昭和育ちの私には、
「むかし子供用にこんなおもちゃがあったなー」と
思い出しますが、
それと決定的に違うのは
出来上がりが3Dーつまり【無縫製】だということ。
(今見直すと…ほんまかな?!)

画像3

そして、パンチカードのような煩雑なものではなく
身幅や着丈など必要なデータを数値入力するだけという簡単さ!
実際はそんな簡単じゃないと思いますが、
手作り・カスタマイズ・オーダーメイドがほぼ皆無な
ニット編成機械による製品製造に、
この簡単さが与えるインパクトはとても大きいかも。。。

今(2015年)のアパレル市場には、
それはもう溢れるほどに似たような商品が量産販売され、
その商品価値は地に落ちています。
原料も土に還らない化学製品が多用され、
もやはアパレルは「自然破壊だ」と
いう意見も出てきている中、
みんなが「流行だ!トレンドだー」と熱中するだけじゃなく
「自分の為のたった一枚を大切に愛用したい」という
流れが起きるのも自然だと感じています。
そんな中で
「自社にできる事、エンドユーザーに応える価値はなんだろう-」
と自問する自分はこの動画にスゴイ衝撃を感じました。。。

又、検索中に、まるでレース編みの様なモチーフの
3Dドレスの製作過程を公開する動画も見つけ…
これまたびっくり!
動画(今は↓写真ですみません^^;)を見ると
まるで近未来映画を見る様な衣服の製造工程です。

画像2

以前、「医とデザイン研究会」という会合で
心臓などの臓器を樹脂のような素材で3Dで作ったという
実物を見た事があり、
ただ単純に「すごいなー」と思ったものですが、
これにおいては、布もミシンも糸も編機も不要。。。
製造者は白衣姿(まるで科学実験!)
それがもう既に現実に有るのです。バーチャルじゃなくて。

勿論これも量産のレベルではないですが、
こうなるともはや【量産は必要なのか?!】とすら
思えてきます…
(※ 繰り返しますが、2014年の投稿記事です)

ーただ、こうなればなるほどに、
今や価値が軽んじられているデザイナーやパタンナーのソフト力や
脳内の立体形成力がとても重要になってくると思われます。
特に今の”画面でパターンを引く”だけの技術者ではなく、
大元のトワル組みなど3D組立技術とその脳を持つプロにこそ、
需要の光が差す日が来る・・・・かもしれません^^
~なんて、最後はやっぱりポジティブに締めておきましょうw

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ーと、5年前の私は言ってました^^;
じゃあ、5年後の現在はどうなっているか。。。

2019年が暮れようとしている現在、
未だこのような手軽な無縫製編機は普及していませんが
普及していない理由は違う所にある気がします。

ちょっと話は違いますが、
現在は経営に”デザインの力”が必要と謳われています。

20世紀の「大量生産大量消費モデル」の限界が
世界中で経済成長の足枷となり、
個が個と繋がって「必要・欲しい」と思う物だけを
対価交換する時代になっています。

現在当社を必要としてくれるクライアントさんも、
当時80%だったアパレルメーカー様は「0社」です。
でも何とか事業は成立させてもらっています。
つまり当社を必要としてくれるマーケットが
全く変わっているということです。

第4次産業革命の真っただ中にいる私たち、
当に「ダーウィンの進化論」の如く
外部環境の変化に対応できたものだけが生き残れる
のかもしれません。
でも、それに気付いたものは、
次代に残したいものをブラッシュアップしながら
引き継ぐこともまた使命のように思います。
昨日よりも良い社会にするために。。。

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