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モッズってなんなのさ?

「…だからオレはモッズなのさ。でなきゃ死んだ方がマシだよ。」

これは映画『さらば青春の光』のジミーの台詞。広告代理店のメールボーイとして冴えない毎日を送る彼は、細いスーツを着てイタリア製のスクーターに乗ってる。

そんな彼の楽しみは…

夜になればスクーターでいつもの奴らに会いに行き、ドラッグで勢いつけてダンスフロアでカッコよく踊ること!
オレたちが生きる令和じゃ理解し難いかもしれないけど、60年代はそういう生き方があったんだね。

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でも、オレだってモッズだよ。もう『さらば青春の光』を見てから6年も経っちゃった。6年だぜ?デヴィッド・ボウイですら5年を嘆いてたっていうのに…。
6年経っても、今でも、モッズだよ。まだ大丈夫。

去年の冬、オレはお世話になってる方から記事を書いてみないかって誘われて、モッズのことを自分なりに書いてみた。けど、当然書き切れてないわけよ。でも、現在進行形で高校生という子達にも少しは届いたのはすごく嬉しかった。モッズになりたい!でも何をすればいい?そんな疑問を持ってる子達に、グローリーボーイズ(ガールズもだね。時代よ…)に向けて書いていくから、読んでほしいな。

概要など

まず、50年代後半にイギリスでイタリアンルックのスーツに身を包んだ人々が、モダンジャズに身を任せて踊ってたんだな。
当時の若者は、今の我々みたいにティーンエイジャーとして過ごす、という事がまだ確立されてなかった、というから驚き。だからこれが“アブソリュート・ビギナーズ”。日本では『ビギナーズ』の題で知られる映画です。
モダーンズと呼ばれた彼らはその後モッズで通るようになる。

でもこれは、あくまで中産階級の嗜み。それを真似た労働者階級たちが現れ、夜な夜なフロアで踊るためにドラッグで力を入れてたと(だから翌朝はボロッボロ。ジミーがそうだったように)。で、「オレたちはモッズだ!」「オレたちの時代だ!」なんてイキってたために、若者の勢い、みたいなのが強まっていく。

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そしてロッカーズとのドンパチが過剰に騒がれ、暴動に発展。そんな中、ザ・フゥーは若者の気持ちを代弁するしで、収束がつかなくなる。

60年代も後半になればサイケになったり、みんな大好きスキンズが現れたり(←元モッズの人だったりする)、モッズはだいぶ落ち着いてしまう。それでも残ってたらしいけどね。

ところが、70年代後半になると、令和の現代まで跡を引くモッド・リヴァイバルが発生!
ザ・ジャム、シークレット・アフェアー等のネオモッズのせいです。

日本のモダニスト

日本でも『さらば青春の光』が公開され、ここで“四重人格”のアルバムのビジュアルが明確になると、国内にもモッズが現れる。スカ、2トーンのスペシャルズに続き、ジャムも来日。ムカデダンスで知られるマッドネスもホンダのCMに出演で、日本のサタデーズキッズにも大きな影響を残す…と。

イギリスのモッズメーデーに影響を受け、日本でも1981年に初のメーデーが開催される。スクーターで駆けつけ、フロアで踊るモダニスト。ステージで演奏するビートグループ。そうやって徐々に規模が広がっていくと。当時の若者をアツくさせたんだろうね、羨ましい。

ではここで、ジャムの曲名から取られたバンド The Standardsの永遠の名曲を。現在も不定期ながら活動中!

The Standards / Teenage Gangs
https://youtu.be/DABdv-7m0Dc


そして当時のモッズの人たちは、形は違えど今も活動中。モッズカルチャーは本国でも日本でも、何十年も続いてる。老若男女で楽しくやれる文化なのです、笑

もちろん「オレたちの世代が1番!」なんて思ってる人沢山いるでしょう。知らんけど、オレと君達の世代が1番です。

様々な音楽を通して、当初のスーツ一択!みたいなルールもかなりマイルドになったんだと思う。オレからしたら甘ったる過ぎるけどな。

先日友達と会った時に「飯食べるのにその格好なの?」って言われたんだけどね。スーツにパーカーだったの。「モッズだからね」って答えたよ。同じこと、別の人にも何度か言ってる…。

じゃあ、どんなスタイルがいいのか。

教科書みたいなこと書くからノートを取るように!

そいつらは、25歳くらいまででさ

ここまで長かったね、まったく。ここからがメインなのにさ。

まずみんなが気になってるであろうスーツ。基本は3つボタン。ダブルも、ビートルズに憧れて4つボタンも勿論あり。くるみボタンもワンステップ上がった感あるね。
後ろはサイドベンツ。真ん中に切れ目があるのがセンターベント。基本、となるとサイドベンツなのさ。長さはロジャー・ダルトリーも歌ってた通り、5インチで。

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袖のボタンは1個から始まってバカな人(褒めてる)は8個とかつける時もある。ビートルズとかウェラーさんは3つか4つってとこかな。
生地は、元はモヘアだったと聞くけど、カッコいいのを選べばいい気がする。トラウザーズを黒とかグレーにして、ジャケットは青とかにしてももちろんよし。ストライプ、チェック等々、柄も様々。
後ろ襟をヴェルベットにしちゃうのも良いね。

足元、これが厄介。60年代のトラウザーズは靴を軽く覆うくらいの丈になってる。最近のジーンズとか、だいたい余って下がダボッとするでしょ。モッズは余らせたくないね。ネオモッズのスタイルとなると、靴下が2センチは覗くのがイカすし、オレはスーツもデニムもいつもそうしてる。裾幅は17センチ前後が適度。でもビートルブーツ用のは少し丈長め、裾幅も19センチにしたけどね。

スーツといえば洋服の並木!
https://namiki-4129.com

シャツは、最も手っ取り早いのはボタンダウン。ザ・フー、ザ・ジャム、ビートルズはみんな着てる。初めてオレが買ったのはユニクロのスリムフィットでした笑 いいんだよそれで。柄はチェック、ストライプ、ドットなど。ちょっとこだわりが出てきたら、カフスを選んでみるといいね。

オーダーシャツは東京堂など
https://tokyodo-shirt.co.jp

ネクタイ、これをすると一気に気が引き締まる。
ニットタイはオシャレだけど、細いのを探そう。4センチ前後があったら飛びつけ!

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普通のタイでもとにかく細めを、あとはストライプが英国式とアメリカ式で真逆になるので注意。

靴、これは重要。
1番の王道は、おそらくデザートブーツ。クラークスのとか。あとはタッセル付きのローファー。スマートなスタイルだね。あとはモカシンなど。
ネオモッズ的には、ジャムシューズ、ボウリングシューズで調べたらニヤニヤが止まらなくなるよ。

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デザートブーツはClarks
https://www.clarks.co.jp/shop/category/mens_boots

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合わせる靴下は、真っ黒か真っ白。赤とかもいいけど、スーツとシャツの色と相談しないとダサくなるから注意。イカしたやつがあれば、ストライプ、ボーダー系もいいね。

そんでもって、もちろん上に羽織るものが必要になるわけだが…
M 51フィールドパーカー、僕らが恐竜になるにはこれしかない。モッズパーカー!
モッズコート?バカこくなっての。
これはレプリカが20000円もあれば手に入る。安いモッズコートなんか絶対買うなよ!

上級者にはステンカラーとかもおすすめですね。この場合は細い方が良い。

カジュアルスタイルだって忘れないで!
ポロシャツ、ポップなTシャツ(GUとかのことじゃないです)など。フレッドペリーのポロシャツにセーターを合わせるのは最高。

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ブリティッシュ・ユース・カルチャーと共にあれFred Perry
https://www.fredperry.jp

ズボンはデニムでもチノパンでも。濃紺、白、黒…って具合にね。この場合は足元はさっきも言ったデザートブーツ、タッセルローファーなどなど。アディダスとコンバースは、履きたいのはわかるけど違うんだ…。USケッズはモチのロンでオーケイ。

手元のオシャレは、IDブレスレットなんか良いですよ。ポールとリンゴ、ムーニー、JB、もちろんウェラーと、みんな付けてるんだからね。

帽子。                   マリーンキャップ、リバプールハットなんて呼び名のものがあって、これも当時の多くの写真からどんなものかは想像がつくと思う。キャスケットって名称で売られてるのは惜しいやつがあるから、とにかくよく選んで笑

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あとはつばのめちゃくちゃ細い帽子。『さらば〜』ではデイヴが被ってたような。アレも手に入るんだな、これが。80年代のモッズはつばをハサミで切ってたなんて聞いたこともある。驚きだね。

その他各種取り揃えてる素敵で有り難いブランドは以下の通り。

Original John
https://john.ocnk.net/phone/

fab chic
https://twitter.com/fabchic_oosu?s=21

DoiN' THe MoD
http://dointhemod.com

マシーンでぶっ飛ばせ!

『さらば青春の光』の冒頭で“リアル・ミー”が流れる中、ニヤッと笑っていたジミー。スタイル・カウンシルの“ソリッド・ボンド・イン・ユア・ハート”のPVで、ウェラーさんが乗って(相方の車にぶつけ)たスクーター。これこそがランブレッタ。

一方、『さらば〜』で妙な踊りでフロアを沸かしていたエースことスティングが、『下弦の月』っていう邦画で成宮寛貴氏が演じた、まさかのモッズが乗っていたのがベスパ。

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モッズの足として半世紀以上そのエンジン音を轟かせてきた2種類の鉄スクーター。日本にもモッズのスクーターチームが多数現存。煌びやかにミラーやランプをカスタムしたスクーターで、彼らはパーティに駆けつけDJなんかしたり、踊ったりしてる。昔は彼らもオレと同じくらい若かったんだろう。たぶん。

だから僕らは

ここまで、モッズカルチャーについて、日本でのことも含めてなんとなく記してきた。それらを踏まえ、モッズに憧れる君たちはもちろん、オレはこれからどこへ向かうんだろうって。

もちろん人それぞれ。ロックンロールを好きな子がモッズに興味を持って、パーカーが欲しくなるなんて、素敵過ぎるよ。そのパーカーはレプリカでも全く問題ないし、むしろ大人が昔のビンテージをなんて言おうもんなら、ほしいなら構わないけど、そうじゃないならいい迷惑ってもんだろう。

大人だってきっと、何年も蓄積してきた経験やこだわりから、そういう気持ちなんだと思う。これは服に限らず、モッズに関係するスクーターも音楽も同じこと。
でも、大人が流し、大人が踊る音楽なんてつまんないもんだよ。もちろんカッコいい人たちもいるし、君だってそれをイカすと思ったなら、君のやり方で構わないんだけどさ。

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つまり何がってさ、オレ達もオレ達のやり方で何かをしなきゃいけないのさ。これは自分たちの責任。自分たちでルールを決めて、パーティなんかやるのさ。バンドとDJを呼んで、スウィンギンな世界を作り出し、そこへ遊びに来るクールでヒップなお客さんたち。

ただねえ、ほんとに。コロナのせいでそれが思う存分できないのがなんとも悔しい。去年はパーティをやりそびれたよ。今年も多分無理かも。でも興味を持ってくれてる人たちがどんどん増えてるというのはわかってる。だから、いざその時が来たらやるよ。みんなでやろう!

で、ジミーたちみたいにみんなで叫ぶんだよ。
「We are the MODS!」ってね。

最後まで読んでくれてありがとう。

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