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【デザイナーノート vol.4】105°-小暑

皆様こんにちは!
Pastel Girls.二十四節気少女のNFT作品制作担当KOMAです。

このnoteではKOMAが不定期にPastel Girls.と二十四節気少女のクリエイターとして、キャラクターデザインや作品へのこだわりなどの情報をお伝えしていきます。

第1弾「60°-小満」から始まった二十四節気少女もついに太陽黄経3桁に突入しました。今回は「105°-小暑」について、OpenSeaのDescription内で表現しきれなかったキャラクターの詳細設定や意匠を紹介します!

1. 小暑に込めたコンセプト

小暑は太陽黄経が105度のときで、7月7日~7月22日頃に相当します。
小暑のコンセプトはOpenSeaのDescriptionにも記載した通り、
「困った人を放っておけない、老舗の漢方薬局で助手を務める癒し系女子」
です。
今回はその内容を少し詳しく紹介します。

小暑の時期に旬のものは食べ物では大蒜(ニンニク)、植物では蓮がありますが、実はどちらも生薬(しょうやく)として用いられています。
生薬でお馴染みの漢方医学ですが歴史はとても長く、個々の生薬(漢方薬)について解説した中国最古の薬物学書が成立したのが後漢から三国時代(西暦だと25~280年くらい)の間とされています。
コンセプトにある「老舗の漢方薬局」はここから着想を得ました。

旬の食べ物の大蒜については、大蒜に含まれているアイリンという成分がスタミナ増強を促し、暑い夏を乗り切るのに最適な食材とされています。
また生薬としての蓮については根の部分の蓮根(レンコン)が有名ですが、実は効能が一番強いのは根ではなく実の部分なのだそうです。
蓮の実にはビタミンB1が多く含まれており、夏バテ症状によくある倦怠感や食欲不振を解消してくれる効果があります。
いよいよ本格的に暑さが増してくる小暑にぴったりのものばかりで、暑さに負けないように助けてくれる効果が多いことから「漢方薬局の助手」にしました。

先ほど旬の植物で紹介しましたが、小暑の時期には蓮の花が開花します。
寺院の庭の池でよく蓮の花を見かけますが、実は仏教に大きく関係している花なのです。
蓮は水生の植物で、濁った泥や沼の中から真っ直ぐ茎を伸ばし花を咲かせますが、泥沼の中から出てきても花は美しく汚れる事がないことから、「仏教の教えを表す花」や「極楽浄土に咲く花」と言われています。
極楽浄土の解釈は様々ですがこの概念を1人の女の子に落とし込もうとしたとき、保健室の先生のような安心感のある女の子を思い浮かべました。
その人物像を嚙み砕いて表現した結果、「癒し系女子」に行きつきました。

そんな蓮の花言葉には仏教関連らしく「救済」があり、困っている人には等しく手を差し伸べる姿を思い浮かべました。
コンセプトの「困った人を放っておけない」はここから来ています。

以上でOpenSeaのDescriptionに記載したコンセプトの解説は終了ですが、ここで小暑の裏設定を紹介します!
7月16日、小暑の全体画像公開前に私KOMAのTwitter(@km__e)からこんなツイートをしました。

「小さいからって油断してると痛い目みるよ~?」と、なんとも気の抜けた口調ながらも秘められた強さを思わせるこのセリフは小暑のものです。
たった一文ではありますが、実は小暑らしさを表現した一言でもあります。

ところで、二十四節気少女のDescriptionの冒頭にいつも書かれている古文のような一節にお気付きでしょうか?
105°-小暑」ではこのように記載しています。

「大暑来たれる前なればなり。」
"It's before the hottest season coming."

実はこちらは天明七年(1787)に出版された「暦便覧」と呼ばれる太玄斎が著した暦の解説書から、判読性を高めるため一部を漢字に変換したり句点を追加して引用したものです。

暦便覧によると、小暑という名称は「大暑の前段階であるから」という理由から付けられたそうです。
確かに小暑には大暑のような猛暑のイメージはありませんが、小暑の季節でも油断しているとあっという間に体調を崩したり熱中症になってしまいます。(最近そういった患者さんが本当に多いです…)
そんな背景から「(大暑と比べて)小さいからといって油断をしていると痛い目を見る」という内容のセリフにしました。
そしてこの内容を人物像に落とし込んだ結果、「小暑は小柄な体格だけど、実は太極拳の有段者」という裏設定になっています。

余談ですが、漢方医学の本場中国では、年下の相手(主に子供相手)には苗字か名前の一文字に「小」を付ける呼び方があります。
(例えば李さんであれば李のようになります。)
小暑を名前として見てみると、完全に子供扱いされている小暑ちゃんなのでした。

2. 小暑のモチーフ解説

前回の夏至と同様に、今回も小暑の時期に旬のものを取り入れたデザインになっています。

105°-小暑

コンセプト紹介に記載した通り、小暑の時期には大蒜や蓮が旬となります。
大蒜はチャイナ服のベースの色(白色)に、蓮の花は思い切って背景や襟元の装飾にそのまま割り当てています。
髪の毛の色は、蓮は濁った泥や沼の中から咲くことから暗めの茶色に、瞳の色は蓮の葉のような色(黄緑色)にしました。

チャイナ服の模様は小暑の時期に咲く百日紅(サルスベリ)です。
百日紅の読み方には「木登りが得意なサルでさえも滑ってしまうほど滑らかである」という由来があり、生地が光沢のある滑らかな肌触りであることが多いチャイナ服にぴったりであると考えてあしらってみました。

梅雨が明け、暑さが増す頃に揚羽蝶(アゲハチョウ)をよく見るようになることから揚羽蝶のピアスをつけています。
また揚羽蝶には蝶道(ちょうどう)とよばれる決まった飛行ルートがあり、毎日ほぼ正確に辿る習性があることから、ちょっと几帳面な性格をしているという設定があります。

揚羽蝶のピアス。揚羽蝶には蝶道とよばれる飛行ルートを毎日忠実に辿る習性があります。

服を見ているとひときわ目を引く「<」の装飾ですが、こちらは「105°-小暑」「240°-小雪」「285°-小寒」が身体のどこかに身に着けている装飾です。
数学でよく見かける比較の記号「<」は「小なり」と読み、二十四節気の名称でのセットがある少女のうち小の方が身に着けています。
「60°-小満」は名称に小が付いていますが、比較となる大が存在しないため身に着けていません。
そして反対に「120°-大暑」「255°-大雪」「300°-大寒」は身体のどこかに「>(大なり)」の装飾を身に着けています。
先出し情報となりましたが、今後彼女たちのラフや完成作品が公開された時はどこに身に着けているのか探してみてください!

襟元の装飾の下にある「<」のブローチ。数学でよく出てくる「<」は「小なり」と読みます。


3. 終わりに

デザイナーノート vol.4はいかがでしたでしょうか?
今回の記事で初めてDescriptionの暦便覧に触れましたが、今後も暦便覧から裏設定が生まれることがありますのでぜひ目を通してみてください。
次回のデザイナーノートでは、「120°-大暑」について紹介予定です!

聞いてみたいことがありましたらTwitterのリプライかnoteのコメントをいただければお答えしたいと思っているので、お気軽にお問い合わせください!


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