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[雑記]2019年ジョン・フルシアンテ復帰の経緯について私感

先日、長年ファンをやっているレッド・ホット・チリペッパーズのライブに行ってきました。ライブもすばらしかったし、昔からの友達にも会えてとても楽しかったんですが、2019年のジョン復帰に関して、twitterでフォローしているTOSHIさん経由でこちらのツイートを見かけ、
https://twitter.com/ryan_loops/status/1629136644405362689
自分なりにジョシュ解雇→ジョン復帰の一連の流れについて感想を言っておきたいと思い、久々にnoteに書くことにしました。

先日ライブの後にもこの問題について昔からのファン同士話したのですが、だいたいみんな「今のバンドは最高!でも復帰劇はクソ」という意見でまとまっていたように思いますし、私も同意見です。メンバー(特にフリー)に対しては音楽的な面にとどまらず、人間的にも尊敬できる人物だと一方的に思っていたのですが、「見損なった」という言葉がこれほどピッタリ来る感情もないなと思うくらいに、一連の流れには嫌悪感があります。それと同時に現在も素晴らしい音楽を続けているバンドとして愛しているという感情も同居している感じですね。

2009年にジョンが辞めるときのことは、当時ファンサイトをやっていたこともあり、かなりつぶさにニュースを追いかけていました。脱退直前にジョンが「Empyrean」というアルバムをリリースしたんですが、
www.amazon.co.jp/dp/B001LKQN36
これを聴いたときさっぱり理解できなかったのですが、少なくともジョンはもうレッチリのような、いい意味でも悪い意味でも商業的なバンドでプレイすることは無理なんだろうなと思ったんですね。それくらいぶっ飛んだ凄まじい内容でした。だから脱退も、前回のような唐突さもなく、すんなりと受け入れられるものだったと思います。円満退社というか。

問題はバンドをどうするかですよね。バンド側がジョシュに頼んだと聞いたとき、「いやージョシュはちょっと無理じゃないかなぁ」と思いました。無難に色々こなす印象だけど、ガツンと前面に出て自己主張するタイプではないし、レッチリのギタリストとしては荷が重すぎるのではないか、と。それでもバンドは続行したいという意思を示していたし、ジョシュも数週間返事を保留して、ビッグ・バンドでプレイする意味を熟慮した上で加入する決断を下しました。

ジョシュが加入してからは「声が小さくて聞こえない」だの「ジョンの方がよかった」だの散々誹謗中傷を受けていたのをリアルタイムで見ていましたが、それはひどいものでした。正直私自身も、ジョシュがうまくやれるか半信半疑でした。それでもジョシュはアルバム制作でしっかり仕事をしていたし、ステージでもどんどん活発になっていって、特にコーラスのユニークさやエモーショナルで激しいステージングなど、正式メンバーとして十分なくらい存在意義を示していました。

ジョシュ2枚目のアルバム「Getaway」もよかったし、ツアーの映像を見てもジョシュがメキメキ実力を上げていってるのがわかってうれしかったのを覚えています。特に考えることもなく、このまま正式なメンバーとしてまたアルバムを作って、ツアーに出るんだろうと当たり前のように思っていたんですね。

そこへあのジョン復帰劇です。フリーがジョンと会っているというニュースはいくつか目にしていたのですが、まさか復帰するとは思っていなかったので、本当にびっくりしました。ジョン復帰のオフィシャル・ステートメント
https://onl.sc/H2j9Xbp
を最初に見たとき「ジョン復帰の妄想を撒き散らすジョンヲタにオフィシャルが乗っ取られた?」と思ったくらい、寝耳に水の話で。ちなみにジョシュがインタビューで語ったところによるとあれはフリーが書いたらしいです。「with great excitement」って書いてますね。しかもジョシュにクビを言い渡して、ジョシュが家に着くまでの間にこのステートメントを出していますからね。

先にも書きましたが、ジョシュの方からバンドに入れてくれと言い出した訳ではなく、バンド側から頼んだという経緯があるし、ジョシュも悩みに悩んで決断を下して、その後10年に渡ってメンバーとして活躍してきた訳です。本来バンドがジョシュをクビにできる筋合いなんてないんです。恩人ですよ?それをあんな簡単に三行半で追い出すなんて破廉恥な真似が、まあよくもできるもんだな恥ずかしくねーのかよおい、という感想を持ちました。本来だったらバンドはジョシュを守らなきゃいけないんですよ。何やってんだよ、という話で。

フリーやアンソニーがジョンと一緒にやりたいという気持ちは分からなくもないし、近作2枚でも分かるようにクォリティ高い作品は実際できているし、何より相性というものがあるでしょうから。ジョシュも「フリーとジョンの間には特別な関係性があって、その間には入り込めない」旨の発言をしていますしね。またビジネス的にも、ジョンはギタリストとして世界トップレベルのプレイヤーですし、ほぼオリジナル・メンバーみたいなものだし、その方がビジネス的に受けもいいでしょう。ジョンさえよければ復帰してもらえれば…と思うじゃないですか。

でも絶対やっちゃダメなことだったんですよ、人間として。レッチリっていうのはロックバンドでもあるけど、友情の歴史でもありますよ。そんな自分たちの歴史に自分たちで泥を塗っちゃった。自分の中でなにかが確実に終わった瞬間でした。

ジョンもジョンで「じゃあ、最初から辞めなければよかったじゃん」って思いますよ。Empyreanは何だったんだんですか。もっとすごい、宇宙と交信するようなヤバい作品を生み出してくれるとばっかり思っていたソロ活動では、パッとしない電子音楽をポツポツ出していただけで。で、けっきょくまた商業音楽の世界に戻ってくるなら、最初から辞めなければよかったんですよ。2009年の時点はダメで、今の時点はいいという線引はどこにあるんだろう?その辺は全然分からないんですよね、未だに。

あと、ジョンは現在すごく安定しているように見えますが、根本的にツアーが大嫌いだし、いつまた突発的に辞めるかもしれない、というのは可能性としてありますからね。十分ありえます。次辞めたらどうするんでしょう。ジョシュに電話して「あージョシュ?悪い、ジョンがまた辞めちゃって…。悪いけど、またバンド入ってくんない?」と言うつもりでしょうか。

最初に言ったように人間的に軽蔑する部分と、素晴らしい音楽を作ってくれてありがとう!と称賛する部分が両立しているのが正直なところで、復帰の経緯があったからとてファンを辞めることは考えられないけど、(特に)フリーには心から幻滅しました、という話です。長文失礼しました。


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