オレンジの丘。チョコレートの観覧車。 ―ショートショート―

お題「オレンジの丘。チョコレートの観覧車。」
(お題提供者 5ol.imo さま)


………………


 夢なら覚めて!と思ったら夢だった。

 エリエはとんでもない夢だったということはわかるのだけれど、どんな夢だったのかを忘れてしまっていました。ファンタジーな夢だったような気もするし、サスペンス映画のような緊張感もあった気がする。

 夢は氷だ。

 溶けてしまえば、夢の形は見えなくなって、でもそこに何かがあったってことだけはわかる。

 エリエが何となくだけど覚えているのは、

「オレンジの丘。チョコレートの観覧車。……だったっけ?」

 エリエはベッドの上でむひゃらどふぁとあくびしました。オレンジもチョコも好きなんだけど、でもそんな言葉は身に覚えがない。オレンジ色の丘にチョコレートでできた観覧車でもあるのかなー。めるへーん。

 だけどやっぱり違うのだ。

 ううむ。エリエとしては困った。頭の中のもやもや~が一向に晴れてくれなくて、オレンジナントカの正体を知らなきゃエリエは今日の一日を楽しく過ごすことができないような気がしたのです。何しろエリエはエリエですから。

「そだ。また寝よう」

 ばふんぬ。ベッドに横になって羊を数える。1匹2匹3匹4匹6匹3匹7匹8匹9匹の、10が、11ひひ、じゅひ、ひひ、う、ひいひ……。

 そしてそこはよくわからないところでした。

 赤、です。

 よくわかりませんが、なんだかそこは赤っぽいのです。そしてとても暑くて、どこからか悲鳴だって聞こえます。ぎゅいぃぅぉぃぃぃんん、という変な音まで聞こえます。エリエは「おー!トーテム!」と叫びます。挨拶です。

 エリエは360度回る自分の首で辺りを見渡してみました。

 すると、そこには二つの見ちゃいけないものがありました。エリエは吐きます。酸っぱい何かが鼻の中から出るのでくしゃみも出ました。

「オレンジの丘。チョコレートの観覧車。」

 エリエはそれらをそう名付けました。

 だって、そうでもかわいく呼ばないと、エリエは気分が悪くなって、これから自分がされる二つのことが怖くなってしまうからでした。確かに片方は見ようによってはオレンジ色の丘ですし、もう片方もチョコレートの観覧車のように見えないこともありません。

 人々は「オレンジの丘。チョコレートの観覧車。」に並んでいます。つまり彼らはそれにいよって苦しめられるために並んでいるのです。

 なんて馬鹿な!

 でもエリエもその列の中にいました。自分の思い通りに体は動かず、列から出ることさえできません。そう、彼らは自分の意思でここに並んでるわけじゃないのです!「ああ、夢なら覚めて!」と願いました。

 すると、夢でした。

 エリエはとんでもない夢だったということはわかるのだけれど、どんな夢だったのかを忘れてしまっていました。ファンタジーな夢だったような気もするし、サスペンス映画のような緊張感もあった気がする。

 それから色々悩んだあげく、エリオは言うのです。

「そだ。寝よう」


………………


※ショートショートのお題、待ってます!10文字程度のお題をください。

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