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2023年秋季リーグ戦総括【神奈川大学野球連盟】


こんばんわ。Yです(@kngw_baseball)
10月22日の横浜商科大学ー桐蔭横浜大学の試合をもって、神奈川大学野球連盟2023年秋季リーグ戦が終了しました。まずは優勝した桐蔭横浜大学の皆様、おめでとうございます。最終週の勝ち点を上げた方が優勝というプレッシャーのかかる中、連勝で勝ち切り2023年春秋連覇の達成、2022年秋から3季連続のリーグ戦優勝という最高の結果で終了しました。今回は2023年秋季リーグ戦の個人的な総評とベストナインの選出に加え、表彰選手が発表されたのでまとめていきたいと思います。


リーグ戦結果

6位の神奈川工科大学は2部1位の鶴見大学との入れ替え戦に臨み、2勝0敗で残留を決定させました。


※学年は2024年度になります
※学年表記のない選手は2024年3月卒業予定選手になります




桐蔭横浜大学

2季連続で優勝をしていた桐蔭横浜大学。
この秋は春に活躍した選手に加えて新戦力が台頭しガッチリと噛み合った結果、3連覇を達成した。


投手ではエース・古謝 樹(湘南学院)の存在に尽きる。

楽天1位で指名された古謝 樹

開幕戦こそ不安定な内容だったものの、その後の空き週で修正をした結果、神奈川大学戦では完封勝利を挙げる好投を見せ、初戦で勝ち星を上げることで2戦目を優位に進めることが出来た。最終週は体調不良の影響でベンチを外れる形になってしまったものの完璧といって過言ではない内容でリーグ戦に有終の美を飾った。横浜市長杯ではエラー絡みで大量失点を喫して敗れたものの、次は杜の都で輝いてほしい。

2戦目を任されたのがこの秋からリーグ戦メンバー入りをした生長 蓮(小松大谷)も古謝に負けない存在感を出した。

生長 蓮

2年夏にトミー・ジョン手術を経験し、夏のOP戦などで結果を残した左腕。
球速自体は140キロ前半も打者が振り遅れるシーンが非常に多く、スライダーやチェンジアップなどの変化球も駆使し、リーグ2位の3勝を挙げる活躍を見せた。

2024年の投手陣に目を向けると薮野 哲也(鹿島学園)福田 拓実(山村学園)の新3年生投手が軸となるだろう。両投手ともにリーグ戦での経験も豊富なだけに投手陣を引っ張る存在になっていくだろう。その他にも伊吹 聖矢(帝京第五)髙田 恭平(壱岐)の新4年生右腕などもOP戦では社会人チームなどを相手に好投を見せており、こちらにも注目をしたいと思う。

薮野 哲也


野手では春の主力が苦しんだ中で、新戦力が台頭。その中でも飛躍したのが鈴木 蓮(新4年・作新学院)だ。

鈴木 蓮

春のリーグ戦では代打がメインでの出場だったものの、この秋からスタメンに定着。リーグ後半戦の試合では2安打や3安打の固め打ちを見せながらも、1試合に3四球を選ぶなど選球眼の良さも見せた。大学野球選手権の対仙台大学戦ではセンターフライに打ち取られたものの、打球の角度などをみるともう少しでホームランになりそうな打球を放っており来年の打線の鍵となる選手の1人だ。

鈴木以外にも俊足を生かした守備でチームでもトップクラスの安定感を誇る上田 甲(新4年・橘学苑)やリーグ戦14試合で5本塁打を記録した長打力が魅力の加田 拓也(新4年・帝京)、春にスタメンを任されており俊足が持ち味の横倉 拓実(新2年・前橋育英)などにも注目したい。また2023年度入学選手(新2年生)も1年生からベンチ入りしており、この選手たちが春以降にスタメン入りする可能性もありこちらにも注目したい。桐蔭横浜大学は傾向として毎年、4年生でリーグ戦デビューをし、結果を残す選手も多くいるだけに来年も優勝候補の筆頭と言えるのではないだろうか。

上田 甲
加田 拓哉
横倉 拓実






横浜商科大学

3季連続で2位に入るなどここ数年の中でもかなり力を付けてきた商大。この秋も優勝まであと一歩というところまでいったがそのあと一歩が遠かった。

投手では高根 匠人(新4年・文星芸大附属)が存在感を残した。
先発にリリーフと大車輪の活躍を見せた。2年生の頃からマウンドへ立ち続けておりアウトコースへ決まるストレートには力強さも出てきた。秋は故障の影響からか先発ではなくリリーフでの登板スタートとなっていたものの、終盤には先発として復帰をしていただけに来年は年間を通じて先発として投げられるとチームも波に乗っていけるのではないだろうか。

高根以外にも岩瀬 風馬(新4年・国士舘)が高根が不在時には1戦目の先発として粘り強く投げており試合を作り、リリーフには棟方 響(新4年・湘南工科大学附属)小林 侑斗(新2年・平塚学園)が12試合中10試合に登板するなど投手陣を支えた。特に小林はサイドスローとアンダースローの中間のフォームから投げ込むボールは打者の空振りを奪うことが出来る。2023年秋に関しては12回を投げて11奪三振を記録しており、商大の守護神として春以降の投球にも注目したい。

岩瀬 風馬
棟方 響
小林 侑斗




野手では加藤 優太(藤嶺藤沢)吉村 慶佑(平塚学園)の両4年生の存在感が際立った。

加藤はリーグトップの20安打を記録した打撃技術に加え、7盗塁を記録した俊足でチームを牽引。彼の出塁で得点機会が大きく変わると言っても過言ではないほどの存在感を見せた。

加藤 優太

3番に入る吉村も14安打、10打点、7盗塁を記録しており加藤が出塁したのを還す役割も果たしつつも、さらなるチャンス拡大に一役買っており打線の中でも非常に鍵となる存在だった。

吉村 慶佑


1番と3番の存在感が大きかったが下級生の活躍もあった。
来年から主将を務める田村 和希(新4年・大阪商業大学)は打率こそそこまで高くはないものの11打点を記録し勝負強さを見せれば、4番を任された宮﨑 海(新3年・愛工大名電)は広角に打ち分け安打を積み重ねながら、2本塁打を記録しパワーで打撃能力の高さを見せた。松木 光(新4年・西武台)奥谷 奏翔(新3年・一関学院)の二遊間は打撃も良く守備も向上してきておりこちらにも注目したい。

田村 和希
宮﨑 海
松木 光
奥谷 奏翔





横浜国立大学

春は1勝も出来ずに入れ替え戦へ回った横浜国立大学。その悔しさを晴らすかのようにこの秋はチームとして23年ぶりの勝ち点3を挙げるなど、まさしく「国大旋風」を巻き起こした。

投手では永山 琢己(新3年・市立金沢)の存在感が目立った。

永山 琢己

130キロ台中盤のストレートにツーシームチェンジアップなどを巧みに使うサイド右腕。左足を上げるタイミングを変えたり、走者なしでもクイックで投げたりとタイミングをずらして勝負ができるクレバーな投手。投手経験は高校2年生からとまだまだ歴は浅いだけにここからさらに良くなってくるだろう。

永山以外では寺本 幹大(桐朋)鵜飼 彬史(日大藤沢)の両4年生を忘れてはいけない

寺本 幹大
鵜飼 彬史

寺本は結果こそついては来なかったが、ランナーを出しながらも巧みな牽制球でランナーをアウトするシーンもあるなど粘り強い投球を見せてくれれば、終盤の厳しい展開でリリーフに出てきて無失点でベンチに戻ってくる鵜飼はまさしく国大の「守護神」と呼べる活躍を見せた。特に神奈川大学との試合ではタイブレークの2イニングを無失点で切り抜け勝利を呼び込む好リリーフを見せた。下級生では中島 治紀(新3年・向陽)高西 和希(新2年・川和)なども経験を積んでおり永山と共に来年以降の国大投手陣を支える投手になるだろう。

中島 治紀
高西 和希



野手では藤澤 涼介(新4年・佐野日大)の打撃が目立った形に。

藤澤 涼介


特に印象に残っているので言うと、やはり開幕戦の関東学院大学戦ではないだろうか。4点ビハインドの8回に打席が回ってくると、甘く入った真っ直ぐを力強く振り抜いた打球はレフトスタンドの上段にある看板を直撃。同点に追いつく満塁本塁打を放つなどここぞの場面での勝負強さで13打点を記録して打点王を獲得した。12月には松山で行われた大学日本代表候補合宿に招集され、50m走では全体2位の記録し爪痕も残した。

藤澤に注目が行きがちだが、江本 颯太(新4年・市立金沢)牧島 陽樹(新4年・下妻第一)も打撃面での成長が著しい選手達もこの秋のリーグ戦でスタメンを経験。江本はサヨナラ打を放てば、牧島は終盤には4番に座り打率.326を記録しながらも三振数が43打数で僅か4三振でリーグ2位の三振数の少なさを記録した。2024年はより藤澤のマークが厳しくなるだけにこの2人がどれだけカバー出来るかに注目。

江本 颯太
牧島 陽樹






関東学院大学

この秋は2021年春以来、9試合ぶりに桐蔭横浜大学に勝利を挙げるとその勢いで2019年秋以来の勝ち点を奪うなど一矢報いた。

投手では三宅 悠弥(作新学院)がエースとして軸となり投手陣を牽引した。

三宅 悠弥

左肩にグラブを乗せてサイン交換をする姿からセットポジションで140キロ中盤〜後半のストレートを軸に変化球を織り交ぜる投球でリーグ2位タイの3勝、29奪三振を挙げる大車輪の活躍を見せ有終の美を飾った。来年からは社会人野球での継続が決まっており、強豪ひしめく地区で都市対抗出場を目指してほしい。

この秋も下級生にも多くの登板機会が回ってきており、経験を積むことができたのではないだろうか。その中でも山岸 翠(新3年・横浜創学館)熊沢 優人(新4年・帝京第三)の両投手に注目したい。山岸は1年生からリーグ戦登板しており、この秋は先発にリリーフとどちらもこなす形になったものの、140キロ後半のストレートに加えシンカーやカーブなどの変化球で空振りを奪える数少ない右腕。来年は三宅の後釜として「エース」としての投球を求められるだろう。

山岸 翠

熊沢はスリークォーター気味のフォームから力のあるボールを投げ込んでくる左腕。秋は少し苦しい結果に終わってしまったもののイニング数と同等の三振を奪える力は持っており、リリーフの軸として注目したい。

熊沢 優人

野手では木川 玲(新4年・健大高崎)が打率.314ながらもリーグ2位タイの16安打、リーグ3位タイの6盗塁を記録し見事な活躍を見せた。序盤は1番で、終盤は3番での出場があったものの、8月に行われた神奈川県野球交流戦のvs神奈川フューチャードリームス戦で途中出場ながらも1試合で4盗塁記録した盗塁技術を見ると、来年は1番打者として塁上を掻き回す姿を見たい。

木川 玲

昨年秋は出場があったものの2023年は出場がなかった笹田 聡也(新3年・横浜)や10打点を記録した濱田 蓮(新4年・立花学園)など力のある選手は揃っているだけに、来年の復調に期待したい。






神奈川大学

ここ数年で1番低い順位となる5位でリーグ戦を終えた神奈川大学。
開幕から苦しい戦いを強いられてしまったものの来年に繋がる光は見えた。

投手では2人の1年生投手陣が躍動。佐竹 綱義(新2年・横浜)はリーグ戦デビューから9イニング連続で自責点0を記録するなど信頼を勝ち取った。主にロングリリーフを任される場面が多かっただけに来年は先発を任される可能性が高いのではないだろうか。もう1人の1年生・松平 快聖(新2年・市原中央)はこの秋に先発も経験。防御率こそ4点台で終わってしまったものの、7試合中5試合は無失点投球を記録するなど力の片鱗を見せた。

松平 快聖

一方で、下級生の頃から登板経験のある石井 将吾(新4年・相洋)はこの秋に先発に転向もうまく力を発揮できずに中盤からはリリーフに再転向するなど苦しい時期になってしまった。さらに本田 眞也(新4年・相洋)は秋の登板なしで終了。来年、チームの上位進出の鍵を握る2投手の復活に期待したい。

石井 将吾



野手では金子 京介(新3年・盛岡大附属)が遂に覚醒。

金子 京介


元々、長打力が持ち味の打者で力強いスイングで相手バッテリーにプレッシャーをかける一方で少し荒削りな部分が多かった。しかしこの秋は持ち味の長打力も残しつつもしっかりと見極めをする事ができるようになり出塁率が大幅に上昇。まだ2年生と言う事でこれから先、どこまで伸びていくのかにも注目したい。

金子以外では岩田 悠聖(新2年・山梨学院)庄子 雄大(新4年・横浜)にも注目したい。岩田はこの秋からリーグ戦に出場。11試合全てで出塁を記録し打率も.371と高打率を記録。フレッシュマン賞とベストナインのW受賞を果たした。初めて守る横浜スタジアムでフェンスに当たりながらも打球を好捕するなど走攻守に渡り存在感を出した。来年も中軸を任される事が予想されるだけにどこまでの結果を残していくのかに注目したい。

岩田 悠聖


庄子はこの秋も6盗塁を記録し、リーグ通算でも42盗塁を記録。ここ数年での神奈川大学野球連盟の中でもトップの盗塁数を誇っており、最高学年となる2024年は是非とも圧倒的な成績を残した上で大学日本代表に選出されてほしい。

庄子 雄大





神奈川工科大学

連勝で残留を決めたものの最下位に沈み入れ替え戦へ回った神奈川工科大学。
その中でも下級生が存在感を表したのではないだろうか。


投手ではエース・東田 翔(日大三島)が13試合中11試合に登板。

東田 翔

先発にリリーフをこなし、入れ替え戦ではリリーフ→先発と投げに投げて、48回1/3を投げながらも奪三振数が48個とイニング数と同等を奪うなど鉄腕ぶりを見せた。

鉄腕ぶりをみせた東田の後継として期待したいのが笹木 柊之介(新4年・瀬谷)大嶋 凌世(新2年・横浜隼人)だ。

笹木 柊之介

笹木は荒削りな部分が多いものの、指にかかったストレートには力があり打者を差し込む事ができるボールを持っている。制球に課題はあるものの伸び代は十分にある。

大嶋は小柄ながらもこちらも力のあるボールを投げ込んでくる右腕。主に秋はロングリリーフとして登板しており今後は先発としても見てみたい。

大嶋 凌世


野手陣は好調な選手が多かった。
2023年度の主将を務めた佐本 快(下関国際)は秋の開幕戦こそ出場がなかったものの、2カード目から指名打者として復帰。3カード目からは遊撃の守備に就き、守備面でもチームを盛り立てながらも打率3割後半を記録する活躍を見せた。

佐本 快

福田 晟央(新4年・関東第一)堀口 鳳士(新4年・常葉大菊川)も打撃面で結果を残しており、来年の中軸として期待される選手。他にも原 陸人(新3年・横浜隼人)や吉田 寛人(新2年・東海大相模)などもそれぞれの持ち味を披露しており、こちらも非常に楽しみである。

福田 晟央
堀口 鳳士
原 陸人
吉田 寛人






2023年秋季リーグ戦個人賞受賞選手


神奈川大学の岩田は野手では唯一の1年生でのタイトル獲得。打撃タイトルは横浜商科大学の中軸が受賞した。


終わりに

2023年も神奈川大学野球を盛り上げてくださった選手の皆様、ありがとうございました。4年生は引退をし仕事として野球を続ける方、社業をしながら休日などに野球をされる方、完全に野球から離れる方と様々な進路に向かわれると思います。色々と大変なこともあると思いますが、是非とも頑張ってください。
そして、継続される方はカメラを担いで写真を撮りに行きますのでお気軽に言って貰えればと思います!(北海道とかは厳しいかも・・・笑)

そして3年生以下の方々は来年以降、怪我のないようベストパフォーマンスができるよう応援しています。頑張ってください!


最後になりますが2023年も各種SNSなどで見ていただきありがとうございました。2024年もどうかよろしくお願いいたします。


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