盃に誓う

【盃に誓う】

「あなたが失くしたもの、
私が見つけてあげるわ。」
箱庭、優しい子守唄
二人、悪い夢の中

丁寧に折りたたまれたシャツ
裸足と麻酔と機関銃
有刺鉄線の向こう側
ここには何もかもが無い

揺蕩う船が錨を下ろして
夜風に身を委ねて
「ああ、これは夢だ!」
また朝を待って
軽い羽根のよう
風に舞う

乖離する
昨日と今日の深夜零時 落ちていく
灰色の湖に祈れば
緩やかに壊れるまで
定義する
日々の解れも 君のせいで落ちていく
空を切る手の感触が 生温くて

「あるいは、あなたの嘘
私が暴いてあげるわ。」
箱庭、優しい子守唄。
二人、甘い犠牲の中。

幽閉と気味の悪い檻
案山子と祈りと霊安室
終始無抵抗の犬達
ここには救いも加護も無い

揺蕩う船の積荷を下ろして
夕焼けに染まってしまう
「ああ、これは夢だ!」
また夜の前触れ
死んだ犬のよう
声も無く

停止する
世界で今日も正午零時 落ちていく
脆弱な心のせいで
緩やかに壊れたまま
遊戯する
愚かな僕と君の正義落ちていく
空を舞う鳥の自由が眩しくて

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