しばらくは世界一不幸なフリをする
4/26(月)、あと二週間仕事を頑張れば東京に行って人生で一番大好きな演劇作品の最後に劇場で立ち会えると思ってた。
緊急事態宣言に伴って東京凱旋公演の中止、および千秋楽のみ無観客にて配信になった。
5/7(金)、二日後には無観客配信になってしまったけど大好きな作品の最後を観れると思ったから普段より長い残業もへっちゃらだった。
退勤して自分のスマホでTwitterを開いたら、劇団関係者にPCR陽性者が判明し配信自体がなくなった。
シリーズの最後の作品だった。その千秋楽、本当に本当の最後だった。
”心の支え”が音もなく、それでいて暴力的に奪われていった。
悔しい。
キャストさんをはじめとする作品の中心にいる方たちは悲しみながらも前向きな発言をSNSに残してくれた。私よりも絶対に悔しいのに、その気持ちは今は見せずにいてくれる。
でも、ごめん。そんなすぐには前を向ける人間じゃないんだ。過去の作品にたくさん勇気づけられたことも、今回の作品もきちんと観れた公演があることも、絶対幸せをくれた時間のほうが多いけど。今は目の前で死んだ公演があることがただ悲しくて悔しい。
どんな作品も永遠に続くものより有終の美を飾れるほうが好きだ。「終わらせる」ことはどんなことでも選択するのに勇気がいる。それでも勇気を出して自ら選んだ終わりに向けて進んでいく姿は物語であれ、誰かの人生であれとても美しいものだと思う。
だから演劇ハイキュー‼の烏野メンバーが全員卒業するときも物凄く悲しかったけど、彼ら(そして劇団)の選択だから応援できた。
でも今回はその有終の美すらなかった。終わりはとても暴力的で、あっけなかった。
PCRで陽性が出てしまったこと、コロナにかかること自体は悪じゃない。たまたま友人が陰口を言ってるのを聞いてしまったとか、生牡蠣にあたってしまったとかせいぜいその程度の不運でしかないと思う。だから、陽性になってしまった劇団関係者の方は気に病まずにしっかり休息をとってほしい。そして無理せず、これからも素敵な作品を全力で作っていってほしい。
元々マンガのハイキュー‼が大好きだった。演劇ハイキュー‼に出会ってからより一層好きな作品になった。マンガと演劇があったから色んな角度から作品を読んで・観て・考えることができた。マンガで好きなキャラクターが舞台の上で動いているときは感動した。マンガを読んでるときはそこまで興味のなかったキャラクターが、舞台の上でとても眩しくて気が付いたら推しになってブロマイドを買っていた。
きっと人生でそんな作品に出会えたことは幸せなことなんだと思う。だから今の悲しみを、いつか、消化できたらいいなと思う。
どんなに悔しがっても、泣きわめいても、明日の千秋楽が開催されることはないし、大好きな作品の最後の余韻に浸るためにとった月曜日の有給は虚無の休みに変わりないし、火曜日からはまた特別熱量も思い入れもない仕事をこなさないといけない。でもやっぱりしばらくはこの傷をみて、塩を塗り付けて、まるで世界で一番不幸な人のように振舞うだろう。めんどくさい人間だね。
それでも今まで本当にありがとうございました。
演劇ハイキュー‼が、劇団ハイキュー‼が心から大好きです。
きっと再演はしないでしょう。今のメンバー、今の年齢、すべてが完璧なバランスだったから。どんな形で終わっても、上だけをみて進んだ演劇だったから。
演劇ハイキュー‼に関わった方すべてが幸せな未来に進めるようにこれからも応援してます。
P.S.
神様へ
演劇ハイキュー‼についてきちんと考えたいと願ったけど、こんな形で欲しいとは一ミリも思ってなかったです。しばらくは神様のことを恨みますが、呪わないでください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?