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【医師監修】変形性膝関節症の原因と対処法

変形性膝関節症は、初期は非常に軽い症状から始まります。ですから、つい「この程度なら放っておいても良いか」と考えがちなのですが、できれば早期に対処いただくことをお勧めします。そうすることで、生涯ご自分の足で歩ける可能性が高くなり、このことは生活の充実にもつながります。
ここでは、変形性膝関節症の原因と、その兆しをいち早く察知し、対処するための情報をご提供します。(情報提供:ひざ関節症クリニック

気になったときには進行している可能性も

変形性ひざ関節症の症状と言えば、まず第1にひざの痛みがあげられます。ただ、どんな痛み方なのかでも重症度は変わってきます。
たとえば、動き始めに生じる痛みはスターティングペインと呼ばれ、変形性ひざ関節症の初期に見られる症状のひとつです。しばらく動いていると自然と治まるのが特徴なので、多くの人が「たいしたことない」と判断してしまいがちです。
しかしこの症状が現れた時点で、すでに変形性ひざ関節症を患っている可能性は大。そして、変形性ひざ関節症は加齢とともに進行する疾患です。適切な治療や対処を行わず放置していると、加齢とともにひざの痛みはだんだん強まり、生活にも支障が出るようになります。末期には骨にまで損傷が及ぶため、強い痛みに加えて関節がO脚、もしくはX脚に変形し、歩行すらままならなくなってしまうのです。

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そうお話すると「進行する前に治療を受ければいいのでは?」と考えるかもしれません。ただ、変形性膝関節症の進行はそんなに単純ではないのです。たとえば、この疾患の場合、いきなり耐えられない症状に襲われることはありません。先ほどのスターティングペインの例もそうですが、ひざのこわばりや、しゃがんだときにひざ裏に重苦しさを感じるなど、最初はどれも違和感程度に感じるレベルばかりです。
つまり、病院に行ってみようとまでは考えない人が多いのです。実際、病院で診察していても、初期のケースは実はそれほど多くなく、進行期以降がほとんどだったりします。

変形性膝関節症セルフチェックリスト

そうは言っても、違和感くらいで病院に行くのは気が引ける、時間が惜しいという人は少なくないでしょう。そこで、変形性ひざ関節症のセルフチェックリストを作成しました。項目中、あなたは何個該当しますか?

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このうち5つ以上あてはまった場合は、すでに変形性ひざ関節症である可能性が考えられます。ただ、それより少なければ安心というわけではありません。該当数ごとの危険度の目安はこちらを参考にしてみてください。

😟1〜3個:危険度20%
危険度は低いですが、変形性ひざ関節症の予備軍である可能性は十分考えられます。また、断続的であってもひざの痛みが3ヵ月以上続いている人は、一度病院を受診した方が良いでしょう。

😥4〜10個:危険度50%
変形性ひざ関節症の可能性が疑われるので、ご自身では「病院に行くほどではない」と感じていても、受診することをおすすめします。年々痛みが増しているという人は特に注意が必要です。

😣11〜15個:危険度80%
症状も違和感レベルではなくなっているのではないでしょうか? これだけ該当すると、すでに進行してしまっていると考えられます。早めに病院を受診してアドバイスを受けましょう。

痛みの原因は加齢だけじゃない

変形性ひざ関節症について、高齢者がかかる疾患と考えている人は多いのではないでしょうか。確かにそれは間違いではありません。実際、変形性ひざ関節症は代以上に多い疾患で、代にもなると6〜8割の方が患っていると言われています。
高齢者に多い理由には、様々な老化現象があげられます。まず、ひざ関節で向かい合う骨の表面を覆っている軟骨が劣化していきます。また、ひざ軟骨への衝撃を吸収している関節液が減少します。関節液の中では、その弾力や粘り気といったクッション性を生んでいるヒアルロン酸やコラーゲンなども減少します。さらに、ひざ関節への負担を軽減する働きがある太ももやふくらはぎ、お尻などの筋力低下も影響します。

加齢というのは避けようがありません。ただ、運動をして筋力低下を防ぐことは可能ですし、有効な対処法と言えます。むしろ厄介なのは、変形性ひざ関節症の原因がひとつだけではないという点。性別や体重、過去に患ったけがや病気、職業、スポーツ歴、生まれつきの形態異常など様々な危険因子が関係します。

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女性は特に注意が必要

危険因子のひとつに性別をあげましたが、日本整形外科学会の公式サイトによると、男女比は1:4であり、女性の方がずっとリスクは大きいのです。
理由は諸説ありますが、ひとつにエストロゲンという女性ホルモンの影響が考えられます。ひざとは無関係に思われるかもしれませんが、実は骨づくりを助けたり、強い骨を維持したりといった役割も担っています。ただ、エストロゲンは更年期を過ぎると分泌量が激減するため、骨の強度は低下します。実際に骨粗しょう症のリスクが高まるのも更年期以降です。平均的な閉経年齢が歳前後と言われているので、加齢で弱りかけたひざ関節への追い打ちになっていると考えられるでしょう。
ひざ周りの筋肉がしっかりついていれば、こういった負担を軽減することができます。しかし女性の場合、筋肉量も男性より少ないのが現実です。出産のために脂肪を蓄積しやすい体質であることもそうですが、そもそも筋肉をつくる働きを持ったホルモンの分泌が、女性はとても少ないのです。

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原因を知ることから始まるひざ治療

確かに変形性ひざ関節症は、多くの方が患っている疾患です。ただご注意いただきたいのが、ひざ痛が生じるのは、この疾患だけではないということです。ひざ周りの筋肉や靭帯、半月板の損傷が関係しているかもしれませんし、腰からくる神経痛の問題、はたまた内科的な要因ということもありえます。そのため、どこが原因で痛みが生じているのかはっきりさせることが、早期治療のポイントになります。

自分が納得できる説明を受けましょう

ひざ関節症クリニックを受診される患者さまのほとんどは、すでに他の病院や診療所で治療されていた経験をお持ちです。ですが、病状の詳しい説明を受けていられていない方をしばしばお見かけします。たとえば、「軟骨が痛んでますね」と言われただけだったり、レントゲン画像を見ただけでいきなり人工関節の手術を勧められたり……。これでは治療を受けたとしても、どう効くのかわからないと不安になる人もいるでしょう。

本当であれば、医師が正しいインフォームドコンセントを行うべきなのですが、もし分からない場合は遠慮せず、質問してください。自分のひざがどうなっているのか、なぜこんなにも痛みが強いのか、この治療で何がどう改善されるのかなどを詳しく知ること、そしてそうしたコミュニケーションで信頼関係を築けた医師から治療を受けることが、治療の本来持つ効果を引き出す助力にもなると私は考えています。

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<情報提供クリニック>
ひざ関節症クリニック(銀座/新宿/横浜/大宮/大阪)
https://www.knee.or.jp/


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