虚無
ヒシジマは原因不明の虚無感に苛まれていた。
今日もいつものように学校へ行き、友達としゃべり、ごはんを食べ、そして、帰った。これのどこに虚無要素があったのだろう。ぼくはその原因をうんうんと考えてみることにした。
ヒシジマ会議の始まりであるーーー。
〜会議のようす〜
ヒシジマ1『なんでだろう』
ヒシジマ2『わかんないョ』
ヒシジマ3『そんなことよりドンキ行こうぜ』
2分にもわたる激しい議論の末、ヒシジマ議長はある結論を導き出した。
『ごはんをいっぱいたべすぎたんじゃないかな』
そう、ヒシジマはひるごはんをおなかいっぱい食べてしまったのである。
ごはんをおなかいっぱい食べてしまうと何が起こるか、皆(みな)はお理解(わか)りだろうか。
苦しくなるのである。
今日のひるごはんは、エビチリ丼(¥500)であった。ごはんを無料で大盛りにできるというので、大学生であるヒシジマは若さに任せてごはんを大盛りにした。
そして目の前に現れるほかほかのエビチリ丼。温玉も乗っていてとてもうまそうだ。
『食べちゃうぞう』
ふんすと意気込むヒシジマは、勢いよく丼をかっこみ始めたーーー。
しかし半分ほど食べたところで、ある異変に気づく。
ごはんが思うように喉を通らない
おかしいなァ、いつものヒシジマならものの数秒でペロリとたいらげたうえ「もっとたべたい」などと抜かすはずなのだがーーー
そしてヒシジマ、あと少しで完食ですよというところでとうとう箸を止めてしまう。どうしたヒシジマ。
しかしそこは『おのこし絶対許したくない会』名誉会長のヒシジマ。残りのエビチリ丼を執念で胃に流し込んだ。
それ即ち完食であった。
だが完食したヒシジマはこう呟いたという
くるしい
そう、おなかがいっぱいのぽんぽんなのであった。その苦しみはゆっくりと、だがしかし確実にヒシジマのfizikaruとmentaruを蝕んでいく。
気がつくと、ヒシジマはさげぽよになっていたーーー。
おそらく、このさげぽよ状態をヒシジマの脳は無意識のうちに『虚無』だと思い込んでしまったのであろうーーー。
そうなんですかヒシジマ議長
そうなのかヒシジマ
そうだと言えお前おい
議長「そうです」
完全に納得した。
そう、ヒシジマはごはんをたべすぎたことが原因でテンションが下がっていたのだ。なるほどな。きっとそうだ。そうにちがいない。ごはんだ。
そしてヒシジマは、この体験を以て得た"出先で無理にごはんを食べてはならない"という教訓を、自らの心の臓にそりゃあもうグリグリと刻み込んでいた。
そんな時、一件のLINEが来た。
彼女からであった。
実はヒシジマ、彼女に「なんか虚無感がすごいのでちゅけど」と相談していたのだった。
彼女は言った。
「低気圧だからでは?」
ヒシジマ「ンン〜〜〜それですね」
虚無感の原因は低気圧でした。
ごはんはちゃんと食べましょう。
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